ヘルドッグフレンズ
「お手!」
「ワンッ!」
ケルベートが左前足を俺の差し出した右手にのせる
「おかわり!」
「ワウッ!」
次に左前足を戻し、右前足を俺の左手にのせる
「伏せ!」
「ワフゥ!」
伏せもしっかり出来る。ケルベートは賢いなぁ
「よーしよしよし」
「ワフゥ……」
伏せたケルベートの真ん中の頭を撫でてあげる。毛がもふもふで気持ちいい
「ワンワンッ!」「ワウッワウワウッ!」
左右の頭もこっちも撫でろと言わんばかりだ。だったらここは日頃の練習の成果を見せてやろうではないか
「今撫でてあげるからねー」
影の腕を2本出す。が、今回出すのはクロガネちゃんの腕だ。練習したお陰でクロガネの巨腕とクロガネちゃんの普通の腕の2種類を使える様になった。本数はまだ増やせないけど……
「何ですかあれ!?」
「この前報告にあった影の魔法?」
この前戦ったゴリラの魔物の時、デネブに影の力を見せたので報告されたのだろう。まぁ驚かれたところでこれからやる事はしょうもない事なんだけどね……
「ほーら、よしよしよしよし」
「ワン……」「ワウゥ……」「ワフゥン」
影の腕を使って左右の頭も撫で、俺自身の手で真ん中の頭と喉の辺りを撫でるとても気持ちよさそうな声が漏れている。
「魔物を……手懐けている?」
「どーよ?危なくないだろ?」
これでケルベートの危険性が無い事が伝わっただろう
「本当に危なくないんですか?」
アルタイルがこちらに近寄ってくると……
「「「ガウゥゥゥ!!」」」
ケルベートが急に牙をむき出しにして威嚇する
「離れて!」
急いでアルタイルに離れる様に言う
「は、はい!」
アルタイルが慌てて下がるとケルベートも威嚇を止める。これはやはりそういう事か
「コイツは多分魔法少女に怪我させられたから魔法少女が嫌いなんだ」
前足の傷は既に俺が治療したが、この傷を与えたのが魔法少女なら逃げただけのケルベートに攻撃を与えた魔法少女にイラつくのも分かる
「ワウッ!」
ほらね。
「何故、あなたは大丈夫なのです?」
治療したの俺だし、ヴァイス達の事も感じ取ってるんじゃないかな?
「俺は魔装少女だからかな?」
まぁそんな事を正直に話す訳も無いので適当にはぐらかす。
「そんな理由で魔物と意思疎通が出来るとかおかしいじゃないですか!」
意思疎通が出来る事がそんなに珍しいか?……あっ、魔物と意思疎通は珍しいじゃん!ヴァイスの仲間だからとケルベートに接していたけどヴァイスやシルエッタと違って今のケルベートは魔物と言われてもおかしくない見た目だ。そんなケルベートとじゃれたり、お手やおかわり等の芸を見せたりしたら意思疎通出来てないと言う方がおかしい。
「そんな事言われても只の魔物じゃないとしか言えないしなぁ……」
ヴァイスの仲間だから今まで世界を襲っている魔物とは違う存在なんだが……これを説明するのにヴァイスの事を隠して話すのはほぼ無理だ。
「魔物に只のも何も無いじゃないですか!倒さないと人が死ぬんですよ!」
「もしコイツを殺したいなら俺はコイツの味方をする」
確かにヴァイス達の事を知らなければ魔物は全部一括りにしても仕方が無い事だが、ケルベートは逃げただけだ。それなのに魔物だからと殺そうとするのはいくら魔法少女だとしても俺は許せない
「貴女は魔物に味方するんですか!?」
アルタイルの問いに少し考えてから答える
「若干違うな、俺の仲間に味方するだけだ。魔物にも種類があるからな」
「魔物の……種類?」
スカーレットが種類という言葉に疑問を感じた様だ。なら答えてあげよう
「今、この世界には3つの世界から来た魔物が居る……と俺は考えている」
一応推論だからね、言い切れないのはカッコ悪いな……
「「3つの世界?」」
魔法少女の二人は俺の話を聞く為か、構えを解く
「1つ目は10年前から攻めてきているいつもの奴らだ」
破壊衝動が強く、残忍な性格をした魔物
「2つ目は最近現れたと思う魔力を隠したり電波妨害をしない、レーダーにも引っかからないから見つけにくい魔物だ」
俺もまだ戦ったのはシルエッタを助けたあの時だけだが、ほぼ確実にアイツらは別の世界から来た魔物だろう
「そして3つ目が俺と仲間になった魔物だ」
隠すべき事を隠したらこう伝えるのが妥当かなぁ?
「そんな……そんな事を信じろと言うんですか!」
まぁ今まで前線で戦ってきた彼女達に戦っていた奴らとは別に後2種類魔物が居るなんて情報齎されても直ぐには信じられないだろうな……
(シルエッタ、前に倒したアイツらの魔石が残ってたよね?)
(はい、これ)
シルエッタに確認したら影の腕が地面から伸び、握られていた魔石を受け取る
「どうしても信じられないってならコレやるよ」
魔石をアルタイルに向けて投げる
「これは……魔石?」
「さっき話した2つ目の魔物の魔石だ」
新しい脅威の情報を魔法少女に提供する事にした




