ヘルドッグフレンズ
「あれが、ケルベート?」
三つ首だけど丸くなって寝ている所を見るとやっぱ犬だ、いや猫っぽい様にも見える
(そうだ!可愛いだろう?)
「まぁ、確かに可愛いな」
全体的に黒いが左右の頭には赤と青の雷型をした毛の部分があるのがチャームポイントだな
(あ、ケル、怪我、してる)
シルエッタはケルベートの前足に怪我を見つける
「うわっ結構ざっくり行ってるなぁ」
丸くなって寝ていたので見え難かったが、ちょっと体勢を変えた時に前足に怪我をしている部分が見えた。あれはかなり痛そうだな……
「あれなんとかしてあげられないかな?」
(うむ、魔力を直接与えれば回復する事が出来るはずだ)
直接って事は触らないといけない訳だな?
「触って良いのかな?触って良いんだよな?もふもふして良いんだよな?」
触らないと回復してあげられないからな!
(何か欲望が溢れている様だが……まぁ触らねばなるまいな)
ヴァイスの許可も出たのでケルベートに近づく。
「ン……ワフッワフッ!!」
ケルベートの真ん中の顔が起き上がり、俺を見て警戒する。
「ワウッワウッ!」「ワンッワンッ!」
左右の頭も起き、立ち上がるが、怪我のせいか弱弱しい。
「武装解除!」
警戒されたらまず武装解除、もはやいつもの事である
「「「ンン……?」」」
三つ首がすべて首をかしげている。とても可愛い
「大丈夫、その前足の怪我を治してあげたいだけなんだ。危害を加えたい訳じゃない」
言葉と態度で攻撃する気は無いと相手に示す
「とりあえず、近寄っても良いかな?」
すると言葉が伝わったのか三つ首が会議の様な物をしたかと思えば、ケルベートの方から近寄ってきた
「ワフッ」
怪我した前足を前に出して治せと言っている様なので失礼して前足を触る
「痛かったらゴメンね?」
魔力をケルベートに送り込むとケルベートの体に薄緑の光が纏い、傷口が塞がっていく
「ワフッ!?」「ワウッ!?」「ワンッ!?」
何かに驚いている様だが、傷口が塞がった事で具合が良くなったケルベートが動きを確かめる様に俺の周りを歩く
「「「クゥン」」」
「うわっ、ちょ」
足の具合を確かめ終わったケルベートは俺を押し倒し、三つ首の全てが俺を舐めてくる
「ちょっと待てって……くすぐったいから!あははは」
ケルベートのペロペロが止まらない。もう顔中涎でベトベトなのと左右の頭に両脇腹まで舐められるからくすぐったくてたまらない
笑っていたら街の方面からやってきたのであろう二人が現れた
「あれが例の魔物ですか!」
「誰か襲われてる?助けないと!」
魔法少女スカーレットと魔法少女アルタイルだ
「襲われてるんじゃないから!あはははは!じゃ、じゃれてるだけだから!あっはははは」
ケルベートが舐めるのを止めてくれない
「クロガネ……ですか?」
「でも、前に見た時と姿が違う様な……?」
そうか、支部の子達はクロガネちゃんモードは見せた事無かったな
「あぁ、クロガネだよ!あはっははっは」
流石にこれ以上はマズい。魔法少女も来てしまったし、説明もしたいのでケルベートのペロペロを止める為に魔力をケルベートに流す。
「ワフゥ」
魔力を流したお陰かペロペロが止まった。ケルベートから抜け出し魔法少女と向き合う。
「その魔物はいったい何なのです?」
アルタイルが聞いてくるが、まあ気になるよね。
「コイツはいつもの魔物とは違う。コイツは俺の仲間なんだ」
ヴァイスの仲間だしね
「そ、そんな事言っても魔物ですよ!?本当にだ、大丈夫なんですか?」
スカーレットはどうやら俺を心配しているみたいだ。その気持ちも分かるが、ここは少しケルベートに協力してもらって安全だと証明しようじゃないか
「大丈夫だよ、まぁ見てなって!」
ケルベートに向き直り、アイコンタクトでお互い頷く。どうやら分かってくれた様だ