ヘルドッグフレンズ
「おっ、ケルベートでは無いか!」
「ケルだ、でも、正体、出しちゃってる」
画像を見せたらやはり、ヴァイス達の仲間だった様だ。
「この頭3つの犬っぽいのがヴァイス達と逸れた仲間か」
正体を晒しているという事は何か問題があったのだろうか?
「そうだ!ケルベートは良い奴なんだぞ!地獄から連れて来たのが懐かしいな……」
なんかとんでもない事聞いた気がするんだけど。
「地獄から連れて来た?」
「あぁ、地獄の門番をしているケルベートの親に散歩でもさせてやってくれと言われてな!面白そうだったから散歩してやると懐かれてしまったのだ」
「えぇ……」
地獄の番犬の子供?と散歩ってすげぇな……
「ケルベートが我と共に行きたいと親に直談判したらどうせお前に門番は務まらないから行って良いぞと二つ返事で我の仲間となったのだ!」
「えぇ……」
番犬さんよ、それで良いのか……
「ケルも、こっちの世界、楽しみに、してた」
やっぱ皆楽しみにしてたのか。勇者って奴が邪魔しなければこんな事にはならなかったんだろうな。でも、邪魔されなければ俺はヴァイスと会う事も無かったんだよな……本当に感謝していいのやら悪いのやら
「んーとりあえずそのケルベートくん?ちゃん?はこっちの方に来てるらしいから探してみるか?」
夕方頃蒼音ちゃんが弁当箱を持ってくるだろうからその時は家に居ないといけないけど探すなら早い方が良い。
「うむ、ある程度の距離まで近づけば分かるかも知れぬしな」
「早速、行く?」
二人とも乗り気なので行くとしよう
「もう少し待ってから行こうか。まだ近くに蒼音ちゃんが居るだろうし」
俺の家からクロガネが出ていった場面なんて見られたら言い逃れ出来ないだろうし。
しっかり1時間待ってからケルベート捜索に出る為変身する。
「変身」
シルエッタのお陰で家の中で変身して、バレずに外に出る事が出来るのはありがたい。
「とりあえず高い所から探してみるか」
バイザーを使えば遠くも見る事も出来るし、ヴァイスが魔力を感知した場合どちらに向かえば良いか分かりやすい。
(あれに、登る?)
そこには大きなタワーが立っていた。
「んーあんまりあれには登らない、と言うか近寄らない方が良いと思うなぁ」
あのタワーは昔、魔法少女が造り上げた魔物の魔力を感知するタワーだ
「あれは魔物の魔力を感知して支部に情報を送るタワーなんだ。魔法少女が作ったらしいんだけどあのタワーは電波じゃなくて魔力を使って情報を支部に送るらしいから魔物の電波障害とか関係無く、魔法少女に情報が行ってすぐに討伐って事が出来るんだ」
今までは電波以外の何か良く分からない物で情報を送っていたと思っていたが、クロガネになった今なら分かる。アレは魔力だ。
(私達、感知、されない)
「きっとタワーの精度が良すぎて本当に魔物のみに反応しているのかもしれない。そうでもしないと魔法少女にも反応しちゃってどれが魔物か分からないなんて事になるのかも?ヴァイス達は別の世界から来たけど魔物は更に別の世界から来ているし、二つの世界は繋がっていないみたいだからヴァイス達に反応しないって言うのもありえるかなぁって……ん?て事は」
魔物にのみ反応するレーダー、電波妨害を起こす魔物、所構わず暴れる凶暴性。これが今までの魔物。
そしてレーダーには反応しない、電波妨害も引き起こさない、魔力を隠したり、連携や会話する知能。これはこの前シルエッタを襲っていた奴ら。
「まさか、奴らもまた別の世界から来た別の魔物……?」
ふと、そんな予想が頭を巡った。
(なるほど、その考えは合っているかもしれぬな……)
ヴァイスも俺の空想を否定をせず、可能性があると言う。
「俺達ひょっとして今2つの世界から攻撃されている?」
10年間魔物の襲来から守ってきた魔法少女達に今、新たな脅威が迫っているのではないかと魔装少女はただ一人思う。