魔装少女 起動
(クロトよ!急ぐのだ戦場が我々を待っておるのだ!)
(焦らなくても大丈夫だって、ゲームは逃げたりしないよ。)
(売り切れたりはするであろう!?だから急ぐのだ!)
まぁ焦ってもそんなに速く走れる訳じゃないのでゆっくり行くことにしよう。
「何あの子?ニコニコして可愛い!」「お使いかな?可愛らしいわぁ」
何か聞こえてきたので少し急ぎ足で行こう。こういうのはどうしても慣れない物なのだ。自分でも若干顔が赤くなってるであろう事は分かる。
(別にクロトの事を悪く言ってる訳では無かろう?)
(それでも苦手な物は苦手なんだよ……)
足が自然と早く動き、ショッピングモール行のバスステーションにたどり着く。
バスステーションに人は居らず一先ず安心してバスを待つ 次のバスは後5分程で着くみたいだ。
(クロトよ我の我儘に付き合ってくれてありがとうなのだ。)
(どうしたの?改まって?)
(いや、我がクロトの家にやっかいになってからもう1ヵ月は経った。我とクロトは友達と言ってもクロトに甘えすぎているのでは無いかと思ってな?)
(別に甘えてもいいんじゃない?)
(えっ!?)
(甘えすぎているって考えも分かるけど今まで友達が居なかった俺の友達になってくれてヴァイスと過ごす毎日が楽しいし、迷惑だなんて思った事一度も無いよ。)
(そう……か、そうか!うむ!やはりクロトは最高の友達だ!)
(ヴァイスも最高の親友さ。)
(親友……いい響きだな。あぁ親友だ!)
ヴァイスとの友情を再確認しているとバスがやって来た。
(よし、じゃあ後はバスに乗ってモールに新作を買いに行くぞ!)
(あぁ!任せたぞ!)
ショッピングモール行のバスに乗り込み、揺られること10分もすればショッピングモールにたどり着く。
大型のショッピングモールMIONである。
(ここがショッピングモールであるか、とても大きな施設だな)
(大体の物はここで買えるからねぇ)
道内最大のショッピングモールであるMIONは平日でも中々に混んでいる。
目当てのゲームがあるショップは2階の端の方にあるので少し歩かなければならないが、周りのショップなど見ながら歩いていればすぐにたどり着いた。
(さて、装コアの新作はまだ残っているか!?)
(ちょっと待ってね……おぉあったあった!)
【装甲ド・コアArrange】これが新作の装コアだ。
「すいませんこれ下さい。」
「イラシャセー8980円にナリァス」
「1万円で」
「ハァイオツリの1020円にナリァス、アリャシター」
よし、何とか新作は確保出来た。後は帰るだけだが折角モールに来たんだし、ちょっと寄り道していこう。
(ヴァイス?今この状態って味覚の共有とか出来るの?)
(味覚の共有?出来る事は出来るが何か食べるのか?)
(ちょっとアイスクリームでも食べようかと思ってね。)
アイスは別腹だ。
(おぉアイスか!前に家で食べたのもウマかったしアイスは食べたいぞ!)
そうと決まればフードコートに行くことにしよう。
フードコートはお昼時も過ぎていた為、席もまばらに空いていた。俺は真っ直ぐアイス専門店へと向かい、
どのアイスを食べようか目移りしながら選んでいた。
「うーん、シンプルなバニラやチョコも良いけどチョコミントとかも捨てがたい……」
(我は抹茶アイスがいいぞ!)
ホントにこっちに染まってきたなぁ。
「よし、抹茶とバニラのダブル下さい。」
「700円デース」
「1000円で」
「オツリ300円デース」
よし、席に座っていただこう。
「(いただきます)」
まずは抹茶から。口に広がる抹茶の風味が心地いい、甘さも控えめで食べやすい。
(この口に広がる抹茶の風味が絶妙だな。)
好評でなにより。
次にバニラを一口、この甘さこそバニラ!シンプル且つ奥深い味わいは他のフレーバーでは中々出せないだろう。 バニラ大好き
(バニラも中々良いな)
(でしょ?)
アイスも食べ終わり、そろそろ帰るかと思ってスマホで時間を確認する。
〔15:45〕
おっともうそんな時間かと思った所でスマホの右上の表示された文字を見て驚愕する。
圏外の二文字に。
ここはショッピングモール普通は圏外などありえない。ただ普通じゃないとしたらこの文字はある事実を指し示している。 そう、魔物の出現を。