野良猫再び
「ホホッホホゥ!」
ゴリラが俺に体を向け、まだ手に持っていた岩を投げようと構える。
「こっちを忘れるなよ!」
マーシャルがゴリラの背後から砲撃を行う。背中から砲撃を喰らったゴリラはよろめき、岩を落とす。
「我らを無視するとは良い度胸だ」
明星が召喚した紙の虎がゴリラの足に食らいつき、ゴリラは虎を振りほどこうと足を振っている。
そんな無防備なゴリラに対して俺は空中で右足を前に出し、キックの構えをする。
「こいつでどうだ!」
ゴリラの胸部に踵のパイルバンカーを打ち付ける様にキックを当てる。
「ウゴゴゴゴゥ」
少し効いたようだが、まだ奴は立っている。
ゴリラの目の前に着地し、相対する。結構デカい。
この前戦った時に野良猫同盟の二人は遠距離タイプな気がしたので今の状況は比較的良いハズだ。
俺がゴリラのヘイトを持ち、二人がアウトレンジから攻撃する。よし、これで行こう。
「ほらほら、来いよゴリラ野郎!」
両手でクイッと挑発してこちらに注目させる。
「ウガァァァ!」
4本の腕でドラミングしながら俺に殴りかかろうとするゴリラ
「ふっ!ほっ!やばっ」
ゴリラが腕を1本ずつ殴りかかってきたのでクロガネの両手でゴリラの両腕を抑えたが、まだ奴には2本、腕が残っていた。それで殴りかかってきたので、来るであろう衝撃に備えていたら……
(サル、この程度、本気を出す、までも無い)
怒りのシルエッタさんが冷たい声でゴリラを評価したと思ったら、クロガネの影から2本の腕が現れゴリラの残りの2本の腕を抑えた。
「ホホ?」
急に現れた影の腕に困惑するゴリラだがクロガネの4本の腕の拘束から逃れる事が出来ないゴリラは次第に自分がマズい状況だと分かり始めた様だ。
「後は頼む!」
「任せよ!」
「了解した!」
野良猫同盟の二人が砲撃や式神の攻撃をゴリラに喰らわせる。
「魔法少女デネブ!とーちゃーく!って、野良が3人?あっクロガネじゃーん!」
支部の魔法少女の一人、魔法少女デネブが現場にやって来た様だ。
「デネブか、抑えてるからコイツさっさとやってくれ!」
4本腕で抑えながらゴリラが逃げたりしないように拘束を続ける。
「ゴゴ!ゴゴゴ!ホゥ!ホゥ!」
新たな魔法少女が来たことによりゴリラが焦っているのが分かる。
「そんなに暴れんなよ?」
腕部のパワーを上げ、拘束を更に強固にする。
「ホッホゥ!」
ゴリラは足で俺を蹴飛ばし、拘束を解除しようとしたが
(まだ、出せる)
影から更に2本の腕が現れ、ゴリラの足を拘束する。
「よっしゃーそのまま頼むぞぉ!スワンストライク!」
デネブが大剣を横薙ぎに振ると大剣のレリーフだった白鳥が飛び出し、ゴリラを貫く。
「ウゴォ……」
レリーフから飛び出した白鳥は大きくなりながらゴリラを貫いた為、ゴリラの胴体が吹き飛んだ。
状況を確認しよう。今、俺はゴリラが動かない様に抑えていた。野良猫同盟の二人はゴリラの背後から砲撃や噛みつき等攻撃をして、デネブも同じくゴリラの背後から大技を放っていた。
背後から貫かれたゴリラの胴体の残骸ってさぁ、どこに落ちると思う?
「う゛わ゛ぁ゛ま゛た゛か゛よ゛ぉ゛」
思いっきりゴリラの血まみれになったクロガネ。魔物の血まみれになるのは鰐頭以来だ。
「あっすまんクロガネ!大丈夫か?」
デネブが近寄ってきて心配するが……
「これが大丈夫に見えるか?」
全身青い血まみれになった俺を見て顔を引きつらせるデネブ。
いや、魔物の残骸も血もちょっとしたら魔石に変わって消えるから良いんだけどさぁ……
「クロガネよ平気か?」
「大丈夫か?ブフッ」
マーシャル今笑ったな?
「絶賛、心にダメージ受けてる最中だよ」
なんとかゴリラの残骸が魔石に変わったお陰で俺も血まみれから普通の状態に戻れた。
「ふぅ、魔物も無事倒したし俺はもう退散させてもらうよ」
いくら魔法少女が修復魔法で修復しても今日中にはクレープ屋は再開出来ないだろう。魔物を倒したのはデネブだし、魔石は俺に貰える権利は無いのでもうここに用は無い。
「待ってよ!」
デネブが止める。
「何?」
「クロガネって独りぼっちなのか?」
デネブがなんか直球で失礼な事を言ってくる。でも、独りぼっちですか……
(クロトには我がついてる)
(私も)
俺は独りじゃない。でもこの質問はどう答えるべきかな?
「クロガネは我らの仲間だ」
「私達は同盟仲間だよな?」
どう答えるか悩んでいたら野良猫同盟の2人がなんか言ってた。
「んー仲間……まぁ魔物と戦うって所じゃ仲間かな?だが、同盟は組んだ覚えないぞマーシャル」
でもちょっと嬉しかったぞマーシャル
「俺は独りぼっちかって質問には違うと答えさせてもらうよ」
魔装少女は一人でも俺は一人じゃない。仲間が、ヴァイス達がついてるから。




