野良猫再び
俺の寝相は良い方だ。
少なくともベットからはみ出る事など今まで一度も無い。
「なんで?」
なんで俺、床で寝てるんだ?
とりあえずベッドに戻ろうとした時ある人物が俺のベッドに居た事に気付いた。
「なんだシルエッタかぁ……ファ!?」
俺のベッドを占領していたのは昨日保護したシルエッタだ。
「びっくりしたけど昨日の夜なんか怪しかったもんなぁ」
何か怪しげな雰囲気を感じたから部屋に鍵を掛けていたけど、どうやって入ってきたのだろうか……?
「って、あ~あ~ベッドぐちゃぐちゃだよ……」
シルエッタに占領されたベッドは掛布団やらマットやら枕がベッドから落ちており、上に何も掛かっていないシルエッタが気持ちよさそうに寝ている。
「もしかしてシルエッタ寝相が悪いのか……?」
俺もシルエッタに弾き飛ばされたのか?まぁ眠りは深い方だから寝ている間の出来事は分からん。
昔じいちゃんに落書きのイタズラされた事もあったなぁ。
「起こすのも悪い……のかなぁ?」
うーん、俺のベッドを占領してるし、起こしても問題無いか?
「うぅん、あぁクロト、おはよう」
あ、勝手に起きた。
「おはよう……じゃなくてシルエッタ、なんでここに居るんだ?」
当然の疑問を訊ねる
「クロト、驚いた?」
驚くに決まってんだよなぁ……
「驚いたよ、まさかシルエッタって寝相悪かったんだなって……」
「!?これは、違う!枕とか、勝手に飛んで行った、だけ!」
枕は勝手に飛ばないよ?俺を驚かそうとベッドに潜り込んだんだろうけどまさか俺ごとベッドから飛ばすとは……
「なんでもいいけどどうやって入ったの?鍵かけてたハズだけど……」
扉の鍵を確認すると鍵は掛かっていた。いや、忍び込んだ本人が内側に居るからなんとも言えないけど。
「昨日の夜、影に潜って、入った」
シルエッタは影に入る事が出来るのは知っていたけど反対側も暗ければドアくらいなら関係無いのか……
「ちゃんと自分の部屋があるんだからそこで寝ないと」
俺を驚かす為にやった事だから遊びなんだろう。怒る様な事じゃ無いけど今後もやられるとせっかくの部屋が勿体ない。
「むぅ、クロト、ドキドキ、してない?」
そりゃ昨日の夜とは状況が全然違うし……
「寝てる間にベッドから弾き飛ばす様な子にドキドキはしないかなぁ」
平静、平静、表情に出さない様にただ事実を言って俺の状態を見て、気持ちを落ち着ける。うん、今の俺の
状態でシルエッタにドキドキする事は無いわ。
「なんか、悔しい」
悔しいって言ったって失敗したのはそっちなんだよなぁ
「さあさあ、起きたんならベッドからどいてくれ。ベッド直さないといけないから」
ぐちゃぐちゃになったベッドを直さないと寝る事も出来ないし、何よりこういう状態で放置しておくのは良くない。
「はーい、クロト、ベッド、ぐちゃぐちゃにして、ごめんね?」
シルエッタはベッドから退いて謝ってくる。
「はい、良く謝れました。ベッドは……朝ごはん作ってから直すか」
この状態で放置するのも良くないが、俺と二人の朝ごはんを作らないといけないし、後で直しても良いだろう。
「シルエッタ、朝ごはん食べたい物とかある?」
特に何作ると決めていなかったので要望を聞いてみよう。
「何でも良い、クロトが、作る料理、食べたい」
んーそれ困るんだよねぇ。でも俺が作る料理だから冷凍食品とかは使うなよって事か。
「はいよ、俺が作る朝ごはんなら何でも良いのね。じゃあ手抜きはしないで料理するかぁ」
俺の部屋から出て、キッチンに向かう。シルエッタもついてきた。
「おっ?おはようだぞ!クロト」
丁度ヴァイスも部屋から出てきた所だった様だ。
「おはよう、ヴァイスは朝ごはん何か食べたい物ある?」
「そうだな、やはり朝は焼き魚が食べたいぞ!」
すぐに食べたい物が言えるって結構難しいよね。
「了解、じゃあシルエッタと一緒に居間で待ってて」
「うむ、いつもありがとうだぞ!」
キッチンに立ち、料理をするが一つ困った事になる
今日からはシルエッタの分も朝ごはんを作る事になる。やっぱこうなると炊飯器のサイズがちょっと厳しくなってくるなぁ……
「んーやっぱ新しく炊飯器買わないとダメかなぁ」
例のあの人の分とか、他の子の弁当作るって約束の分の為にもここは思い切って1升炊きの奴買っちゃうか?
そんな事を考えながら、でも手は止めずに朝ごはんの支度を済ませた。
誰かの為に料理を作るって良いな。




