イミテーションの過去
「ゲーム機?」
「おぅ!遊びが詰まった夢の箱だ!」
初めてゲーム機という物を目の当たりにし、これでどう遊ぶのかと思っていたら遊造が慣れた手つきで準備をして部屋に置いていたモニターでゲームが出来る様になっていた。
「玄斗、簡単なゲームか俺の好きなゲームどっちが良い?」
俺は遊造が好きなゲームという物が気になったので遊造が好きなゲームという方を選ぶ。
「遊造の好きなゲームの方をやりたい」
「ハハッそうかそうか!言っとくけど難しいぞぉ?」
そう言って起動したゲームは
【メタル・ハーツ】
俺のお気に入りゲームとなった装コアの前作である。
「これ、難しすぎじゃない?」
ブーストの管理や武器の射程、敵の装甲に対して有効な攻撃の選択etc…
「やること多くて分かんなくなるだろ?でもそれが分かってくると楽しいんだ!」
言いながら俺を倒す遊造。
「手ぇ抜くってのは苦手なんだ。わりぃな」
大人げない事を言う遊造だが、その楽しそうな表情を見て俺も必死で操作を覚える。
熱中して数時間程プレイして
「こうやって、こうか!」
「ぬお!?マジか!当ててきやがった!やるじゃねぇか」
近距離戦ではほぼ勝てないと思って遠距離戦用に装備したスナイパーを使って攻撃を当てる
「くっそぉやられた!玄斗、中々才能あるじゃねぇか!」
才能があると褒められて嬉しい。
「やった、やっと勝った!このゲームって奴凄い面白い!」
勝利の喜びを初めて感じた事で完全にゲームの虜になってしまった玄斗
「楽しいだろ?やっぱ人生楽しくねぇとつまんねぇよ」
遊造の言葉に今までの人生はなんてつまらない人生だったんだろうと玄斗は思っていた
「これからの人生は楽しく生きようぜ?」
頭を撫でながら言ってくる遊造に感謝しながら肯定する。
「うん!」
「遊造、いやじいちゃん。俺を孫にしてくれてありがとう」
呼び捨てにするよりこっちの方が良いと思い、じいちゃんと呼ぶ
「うおっ突然どうした?いきなりじいちゃんとかビックリするぜ?」
「これからよろしくお願いします!」
頭を下げてしっかり感謝を告げる。
「そうか……おう!玄斗もこの世界を楽しめよ?」
「うぉおおおおん、世界を楽しめとは遊造殿の言葉であったのか!それを玄斗が我に……うぉぉおおおおん」
なんか感動しているみたいだ。俺はじいちゃんの真似しただけだからあんまり言われると恥ずかしい。
「ク゛ロ゛ト゛ォ゛料理ぃ、頑張っだ!」
シルエッタは俺が料理を作れるようになった事を褒めてくれている様だ。
「じいちゃんと4年くらい屋敷で暮らして常識とか覚えてなぁ、俺もじいちゃんに迷惑かけっぱなしだと悪いと思って仕事しようと思ったんだよ。じいちゃんはなんか、グループの元会長とかで悠々自適な老後を過ごしてたんだけどそこに俺が一緒に住む事になったから申し訳なくてな」
「ぐすっ……ほう、それで?」
ヴァイスは落ち着いた様だ。
「就職活動したんだけど俺こんなだからどこも雇ってくれなくてなぁ……」
そういって成長しなくなった体を見る。
「確かにその見た目だと子供にしか見えないな……」
ヴァイスが肯定する。ちょっとは否定して欲しかったなぁ?
「そしたらじいちゃんがな?俺がお前を雇う!って言ってこの北海道の家の管理人って仕事を俺にくれたんだ」
「ほうほう」
「人が住まねぇと家ってのはすぐダメになる!って言ってな?でも実際は俺が他の人間と違うって事を隠す為だったのかもな……」
人と違う、それはどうしても目立つ。だから俺がそういった目に晒されない様に配慮して、でも俺が自立しようとしてる事を尊重する為、屋敷のある本州から離れた北海道のこの家で一人で頑張ってみろ!というじいちゃんなりのエールだったのかもしれない。
「じいちゃんには敵わないよ、自立するって言っても結局じいちゃんに守られてるんだから」
あの時じいちゃんに会わなかったら俺はいったいどうなっていたんだろうな……
「で、今に至るって感じだ」
「我は感動したぞ!で、今遊造殿は何処に居るのだ?」
「何処に、居るの?」
シルエッタも復帰したみたいだ。
「じいちゃんは今頃空の上かな」
「えっ……死んでしまったのか!?」
あっ言葉が足りなかった
「あぁ、違う違う!死んでないよ?今頃空からダイブして遊んでるだろうって話だ」
俺のスマホにスカイダイビングの旅に行ってくるぜぇ!とメールが届いていたのだ。
「そのうち日本に帰ってくると思うからその時はこっちに来るかもね」
「本来なら隠れて過ごさねばならないが是非遊造殿には会ってみたいものだ」
「俺もじいちゃんに2人を会わせたいよ。俺の自慢の友達だってね」
人間じゃないけどそんな事は関係ない。俺の人生を変えた友人達を何時か、じいちゃんに自慢してやるんだ!