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プロローグ⑤

「色々聞きたい事があるのだが、聞いてもよいか?」

 嵐(蒼音ちゃん)が去って俺の中からにゅるっと出てきた魔王様の開口一番。


「答えられる範囲ならいいよ。」

 にゅるっと出てきたのは若干怖かった。


「では、あの少女との約束とはなんなのだ?毎週1回は来るのなら我にも隠れなければならないだろうし、関係無いという事にはならんだろう?」


「まぁそういう事なら言ってもいいか。彼女も魔王様と同じ様に家の前で倒れてたんだよね。」

 家の前で倒れた所をとりあえず救助(ご飯を食べさせた)したんだけどその時のご飯の味が忘れられなくて、食費を出すから毎日ご飯を作ってほしいと頼まれたが、まず女の子が見知らぬ人の家にご飯を食べに行くってのは危ない。と言ったら、「私、魔法少女ですよ?」ってサラっと言われた。なんで家の前で倒れてたのかと聞いたら、魔物と戦い魔力の使い過ぎでお腹が減って家までたどり着けなかったらしく、その事情を聞いて「まぁ週一でなら良いか」と口にしていた。そして「私が魔法少女なのはヒミツですからね?」と秘密を暴露され後に引けず彼女に週一回ご飯を作ってあげるという約束をしたという事を魔王様に説明した。


「なるほどな、そういう事情だったのか。では次の質問なのだがクロトよ、おぬしいったい歳はいくつなのだ?」

 あぁそっかだから「親は居ないのか」って聞いてきたのか。しょうがないよなこの()()()なんだから。


「25だよ。」


「は?クロトはエルフなのか?」


「いや違うよ。」

 エルフて、というかやっぱ異世界だとエルフとか居るんだ。


「どうみても()()ではないか!?」


「見た目はそうだね確か16歳のままかな?」

 あの時から。


「だが、一般的な16歳とはもう少し大きいのではないか?」


「平均より小さかったのは生まれつきじゃい!」

 身長は気にしてる事だから触れてほしくなかったなぁ?


「顔つきも中性的というか……」


「それも生まれつきじゃい!」

 分かってた、分かってたけど触れてほしくなかったなぁ?

 平均より小さい身長、中性的な顔立ち、この二つは人から揶揄われる大きな要因となっていた。


「だが、いったいどうやって普通の人間?であるクロトがその様な状態なのだ?」

 普通の人間に疑問符を付けた事はこの際見逃してやろう。


「魔物に襲われた時に魔力にあてられたとかなんとかで成長が止まったらしくて普通は魔物に襲われたら死ぬのが当たり前だから生き残った俺はレアケースなんだとか。」

 詳細は伏せるが。


「な、なるほど……中々にヘビーな話であったか……すま」


「謝らなくていいから、この体の事はどうにもならないけど普通に生活はできるから気にしなくていいよ。」


「クロトがそういうなら分かった、これ以上言及はしない。」


「聞き分けが良くてよろしい。ところで他に聞きたい事はある?魔王様?」


「いや、もう聞きたい事は無いのだがお願いが1つあるぞクロト。」

 魔王様からのお願いですか。なんだろう?いきなり貴様の心臓を寄越せとかだったらどうしよ。


「我の事を名前で呼んでくれないか?」


「ん?そんな事がお願い?」


「これからやっかいになる訳だしな、それに我はこの世界の魔王では無い。態々こちらで魔王と呼ばれると我もむず痒いのだ。だから名前で呼んでくれクロトよ。」

 そっか、ちょっと距離を置かれて生活するって苦しいよな。それを察してあげられなかったのは俺のミスだ、これからはキチンと名前で呼んであげよう。


「わかったよヴァイス」


「そうそう!それでいいのだクロトよ!」

 ニコニコと、良い笑顔のヴァイスがうんうんと首を振っている。そして手を差し出してきた。


「今日からクロトは我のこちらの世界での初めての友達だ!よろしく頼む!」

 友達か……生まれて初めてだな。


「あぁ、こちらこそよろしく頼むよヴァイス!」

 ヴァイスの差し出してきた手をしっかり握る。


「「今日から友達だ!」」

 なにか人生がまた変わりそうな気がする。そんな予感めいたものを玄斗は感じるのだった。

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