イミテーションの過去
フェイルの最後の利用方法が決まり、後やることは魔法少女を呼ぶだけとなった2人は達成感に包まれていた。
「魔法少女を呼び寄せるのはサル共を使えば簡単だろう」
「魔法という技術を医療の発展に利用したいから魔法少女を1人寄越してほしいと既に連絡している、明日には来るそうよ」
2人は魔法文字の解析は済んでいるが、魔力という物が無かったので術式を作る事が出来ても行使することが出来なかった。
「来てもらう魔法少女には悪いが我々の為に死んでもらおう」
「ええ、魔法少女には悪いけど優秀な我々が不老不死になる為に1人くらい死んでしまっても構わないわ」
魔法少女には悪いがと口には出しているが、心の中ではそれほど悪いと感じていないだろう。
当然フェイルに対して悪いなど微塵も考えていない。むしろ我々の為に死ねるのだから感謝しろと言わんばかりの考えだろう。
そして、運命の日となった。
「こんにちわ、えーと医療の発展の為に魔法が見たいんですよね!」
世界でも数少ない魔法少女の一人が悪魔達の研究施設にやってきた。
「ああ、頼むよ我々の為にね」
「貴女が魔法を使ってくれれば私達も研究が進むというものだわ」
2人は今までしたことが無い程笑顔で少女を迎えた。
「ところでどんな魔法を見せれば良いんですか?」
少女は2人に尋ねる。医療の発展の為とは言え、どんな魔法が見たいのか聞いていないからだ。
「これから行く所で魔力という物を出してほしいんだ」
「魔力放出ならすぐに出来ますけど……」
「いや、この先で魔力を出して欲しいのよ」
2人の足が段々速くなっていく。不老不死の夢がすぐ目の前にまで来ているのだ
「なんか怖いですよ?2人とも」
魔法少女も訝しんでいるが、目的地に到着したので2人の言う通り魔力を放出しようとした時、部屋の角の辺りに気配を感じた。
「あの子は誰ですか?」
そこには明らかに普通ではない人間が体育座りしていた。
「あれは気にしなくても良い、良いから早く魔力を放出してくれ!」
「気にしなくても良いって明らかに弱ってるじゃないですか!」
そう言って少女は部屋の角に居た人間に近寄る
「大丈夫ですか!?ヒール!」
見た感じかなり衰弱していたのでその人間に回復魔法を掛ける
「うぅ……えっ……誰……?」
弱り切っていた人間が顔を上げ、返事をする。
小柄な体と中性的な顔立ち、伸びきった髪で男か女か分からなかった。
「そんな奴に魔法を使わなくていいからこちらの陣の上で早く魔力を放出してくれ!」
賢司が声を荒げ、魔力を使う様怒鳴ってくる。
「あなた達何かおかしいです!こんなに弱った子が居るのに無視して魔力を放出しろって何言ってるんですか!」
少女も何かがおかしいと思い、警戒する。
「私達は貴女に魔力を放出して欲しいだけ、魔力さえ出してもらえれば貴女は用済みよ?」
紀子も賢司に同調し、魔力を使えと言ってくる。
「何……何が起きてるの?」
回復魔法を掛けてもらったお陰で動けるようになったフェイルが周りに状況の説明を求める。
「お前の命を利用して我々は不老不死になるのだ!どうせお前は生きても後1,2ヶ月だ!だったら優秀な我々の為に生贄として利用してやるのが失敗作のお前を最大限活用出来るという物だ!」
「えっ?」
体の不調は寿命が限界に近い事を突然知らされ愕然と、しかしどこか嬉しくフェイルは思っていた。
やっと苦しみから解放されると。
「酷い!命を何だと思ってるんです!」
賢司の言い分を聞いて少女が激怒する。
「そいつはただの失敗作、人間に似た物でしかないわ。16年も面倒見て来たんだから最後にどう使おうが私達の勝手でしょ?」
紀子は至極当然と言わんばかりの態度でフェイルの命を使いつぶすつもりだ。
「あなた達狂ってる!」
そう言って少女はフェイルを抱えて研究施設から出ようとする。
「何処へ行くつもりだ!そいつは私達の物だぞ!」
「逃がさないわ!」
2人は研究施設の出入り口にロックを掛ける。
「だったら壊してでも出ます!」
少女が戦闘態勢を取った時、空間が震えた。
「な、なんだ!?」
「何!?」
「くっこんな時に……!」
「何が……起きてるの……?」
空間が歪み、その中から大きな爪や、4本の足、揺らめく鬣や顔と思われる部分から3つの瞳がこちらを覗いていた。
そして、歪んだ空間からライオンの様な姿をした魔物が現れた。




