イミテーションの過去
「これは駄目だな、失敗だ」
「そうね、こんなものは不老不死に到底届かない失敗作だわ。」
天才達にとって今回造り上げた実験体は失敗作だった様だ。水槽の隣にあるモニターに映った情報を見て二人は落胆する。
「推定寿命が16年程度しか無いなんて欠陥品もいいところだ」
「やっぱりクローンに意識を移して不老不死を実現するという計画はやめた方が良いかもしれないわね」
2人は不老不死を実現する為、クローンを使った不老不死計画を練っていたが、今回の実験結果を見てクローン計画は中止する事を決断した。
「では、この失敗作はどうする?廃棄するか?」
「人体実験に使えるからこのまま飼育で良いんじゃないかしら?」
不老不死の研究に使えるなら失敗作でも使い道はある。
「なるほど確かにそれなら有効に消費出来るな」
「廃棄するにも外部に漏れたら私達の計画を邪魔されるかもしれないし、この培養槽で飼育したら外の連中にはバレないでしょう?」
2人の研究は外の無能共にバレたら私にも噛ませろと煩い奴らしかいない。
「そうだな、煩わしいサル共に我々の崇高な計画の邪魔をされては困る、こいつはここで飼育して実験台として使うのが我々の研究に役に立つだろう」
「こいつ、じゃ少し不便ね。そうねぇ私達の研究に失敗は付き物だしフェイルでどうかしら?」
造られた命は失敗作と名付けられ、ある程度成長するまで培養槽で飼育された。
フェイルは様々な薬品や実験のモルモットとして15年間2人に体を使われた。
「今回はこの薬品が使えるか試してみるとしよう」
「フェイル、来なさい」
「はい」
15年も実験の為、人体実験を行われたフェイルに反抗する気力など無い。
「くぅ……うっ……」
腕に薬物を投与され痛みが体を走る。
「やはりこの調合ではダメか」
目や鼻から出血するフェイルを横目に資料を見ている賢司
「培養槽に戻って次の実験に備えなさい」
出血した事を心配する訳では無く、実験台が無くなる事を危惧する紀子
「了解、しました」
命令に従い、培養槽に入るフェイル
これが実験体フェイルの日常。
明日はどんな薬物を使われるのか、どんな実験をされるのか。そんな希望の無い日々を過ごすフェイルに2人が目指す不老不死は自分にとって終わらぬ地獄の様にしか感じられなかった。
「死ねないのに、何がしたいんだろう」
液体が満ちていく培養槽の中でフェイルは一人、意識を手放す。
「我々の実験も中々進んできたな」
「ええ、フェイルを使って実験することで人体への影響データを集めやすいわね」
フェイルが培養槽に入っている間に2人は実験が進んできている事を話す。
「そういえば、何か新しい生き物が現れたとか地上で言っていたわね」
「魔物、とか言ったか、兵器が利かない化け物だとか」
この頃魔物が地球に現れ、人間を襲っていた為、軍隊などが抵抗していたが兵器が効かず四苦八苦していた。そして……
「魔法少女とか言う存在が魔物と戦っているそうよ?」
「魔法……ふっ、科学者として魔法など信じていないが、不老不死に使えそうならどんなものでも使ってやろうじゃないか」
不老不死の為ならと、非科学的な魔法を使う魔法少女の資料を集める賢司と紀子
「我々の様な優秀な存在は人間という存在から進化しなければならない」
「その為にはどんな物を犠牲にしてでも我々は不老不死に、人間を超越した存在になる」
2人の悪魔は魔法という新たな技術の情報を集め、不老不死になるための術式を1年掛かりで組み上げる事に成功した。
「遂に、遂に完成したぞこれを起動さえ出来れば我々は不老不死となる!」
「魔法文字の解析には骨が折れたけど何とかなったわね」
2人の悪魔は今までこの世界に無かった魔法文字の解析を1年で行い、後は術式を起動させるだけという所まで来ていた。
「魔法少女とやらをここへ呼び、術式を行使させれば我々は晴れて不老不死となるが……」
「不老不死となる為には命を別の者から奪う必要があるのよね」
完成させた術式は一人の命を奪い、もう片方の命を永遠の物にするという術式だった。
「一人はここに呼ぶ魔法少女から奪うとしてもう一つはどうやって入手しようか?」
「忘れたのかしら?我々には丁度良い消耗品があるじゃない」
15年間実験台として使い、もうじき死ぬ予定の丁度良い材料がある事を
「そういえばアレもそろそろ壊れる予定だったな、だったら使わない手は無い」
そうしてフェイルの最後の利用方法が決まった。




