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イミテーションの過去

「俺も居間に戻ってヴァイスを待つか」

 俺の過去を話すのは2人が揃ってからにしよう。


 シルエッタの居る居間に戻り、ヴァイスが風呂から戻ってくるまで待つ。


「シルエッタ、ヴァイスが風呂から上がったら話したい事があるからそれまで待っててくれる?」


「話したい事?」


「シルエッタが本当の事を打ち明けてくれたから俺も2人に過去の事を打ち明けようかなって」


「背中の、傷の事?」


「そうだな、背中の事もだ」

 俺の過去に付けられた傷の事も話すべきだろうな。


「と言う訳で、ヴァイスを待つ間暇だし遊んでようぜ?」

 そう言って俺はゲームのコントローラーを渡す。


「わかった、クロトの過去も、気になるけど、今は、遊ぶ」

 シルエッタがコントローラーを受け取り、隣に座る。


「シルエッタは素直で良い子だなぁ、そんなシルエッタにはヴァイスが居ないうちにこのコースのショートカットを教えてあげよう」

 これから2人が揃ったら割と重い話をする事になるが、今はシルエッタと遊ぶとしよう。


「ここでカーブを曲がらないで加速して突っ切ると……」


「すごい!こんなに、近道、出来るの?」

 コースを大幅に短縮出来るショートカットを使うには加速アイテムが必要なのだが、それさえあれば割と簡単に出来るのだ。


「これを今度ヴァイスとやる時にでも使えば驚く事間違い無しだよ」


「ふふっ、ヴァイス様との、勝負、負けない」

 多分今でもシルエッタの方が強いんじゃないかなぁ?


 そして、何レースかシルエッタと対戦していると


「上がったぞクロトよ!」

 ヴァイスが風呂から上がってきた。


「ヴァイス、話したい事があるから聞いてくれるか?」

 いよいよ2人が揃ったので覚悟を決める。


「ん?なんだ?」


「クロトが、過去の事、話してくれる」

 シルエッタが俺の代わりに伝える。


「ふむ、クロトの過去か……聞かせてくれるのだな?」


「シルエッタが本当の姿を見せてくれたんだ、俺も過去を隠したままじゃフェアじゃないだろ?」


「なるほどな、分かった。クロトの過去に何があったか聞かせてくれ」


「話す前にだけどヴァイス達って科学って分かる?」


「よくは分からないが、こちらの世界の技術の事だろう?」


「まぁそんな所だね」


「で、その科学がどうしたのだ?」


「俺の親に当たる人間ってのが科学者だったんだ。しかも天才って言われる部類の」


「技術を作っているのなら偉大な人物だったのではないか?」


「まぁ技術の発展とか考えると確かに偉大な人間だったのかもな」


「だけど、俺にとってはあいつらは悪魔の様な存在だった」


「俺はあいつらに()()()()存在なんだ」




 科学者の遊馬紀子(アスマノリコ)立花賢司(タチバナケンジ)は天才であった。

 2人は結婚こそしていたが愛など無く、お互い研究ばかりしていた。命の研究を


 医学の発展に尽力していたと言うのが世間一般の彼らに対する評価であったが、彼らが発表した内容は彼らが裏で実験していた物の副産物であったりしただけだった。


 彼らが研究していた物とは命をコントロールする事。不老不死になる為の研究だった。


 その実験の中で自身のクローンを作るという計画もあった。彼らは自分たちの体細胞を取り出し、改造して試験管に入れ、受精卵を作り上げた。見た目は体外受精だが中身は2人の細胞で出来た複合クローン(人間の紛い物)とでも言える物である。

 お互いに愛が無かった為普通に妊娠するという考えすら浮かばなかったらしい。


 むしろ妊娠することによって実験が出来ないという身勝手な思いで試験管で造った受精卵を子宮では無く、大きな水槽に移し、成長させた。天才であったが故それが出来てしまった。


 小さな受精卵が細胞分裂を繰り返し、だんだん大きく、そしてヒトの形に近づいていく。


 通常の受精卵では無かった為、赤子の形になるまで1年かかったが、水槽の中で2人の悪魔(天才)の細胞から造られた新たな命が誕生した。



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