シルエットメイト
「ふぅ、いきなり風呂一緒に入りたいとか何考えてるのかさっぱりだ」
脱衣所で思わず呟いてしまう。俺の背中の傷は人様に見せる物では無いし、そもそもシルエッタも女の子だ。一緒に風呂に入るなんて出来る訳が無い。
「さっさと洗って2人の所に戻るか」
風呂場に長居するのも悪いので体を洗い、風呂に入る。
「んー、シルエッタを襲ってた魔物って明らかに今までの奴らとは違うよなぁ」
今までの魔物は言葉なんて喋らないし、何体も倒した訳では無いのでデータが少ないが2体倒さないと魔石が出ないとかありえなかった。
そもそも魔力を隠そうとするとか明らかに魔法少女にバレない様にしているのに同じく魔力を隠していたシルエッタを襲うとか何考えてるんだ?まぁ魔法少女は来なかったから隠蔽はバッチリだったけど。
「んー、何か目的があるのかねぇ」
何か目的があったとしても今の俺にはそれを知る術がない。
「やっぱヴァイスの言う通り現れたらぶっ倒すしかないか」
大分思考が脳筋な気がするが、これしか無いし考えても仕方が無いか。
「さて、上がるか」
風呂から上がり、脱衣所で着替えて居間に戻る。
「インを突くの上手過ぎないか?シルエッタよ」
「こうしたら、速い」
2人はレースゲームをしていた。
「シルエッタ、そこで左に飛べばショートカットだぞ~」
「お、これは、強い」
「そこからショートカット出来るのか我も行くぞ!あっ落ちた」
横から情報を出すとシルエッタは上手くショートカットしてヴァイスはミスってコースから落ちていた。
「ゲーム初心者と遊ぶなら我もあまりプレイしないレースゲームでなら良い勝負になるかと思っていたが……まさかシルエッタがレースゲームに才能があるとは」
ヴァイスもちゃんと初心者と遊ぶ為出来るだけ公平になる努力をした様だがシルエッタはゲームが上手かった様だ。
「いえーい、1位」
「ぐぬぅ、5位だ」
ヴァイスが手を抜いている訳では無い。普通にシルエッタが強いのだ。
「おめでとう、どっちでも良いから風呂入ってきな?」
「では、シルエッタが先に入ってくるが良い」
「ん、わかった、じゃあお風呂、入ってきます」
「脱衣所にタオルとかは置いてあるから使ってね」
「はーい」
そして居間からシルエッタが脱衣所に向かう。
「我もロボットゲー以外にも色々やった方が良いのだろうか……」
初心者に負けてちょっと心にダメージを負っている様だ。
「やりたいゲームやれば良いんだよ。負けたくらいでへこむなよ?」
悔しかったら練習したら良いし。
「うむぅ……クロトよ少し我とレースゲームをやろう。練習に付き合ってくれ」
ゲームだけど向上心あるねぇ
「良いけどシルエッタが戻ってくるまでね?」
シルエッタが風呂に入っている間なら付き合ってあげよう。
「では早速やろう!」
コントローラーを1つ渡してくるので受け取り、キャラや車体の選択をする。
「じゃあサクッと簡単なコースでやろうか」
ベーシックな楕円形のコースを選ぶ。
「よし、ではスタートだ!」
レースの始まるカウントダウンが始まる。
〈3、2、1、GO!!〉
二人とも当然の様にスタートダッシュをする。
ヴァイスは普通に走っているが、俺はドリフトしながら走る。
「カーブの所はドリフト入れれるだけ入れた方が良いと思うよ?」
このゲームはドリフトをある程度すると少しダッシュする為、ドリフトを上手く使うと速く走れる。
「なるほど、あまりこのゲームはやっていなかったが、ドリフト多めが良いのか。」
「出来る限りね?無理してドリフト入れようとしたら失敗して遅くなるよ?」
言いながらカーブのインギリギリを攻める。
「な、なるほど……ある程度は分かったが、そこまで上手く出来んな……」
俺より若干大回りだが、ドリフトしながらカーブを攻めている。
「ほいゴール、こんな感じかな?」
大体の事をレース中にレクチャーしてヴァイスの走りも速くなってきた。
「さっきより大分速くなったと我にも分かるぞ!ありがとうクロト!」
たまに別のゲームをやるのも楽しいからね。
「そりゃ良かった、ちょっとトイレ行きたくなったから行ってくるよ」
実は我慢しながらレースしていたのだ。レースも終わった所だし丁度良いタイミングだろう。
「うむ、では我は一人でもう少し練習するとしよう」
ヴァイスを居間に残し、トイレに向かう為廊下に出る。
「あ、クロト、お風呂、気持ちよかった」
廊下に出た所でシルエッタが声を掛けて来た。
「あぁ、それはよかっ……ちょ!?」
そこにはほぼ全裸のシルエッタが居た。