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シルエットメイト

 焼肉とは戦争である。


「この肉は我が育てているのだ誰も手を出すなよ?」


「ヴァイス様こそ、ここは、私の領域」


 時として人を変える。


「それは領域を取りすぎではないか?流石に我にも許容出来る事と出来ぬ事はある」


「今日は、私が見つかった、記念、私が、メイン」


「自分だけでは無いのだぞ?もう少し遠慮するべきではないか?」


「むぅ、わかった、少しだけ、譲る」


「そうそうそれで良いのだ。シルエッタも成長しているな」


「やっぱ二人とも仲良いんだな、おっこれなんか焼けてきた……」

 シュバッ シュバッ


「あれ?おかしいね?さっきまでそこに焼けたお肉があったのになんで消えたんだろうね?」


「「見間違い(ではないか?)」」

 モグモグ


 こいつら組んでやがるっ……!!


 肉を食べる為に2人で組むとは……


「肉ばかりは良くないよ?野菜も食べなきゃー」

 野菜を彼らのゾーンへと追加する。


「いやいや、せっかくの焼肉なのだ皆で食べるのが楽しいではないかー」

「ないかー」


 野菜が彼らのゾーンからこちらに寄せられてくる。


 俺には野菜を食わせて奴らは肉を喰う気満々だ。


 もう一度言おう、焼肉は戦争だ。


 肉を喰らう為には他者と協力しなければ勝てないだろう。


 奴らは既に協力関係にあるのは間違いない。だとしたらどちらかを裏切らせてこちら側に付けなければ俺が肉を喰らう事は無いだろう。


(シルエッタ?ヴァイスを裏切れば明日またスイーツ作ってあげるよ?)


(それ、本当?、わかった、クロトに付く。)

 ヴァイスくぅん?残念だったなァ。君たちの協力関係は俺のスイーツに及ばなかった様だ。


「では我の育てた肉を……」

 シュバッ シュバッ


「シルエッタ!?まさか裏切ったのか!?」


「クロトのスイーツ、これは正当な、契約」

 勝ったッ……!!信頼だけの協力関係より、目の前に餌をぶら下げた方が協力を得るのが簡単なんだよォ……


 こちらにシルエッタが居る以上人数差でヴァイスは勝てないだろう。


(ク、クロトよ!我と協力を……)


(君に見返りが出せるのかね?)


(ぐ、ぐぬぬ……我には何も出せない……)

 協力するなら見返りが無いと協力する事は出来ませんなぁ?


(わ、我が居ないとクロガネに変身出来ないぞ!)


(おまっ、それは無しだろ!)


(勝つ為なら手段は選べん!)


「お肉さん、丁度いい、いただき……」

 シュバッ シュバッ


「え?クロト、裏切った、の?」

 ごめん、まさかクロガネを人質にされるとは思わなかった。


「ごめん、シルエッタ。恨むならヴァイスを恨め……」


「そんな、クロト、裏切った、ううぅ」

 ぐおお、泣きそうな顔しないでくれ。その泣き顔は俺に効く。


「悪かったよシルエッタこの肉をあげるよ」

 罪悪感から俺の場所にあった程よく焼けた肉をシルエッタの近くに置く。


「ふふっ、クロト、チョロい?」

 貴様ァ!!女の子の泣き顔は強力な武器だと分かってて使っているな?


「騙したなァ!!」


「騙された、方が、悪い」

 まるで詐欺師の様な口ぶりだ。


「あぁもう、どうせ皆食べれるんだから精神衛生上よろしくないし、もうやめよう」


「うむ、これ以上はクロトが可哀想だ」


「ごめんね、クロト」

 皆悪ノリに乗ってくれていたが、流石に俺が可哀想だと思ったらしく、そこから先は皆仲良く焼肉を食べた。俺とヴァイスで味覚共有すればこんな事にはならないが、それじゃあ楽しくない。やっぱ皆で食べた方が良い。


「先程は返したがやはり、こちらの野菜も美味いものだ」

 ヴァイスは玉葱やシイタケを食べ、こっちの世界の野菜の美味さを実感している様だ。


「野菜、うま!、お肉、うまま!」

 シルエッタは正直だねぇ


「クロト?さっきの約束、忘れないでね?」

 スイーツの件ですね分かっておりますとも。


「何か食べたいスイーツでもあるの?」


「後でアイス、食べる、明日、クレープ?っていうの、食べたい」

 クレープか、俺も久々に食べたいな。


「よーし、明日はクレープを作ってあげよう!」


「やった、クロトに会えて、よかった」


「我もクロトに会わなければどうなっていただろうな……」

 あのままヴァイスを放置していたら俺は変化の無い日常を過ごしていたか、モールで死んでいたかのどちらかだっただろうな……


「俺も2人に出会えて良かったよ」



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