シルエットメイト
武装解除と念じ、クロガネちゃんモードへと移行する。
はいクロガネちゃんモードです。これでダメだとどうしようもないです。
「とりあえず落ち着いて?危害を加えるつもりは無いから!助けに来ただけだから!」
「ホントに?」
やっと会話出来そうだ。
「ホントホント!ヴァイスと一緒に助けに来たんだ」
(聞こえるか?シルエッタよ、我だ!ヴァイスだ!)
「……ヴァイス様!?何処?」
ヴァイスって俺の中に居ながらでも他の人に話しかける事出来たんだ。
というかそうだよな。声は聞こえても目の前に居るのは俺だからヴァイスが何処から話しかけてきてるのか分かんないよな。
「とりあえず今からヴァイスと会わせるから話を聞いてもらえる?」
「分かった、話、聞く!」
もう落ち着いている様だし、敵も居ないから解除してもいいか。
「よし、変身解除」
光が俺を包み、クロガネちゃんから玄斗へと戻る。
そして、ヴァイスが目の前に現れる。
「シルエッタ!」「ヴァイス様!」
「よくぞ無事であった!」「ヴァイス様も、無事で、良かった」
感動の再会って奴だなぁ……
「良かったなヴァイス、仲間が見つかって」
「あぁ!クロトのお陰だ!」「お兄さんが、ヴァイス様、守ってた?ありがとう」
へっ?お兄さん?
「御免もう一回言ってもらえる?」
「ん……?お兄さん、ありがとう」
初めてだ、俺を初見で男と見抜いてしかもお兄さんなんて呼んでくれるなんて……
「うぅ……」
「クロトよ何故クロトが泣いているのだ?」
「いや、嬉しくて」
再会も嬉しいけどお兄さんって呼ばれたのがすごい嬉しい。ロリコンジャナイヨ?
「とにかくこんな所に何時までも居る訳にはいかないし、俺の家に一旦帰ろう」
(そうだな、シルエッタよ我が世話になっているクロトの家に行かないか?)
「行く!ヴァイス様、やっと会えたから」
幼女を家に連れ帰る……いやいや合意の上だから!じゃなくて俺の家以外に集まれる場所なんて他分かんねぇよ。
「ヴァイスは俺に入れるけど、えーとシルエッタちゃんだっけ?君はどうしようか?」
ヴァイスは角やら尻尾やらで外に出せないから俺の中に入ってもらうとしてこの子はどうするんだろう?
見た目は黒いフレアワンピースを着た金髪の可愛い女の子だから一緒に歩いても違和感は無さそうだが……
「お兄さんの、影、入る」
へ?影に入る?
「シルエッタは闇や影の力を使える魔人なのだ。クロトの影に入れば周りからはクロト一人にしか見えぬ」
ヴァイスが補足してくれるが、魔人ですか……いや、魔王様が居るからそこまで驚く訳では無いけど。
「分かった。影でもなんでも好きにしてくれ」
ヴァイスの仲間だし、信頼してシルエッタちゃんに任せよう。
「お邪魔、します」
そう言って近づいてきたと思ったら徐々にシルエッタちゃんの体が沈み、俺の足元に来た時には完全に姿が影に消えた。
(これで、一緒に、動ける)
(はっはっは、クロトよ2人入ったぞ?)
俺の中と俺の影に魔王と魔人が入っている。これはそのうち俺の体乗っ取られるんじゃない?
「よし、じゃあ家に帰るけど大丈夫?違和感とか無い?」
(大丈夫。お兄さんの影、とても、居心地良い!)
居心地がいい影って何だろう?
「そっか、居心地が良いなら問題無いな。」
(クロトよ先程倒した敵の魔石が一つ残っているから回収を忘れるなよ?)
そうだった2体1組の魔物だったから2体倒して初めて魔石が出る奴だった。
(魔石の回収、やっておいた)
俺の影からニュっと黒い影の手が伸び、その手には魔石が握られていた。
(おお!ありがとうって、この会話にシルエッタちゃん入れるの!?)
ヴァイスとシルエッタちゃんのチャンネル的なのが別だと思っていたが一緒に会話出来るならありがたい。
(入れる!これでも、私、魔人!)
絶対今ムフー!って感じで胸を張ってるだろうな……
(ふふっじゃあ帰ろうか)
(うむ!)(はい)
ヴァイスは仲間を一人見つけることが出来た。
俺はモールで傷ついた心がシルエッタちゃんのお陰で回復した。
シルエッタちゃんはヴァイスと再会出来た。
皆ハッピーだし、今日のご飯は豪勢にしよう。