シルエットメイト
コイツ等から感じる魔力は薄い。弱いという事では無く、俺と同じ様に魔力を隠しているのだろう。
「「コロス!」」
残った2体がこちらに接近する前に手に持ったまだ消えていない死体を投げつける。
「ほらよ返すぜ!」
すると魔物達は投げつけられた死体を爪で引き裂き、こちらに急接近してくる。
(同胞の死体に躊躇無しか)
怯まないで突っ込んでくるとは思っていなかった。2体は路地で左右を塞がれた俺にコンビで攻撃を仕掛けてくる。
「クッソ、間合いが近すぎる……」
2体は俺の巨腕の内側に入って攻撃を仕掛ける為、デカい一撃を入れることが出来ない。
巨腕は破壊力とリーチはあるが、逆に近すぎると腕が届かない為攻撃が出来ない。これはクロガネの弱点になるだろう。対策を考えねば……
「「ゲケケケ……」」
こいつら、笑ってやがる……だったら!
俺はブーツに力を入れ、後方に下がる。これで距離が出来たから巨腕で攻撃が出来る、と思っていると2体の内1体が向きを変え、ヴァイスの仲間の方へ向かう。
「性格悪いなお前ら!オラァ!!」
壁を蹴り、進む向きを180°反転し、勢いを付けた蹴りをヴァイスの仲間の方へ向かっていた奴へおみまいする。
「ゲゴォ……」「きゃ……」
勢い付けすぎてヴァイスの仲間の近くまで来てしまった。安全の為彼女から離れようとしたが守るならこっちの方が良いか。
「ガアァァ!!」
怒っているのか?もしかして4体で1組じゃなくて2体の2組の魔物だったのか。
後は蹴りを入れてダウンしている1体と怒っている1体か……
(クロト!先程倒した奴らが魔石に変わった!あれを拾って奴らを倒そう!)
この場で武装を作るのか、良いだろうやってやるよ!!
「おらどうした?掛かって来いよ腰抜け野郎」
安易な挑発だが……
「クタバレ!!」
挑発に乗った残った1体が攻撃を仕掛けてきたが、1体ならなんとか出来る。
「くたばるのはそっちだ!」
壁を蹴るが、今回は魔物にキックする為ではない。
左足と右足を前後に若干開き、両足の内側に力を入れる。
俺の体は横回転を始め、両手は広げる。
巨腕が回転エネルギーを纏い、破壊力を増しながら魔物へ拳が向かう……と思わせる。
もちろん当たるとは思っていない。こんなのは目くらましだ。
(ヴァイス!魔石掴んだから武器作って!)
本命は魔石の回収だ
(任せろ!)
回転しながらでもバイザーのお陰で視界は回転中でも魔石を見つけ、巨腕で掴む事が出来た。
着地した時には手の中に魔石は無く、足に若干の違和感を感じた。
だが、その違和感はすぐに武装だと頭が理解した。
「シネ!」
巨腕の攻撃を回避した魔物はすぐに接近してまた巨腕の間合いのさらに内側に入ろうとするが1体じゃそんなことは許さない。
「黙れよ」
相手の顔に向けて蹴りを出す。所謂ケンカキックと呼ばれるキックだ。
「ゴッ?」
相手の顔にキックは入ったがこれだけで倒せる訳はない。
その時、俺の踵部分から杭が飛び出す。
頭部が爆ぜ、魔物は倒れる。
ブーツにパイルバンカーが生成された様だ。
「ハ?」
ダウンしていたもう一体が起き上がりこちらを見ていた。
「もうちょい試させろよ」
ブーツに力を入れ、奴の前に行き、巨腕で頭と足を掴む。
「ハナセ!」
暴れるが関係無い。地面に叩きつけ腹部に踵を押し当てパイルを炸裂させる。
「ウゴッ……」
念入りに3発程打ち込んでおく。
「……」
「よし、討伐完了!結構良いなこれ!」
今まで腕だけで倒していたが、足も攻撃に使えるようになったのは良いぞ。
(クロトよ……中々容赦無いな)
ヴァイスも若干引いている。
「そんな酷かったかn……おおぅこれは酷い」
先に握りつぶした2体の死体は既に1つの魔石と化して俺に吸収されている。
後の2体は頭部が破裂した死体と腹部が破裂して上半身と下半身に分かれてしまっている死体。
そして最後に残されたヴァイスの仲間さんはというと……
「いや、殺さないで……お願い」
俺最初になんて言ったっけ?
確か「お前ら全員ここから引くか殺されるか選べ」だったか。
全員って言っちゃってるんだよなぁ?
「ご、ごめん!殺さないから!だから怯えないで?」
両手を前に出し、ちょっと待ってのジェスチャーをするが……
「いやぁぁ!!」
(ヴァイス?恐怖を与えろなんて言ってないよ?)
(あの戦闘を見た後なら我も警戒するぞ?)
はぁ、やっぱ話をするときはあの恰好しかないか。
俺はクロガネちゃんモードへと移行するのであった。




