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シルエットメイト

 バスに乗り、家へと帰る事にした俺はバスの車内でヴァイスと話していた。


(すまんすまんでも似合っていたのは本当だ)

 コイツまだ言うか……


(女性服を着て似合うと言われて嬉しがるような性格してないよ。普通にカッコイイって言われたい)

 そっちの方が嬉しい。


(その点で言えばクロガネの方が男らしくてカッコイイかもしれんな)

 それはちが……くも無いな確かに今の俺よりクロガネの方が男らしいかもしれない。まさか魔装少(・)女(・)の方が男らしいとは……悲しいけどこれ、現実なのよね。


(はぁ……自分の事なのに落ち込む)

 今日は精神的にかなり疲れた。駄目だなマイナス思考になっている気がするから帰ってヴァイスをゲームでボコボコにしよう。


(よし!ヴァイス帰ったら装コアで勝負だ!)


(ぬ?落ち込んだから我を倒して気分転換しようとな?ふっふっふ新作は買えなかったが負けてやるつもりなど一切無い!)

 ヴァイスの相手が落ち込んでても手を抜かないで真剣に勝負してくれるそういう所は評価するぞ。


 ヴァイスと帰ったら勝負する約束をしていると不意に頭の中に声が聞こえた気がした。


(助けて……)

 小さな女の子の声でそう聞こえた気がした。


(この声は……)

 ヴァイスにも聞こえた様だ。


(何処から聞こえてくるか分かる?)

 俺ではこの声がどこから届いているのかよく分からない。


(少し待て、この声は近くの路地から聞こえてくる様だ)

 ヴァイスが声の反応が近いと言っていたので、急いでバスの降りるボタンを押す。


 バスが止まり、俺は声の聞こえた最寄りのバス停で降りた。


(助けて……)

 また、聞こえた。だけど移動しているのか?声が少し遠くになった。


(これは何かに追われているのか?案内するから何処かで変身しよう)

 ヴァイスが変身を提案するって事は魔物か?でも俺は魔力を感じない……魔力を隠しているのか?


「分かった俺も路地に入るからそこで変身しよう」

 周りに人は居ないが、注意するに越した事はない。


 路地に入り、人の目が無い事を確認出来たら変身する。


「変身!(リリース)」


 光に覆われ、俺の姿が遊馬玄斗から魔装少女クロガネに変わる。


「よし、じゃあ案内頼む!」

 ヴァイスに案内してもらわなければ追う対象もそれを追いかけているであろう奴も分からない。


(任せろ!その路地を真っ直ぐ進んだ突き当りを右だ!)

 案内に従い、俺は路地を跳ぶ。


(助けて……誰か!!)

 声が近づいているヴァイスの案内は正確な様だ。だが、まだ俺にはどちらも感知出来ない。


(その分かれ道を左その先を右だ!)


 分かれ道に近づいた辺りでようやく俺にも感知することが出来た。

 弱い反応を囲む様に強い反応が4つ確認出来た。


「ヴァイス!この4つが追いかけてた方か?」


(あぁそうだろう。そしてこの弱々しい方の反応は我には覚えがある!)

 ヴァイスが覚えのある反応?もしかして!!


「ヴァイスの仲間か!?」


(あぁ!この反応は間違いない!我の仲間だ!!)

 こっちにヴァイスが来てから1ヵ月以上情報が無かったヴァイスの仲間の一人がやっと見つかった。


 だが状況は最悪だ。明らかに4対1の状態で反応が弱いという事は魔力が少ない、若しくはヴァイスと同じ様に弱体化してしまっている可能性がある。


「飛ばすぞ!!」

 ブーツから燐光を放ち、加速する。


(そこの角を左に曲がれば目の前だ!)

 言われなくてもここまで来たら魔力反応は俺にも分かる。


 俺は角を曲がった瞬間に両手を前に出し、強い反応があった4体の内、2体に向けて巨腕を伸ばす。

 相手は人型の様でこちらに気が付いた時には既に2体は俺の手の中で握られていた。


「ナンダ?コレハ!?」「ウゴケナイ!!」

 言葉を放っていたソレは見た目は紫色をした肌で口が耳元まで裂けていて、頭には触覚の様な物が生えていた。


「言葉が通じるなら一度だけ言うぞ?お前ら全員ここから引くか殺されるか選べ」

 どうせ返答は決まっているが一応抵抗しない可能性もあるから聞くだけ聞いておく。


「グケケ、コロセ!!」「コイツモ、コロセ!!」

 俺に捕まれていなかった2体が俺を殺せと言ってくる。だったら交渉は決裂だ。


「オッケー、俺は先に言ったからな!」

 そう言って掴んでいた2体を握りつぶす。


「ゲゴゴ……」「グガガ……」

 2体は一瞬にして血溜まりと化した。


 ここからが勝負だ。



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