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イレギュラーショッピング

「いらっしゃいま……えっ?」

 ショップ店員さんが声を掛けてくるが、こちらの様子を見て声が詰まる。


 フードを被り、顔が見えない状態の人間の腕を後ろで抑えるオシャレな女の子達。

 まるで逮捕された犯人の様な状態で店に連れ込まれた俺。


「さぁさぁ!もう引き返せませんよ、いい加減諦めるのです!」

 はい、がっちりホールドされて引き返せないです。諦めたら試合終了ってえらい人は言ってたけど諦めないと前にも後ろにも進めないです、はい。


「はい……諦めたので好きにしてください……」

 もう、どうにでもなれ。


「じゃあ、早速あれ着せようぜ?」

 そう言って黄衣さんが一つの服を指差し、俺に着せようと提案する。


 その服は黒いワンピースに白いエプロンを付けた様な……はい、メイド服です。

 しっかりしたメイド服では無く、フリフリのコスプレ用と思われるメイド服。


「うわぁぁ放せぇ!!嫌だ誰がメイド服なんか!」

 暴れた事で俺のフードが外れ、顔が露わになる。


「お客様……店内で騒がれるのはちょっと……はっ!これは逸材!!メイド服ですねすぐお持ちします!是非試着を!」


 周り敵しかいねーのかよ。


 店員さんがメイド服を持ってきて試着室の前で手招いている。


「さっき好きにしてくださいって言いましたよね?」

「そうだぞ!」

「うふふ……」

「遊馬さん諦めたんですよね?じゃあ着てください」


 数名目からハイライト消えてんだけど?


「じゃあ着てきます……」


 これ以上抵抗しても仕方がないので大人しく試着室に入る。


(本当にすまぬ、クロトよ。)

 ヴァイスも申し訳なさそうだけどこんなのは事故だ。


(気にすんな、こんなの誰にもどうしようもないし。)

 俺が我慢すれば良いだけなのだ……良いだけ……


 そしてメイド服を着る。メイド服なんて着た事ないので時間が掛かる。


 そしてシャーっと試着室のカーテンを開ける。




 私達が試着室の前で待っている間少し反省していた。

「遊馬さんには悪い事しちゃいましたね」

「ちょっと強引だったかな?」

「そうねぇ……」

「流石にやりすぎでしたよね?」


 すると店員さんが私達の様子を見て不思議に思ったのか尋ねてくる。


「あの方はどうしてあんなに抵抗なさっていたんですか?」


「「「「あの人男なんですよ」」」」


「えっ男?……アリだな」

 この人もこちら側の様だ。


 店員さんと話していると試着室のカーテンが開く。


「うぅ……恥ずかしい」


 なんだこの生き物は……可愛すぎる!

 フリフリしたメイド服は男性には慣れていないだろうスカートの端を握り、顔を赤くして俯いている。


「「「「……」」」」スッ パシャ パシャ パシャシャシャシャ パシャシャシャシャシャ


 無言でスマホを取り出し、写真を撮る。後半二人に至っては連写している。


「はぁ~可愛すぎる!なんで男なの!おかしいよ!」

 黄衣ちゃんのその気持ちは分かる。ちゃんとホワイトブリムまで装着してくれているのもポイント高い。


「写真撮らないで恥ずかしい!!」

 そう言って手を前に出し、抵抗するがその恰好も可愛い。


「遊馬さん一生のお願いです!お帰りなさいませご主人様って言ってください!」

 それはかなり危ないと思うよ礼奈ちゃん?主に私達の精神が。


「それは……いや、いやいやいや絶対言いたくない!」

 抵抗しても可愛いだけなのはズルい。


「遊馬さんこれが終われば自由にしてあげますから!」

 流石に可哀想になってきたので着せ替えさせたかったけど1着だけで許してあげないと泣きそうだったのでそう提案する。


「そうだな……泣きそうだし一言言ってもらえればそれでいっか!」

「あと何着か着てほしいけどぉ、しょうがないかぁ」

「一言!一言だけで良いですから!ね?」


 3人も納得しているし、それで遊馬さんも解放するから一言だけ言ってほしい。


「うぅ……分かったよ!それ言ったらお終いだからね!」


 遊馬さんもようやく決心がついた様だこれは写真ではなく動画で収めなくては……


「では、お願いします!」


「うぅ……恥ずかしい……お、お帰りなさいませ!ご、ご主人様!」


 このデータは永久保存しては梓さんにも見せなくては……



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