表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦闘員A  作者: 甲斐祐樹
正義の組織
14/73

第13話

 熱い! 体が溶ける程の熱が僕を包む。


 全てが溶け、交じり合い、新しく生まれ変わる。


 体も……心も……


 これまでの力を超越した快感。他の者を上回る優越感。


 晴れる気持ちと同期するように周りの煙も離散する。


「やっぱりそういう格好になるんだ。意識はちゃんと保ってるよね?」

 言われて自分の姿を見ると、さっきまで着ていた患者衣が真っ黒になっている。

 しかも肌にくっつくかのように脱ごうとしても脱げなかった。

「じゃあ時間もないし行こうか」

「どこへ行くんですか?」

 村井は答えず部屋を出て行ってしまう。


 僕はここへ連れてこられてから、トイレ以外での部屋からの外出は禁止されていたので、少しドキドキしてしまう。

 村井は部屋から右手に進んでいくので後に続く。左右に同じ作りの扉を見ながら進み、階段を使って2つ上のフロアに来た。少し先にあった、1つの扉の前に立ち止まる。

 扉を開け中に入ると、さまざまなマシンが設置してあるトレーニングルームだった。

「今からそのスーツの性能がどの程度なのか調べるから、順番に機械使って測っていくからね」

「身体測定ですか……」


「これからやるんですか?」

 村井がウエイトを調整したマシンに座り、グリップを握って力を入れる。


 ガシャン、ガシャン。

「おっ! まだ余裕あるね!」


 ガシャン、ガシャン。

「全然軽いですね! まだまだイケますよ!」


 村井は後ろに回りウエイトを重たくする。

 ガシャン、ガシャン。

「見てくださいよこのパワー!」


 ガシャン、ガシャン。

「すごくないですか! もっと重くして大丈夫ですよ!」

「……さいなぁ」

 さらに重たくする。


 ガシャン、ガシャン。

「結構重たくなってきましたけど、もう少しいけるかも! 今何キロいきました?」

「さっきからうるさいんだよ! 阿部君! 紙とペン!」

 突然怒り出した村井に驚き振り返る。

「あっ……すいません……でも、そんないきなり……」

 走って持ってきた阿部から紙とペンを受け取り、それを僕に押し付けてくる。

「さっきから何言ってるか分かんないよ! 言いたいことあったらそれに書いて!」

「えっ? 分かんないってどういう――」

「イーイーうるさいよ! ほら早く書いて!」

「イーイーって……」




 それを聞いて僕は仲間たちがイーイー叫んでいたのを思い出していた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ