番外編 もふもふの日常
ちょっと変なのを思いついたので。
獣人保護区
佐代子主導で開発と保護が進められている町。この町では獣人を迫害すると奴隷落ちすると言ったような、獣人贔屓な決まりが多い。
観光客の人気の高い町ではあるが、特に一部の者達への人気は絶大である。
しかし、不心得者も一部存在し、密かに排除されたり、訓戒の後に勧誘を受けたりしている。
対処する彼らは『愛で隊』という特殊趣味の者達で結成されており、隊が市内を巡回し、獣人達に対する様々なトラブルに対処している。
ケモミミシティも愛で隊も、特に不満も出なかったので、いよいよネーミングセンスが治ったと思っていたが、本人達はそんな事などどうでも良く、対象の事しか見えてなかった事が判明し、ちょっと落ち込んでいたりする。
そして後に、あんまりだという苦情が出るに至り、せめてもの改名と、ケモシティとして定着したのも、落ち込む原因になったりもした。
それはともかく、国王の付けてくれた正式な町名は、資料の上だけの存在となり、町の民も誰も正式名称を知らないという事態のまま、平和に運営されていたのである。
「なんだこの町は、新しい町が出来たと聞いたから、商売のネタにと来てみたが、やたらケモノ共が居るではないか。どうなっておるか」
「それは、その、つまりですな、この町は、その、獣人達がですな、その・・」
「キャッ、気を付けてよね」
「何だと、このケモノ共が、人間様に歯向かおうってのか、ええ、コラ」
「何よ、アンタ達。この町で獣人を苛めようなんて、いい度胸ね」
「なんだなんだ」
「どうした、ケロン、トラブルか」
「通報しろ」
「ええい、どけどけ、どかぬか」
「ピピピィィィ・・そこまでよ」
「何だ、お前らは」
「あらん、私達の事を知らないなんてん、新参者なのねん」
「そこのアンタ、こいつ、どうなってんの」
「はい、そのですね・・」
「まあいいわ、アンタの事情は詰め所で聞かせてもらうから、一緒に来てもらうわよ」
「は、はい」
「あんまり痛くしちゃダメよん、キョーコたん」
「分かってますよ、隊長」
「あらん、ミドリと呼んでよん」
「そうはいきませんよ・・おっと、他の子達はそいつ確保よ」
「「はい、副隊長」」
★☆★
「それにしても大胆ねん」
「わしにこのような狼藉、わしは男爵じゃぞ」
「あらん、残念ねん、うちらの権限は伯爵様公認なのねん、だから諦めてよん」
「貴様ァ、このような事をしでかして、タダで済むと思うなよ」
「うちらの大事なケモミミたんを、蹴飛ばした罪は万死に値する」
「あらん、殺すのはなしよん、別に殺しても良いとは思うけどねん、それじゃ伯爵様が困るのよねん。色々権限もらってるのにん、それは無理ねん」
「そうですが、あれは余りにも許しがたく・・」
「だからん、例のアレ、やるわよん。子供達に参加を呼びかけるのよん」
「はっ、畏まりました」
「他の子は準備をお願いねん」
「はっ、了解です」
★☆★
「おい、このような事をして、タダで済むと思うな。このわしにこのような狼藉、国に訴えればこのような町など・・」
「はーい、皆さーん、しゅーごー」
「なんだなんだ」
「どうした」
「お子様大集合。特別刑の執行をするので、皆様のお子様の参加をお願いします」
「お、あれやんのか。よし、カカァ、うちの子、呼んで来い」
「あいよ、アンタ」
「おしっ、呼んでくるぜ、待っててくれよな」
「みんなー、これからすこーしおしごとしてほしいの。おわったらおいしいおかし、あげるからねぇ」
「ぼくやるよ」
「ぼくもする」
「あたしもやる」
「やりたい」
「おのれ、離せ、何をするか・・服を、貴様、寒いではないか」
「局部は隠してやっているでしょ?それとも汚いそれも晒したいの?」
「きっと問題にしてやるぞ、貴様らは全員・・」
「隊長、刑の執行準備が整いました」
「今行くわん」
★☆★
哀れ男爵は下着1枚にひん剥かれ、広場に設置された台の上で大の字に拘束されている。
その周囲を取り囲むのは子供達。彼らは皆一様に男爵に背を向けて・・
「さあ、始めてちょうだいん」
「「はーい」」
「な・・こ、これは、ぐぅぅ・・ウヒャヒャヒャヒャ・・止め・・ヒャヒャヒャ・・この・・ヒャヒャヒャヒャ・・誰か・・ヒャヒャヒャコャ・・助け・・」
(しかし、なんともあざといですな・・うむ、さすがにくすぐられたと王に訴えようとする貴族も中々出ないだろうしの・・出ても甘く見られると・・実際、あれは拷問だからの・・おや、もしかして経験でも・・バカな事を言うな・・は、これは失礼・・かつて見た事があるだけだ。そやつはな、僅か数日で老人のような顔になりおったわい・・笑い顔のせいですな、あれは中々に筋肉を酷使するらしく、何日も笑うとそうなると言われておりまする・・うむ、やはりか。それでどうだ、わが国も採用するというのは・・恨まれまするぞ。若者が老人の顔になるばかりでなく、あれは中々に体力を奪いますれば、息も絶え絶えになり、その気力すらも奪い、身も心も老人のそれになる者も多く、跡継ぎを潰されれれば、さぞかしその親に・・うむ、それはいかんな。まあそれはそれとして、人気絶大らしいな、この町は・・それはそうでございましょう。これだけの厚遇、他では望めませぬゆえに・・しかし、あやつらは何故にあそこまで厚遇出来るのだ・・それに付いて尋ねた事がありますれば・・報告は上がってないぞ・・余りにも余りな回答故、報告を思い留まったと・・ほお、どのような事なのだ・・愛と・・はっはっはっ、確かにそれは報告出来ぬの・・しかしどうやら真実のようですな・・うむ、信じ難いがの、確かにそういう目で見れば、あやつらは獣人に愛を以って接しておるようだの・・理解が及びませぬ・・それはわしもじゃ・・これはいけませぬ・・出るぞ・・はっ)
(ちっ、逃げられたか・・逃がした、の間違いだろ・・ふふん、まあな・・しかしよ、女は表部隊、男は裏部隊ってな、どうにかならんのかよ・・お前な、どっちが受けが良いと思う。自分のツラと相談してみろ・・ふん、どうせオレはフツメンだよ・・良いじゃねぇか、ケモミミが増えるって事だからよ・・まあな、右を見ても左を見ても、愛するケモミミだらけだしよ、楽園には違いないさ・・それを守るのが俺達の仕事であり、あいつらは宣伝部隊みたいなもんさ・・そういう事だな・・まあな・・おっと、まただぞ・・ふふん、逃げないと知らんぞ・・)
「あれは無理よん、裏に連絡よろりん」
「は、隊長」
「さあ、逃げるのよん」
「「はーい」」
「早くん」
「わ、わし、も、つれ、て、く・・」
★☆★
「くすくす、僕が居たのが悪夢だったね」
「何を厨二病みたいな事を言ってんだ、とっとと始末するぞ」
「くそ、良いじゃねぇか、ちょっとぐらい」
「やれやれ、本物かよ」
今日もケモシティは平和です。
住んでみたいと思う私もケモナーなのでしょうか。




