最終話 侵略と反撃、そして・・
急展開なのですが・・
改訂)3月9日
つじつまが色々と変でしたので修正しました。
「え、嘘よ、そんなの駄目よ」
「悪いな、もう決まっちまってな」
「大体、そんなの信じられないわ」
「そう言われてもな。次期当主は絶対だ。オレは帰らねばならん」
「だからそんな魔法の国とか、アニメじゃあるまいし」
「ラストに空中遊泳をさせてやるよ。本当は禁止事項なんだが、それくらいの権限はある」
「なら見せて御覧なさいよ」
「また、未来のいつか、こっちに来れるかも知れん。その時まで生きてろよ」
「証拠を見せなさいよ・・えっ、嘘」
「さあ、お姫様、空の散歩と洒落込むぜ」
「ちょ、ちょっと、ねぇ、浮かんでるわ、浮かんでるのよ」
「しっかりしがみ付いてろよ」
「う、うん」
ミカも無事に出産し、男の子が産まれちまった。なのでフェンリルは自動的に・・
まあ、オレは別に良いが、まだまだ常識は根強いからな。
次期当主は人間にしないといけなくなりそうだ。
もっとも、フェンリルは優しいから文句は言わないと思うが、ロクデナシならお前に継いでもらうから心配するな。
でももし、優秀だったら従者になってくれるよな・・社長としばらくの空中遊泳の後、オレは国に帰ると言って別れた。
1年弱の付き合いだったが、それなりに楽しませてもらったよ。ラストのラストに瞳の色を元に戻したら、妙に納得されたのが印象的だった。
そしてミカの元に戻り、赤子を見るとミカそっくりの男の子・・おいおい、男の娘にならんだろうな。頼むぞ・・
それにしても、身体が違うのに同じ欠陥なのは変な話だと、キツネさんに聞いてみると基本はオレで、外見だけ借りた状態になっているそうだ。
なので生殖能力も元の身体準拠なのだが、クロウも薄かったらしく、殆ど手を付ける事は無かったとか、ちょっと変な波動を感じたから、それは名目なのかも知れないが、そう言う以上は疑っても仕方が無い。
かくして1年チョイの元世界での暮らしを終え、異世界に戻ってきたのだが、世界はとんでもない事になっていた・・
国の版図は書き換わり、王国の領土がかなり狭くなっている。
あの辺境の町も今では南の国に侵略され、それに西が呼応している。
東も虎視眈々と狙っている感じになっていて、北の我が国を3つの国で分割統治でもしようと思ったのか、いきなりの事に驚いて王宮に伺いを立てると、何をしておったのだと派手に怒られた。
なので故郷で喪に服していたと答えるしかなく、それなら致し方あるまいと言われたけど心苦しかった。
当初、洒落で構築していた戦車を急遽仕上げ、戦闘機も何とか形にする。
フェンリル達には戦車の使い方をマスターさせ、オレはミカと共に戦闘機に乗る。
出産後に無理をするなと言ったのだが、乗ると言って聞かなかった。どうにも信用されてないようで悲しかったが・・
そして嫡子は屋敷でメイド達に見てもらう事になり、警備にも警戒を厳重にしてもらった。
当初の超高純度水晶を複数積み込む計画を途中でカットし、邪神の卵に切り替えて長期運用を可能とし、フェンリルには王都の防衛を委託し、オレ達は南の国を爆撃する為に飛び立った。
本来、魔法で飛べば良いだけだが、意外と飛べる魔法使いが少ないと言うか皆無なのだ。
確かに浮く事は可能のようだけど、推進がどうにもやれないらしい。
つまり、【フライング】の魔法が使えないせいで、浮く魔法と進む魔法の同時使用となり、難易度が跳ね上がるとの事。
たった2つの魔法の同時使用すらやれないのなら、どのみち【フライング】は扱えん。
フェンリル達ですら、飛びながら攻撃がやれるのに、どうしてなのかと思ったが、単に練習量の差だった。
使っても減らないマナを潤沢に使った濃密な練習の成果だと分かった今、ますますオレのチート性が高まったが、人には言えないと改めて思った。
そんな訳で今、南の国の上空だが・・
「辛くないか」
「平気よ、だけどこの世界で戦闘機とか、あははっ」
「魔導戦闘機だ。さて、火炎つぼの投下用意」
「そういうとこだけ妙にレトロね」
「よし、空中停止完了。現在ノルアス王宮上空200メートル。スロット開放、つぼの支給開始」
「了解、隊長、つぼ確保、点火、投下」
実にアンバランスな攻撃である。垂直離陸機から火炎つぼを投下するという・・もっとも、そのつぼの中身はガソリンだ。
点火は導火線にて成され、落ちながら燃えていき、落ちたショックで飛散して、その蒸気に引火してドカンと爆発的に燃えるのだ。
いわば原始的なエアゾール爆弾のようなもの。それでも最初の導火線は消えるかも知れないので、同じ場所で何度も落とすのだ。
そのうち引火して爆発するまでやれば、後は勝手に引火してくれる。
なんせ、つぼは山のように購入してあり、購入先は大量生産の元世界産。
それに元世界産のガソリンを詰めて倉庫ってのを大量にやったのだ。
当初、気球船の運用を考えていて、そこから投下の予定で大量生産をした火炎つぼだが、そんな余裕は無く、慌てて製造途中の戦闘機を完成させたと言う訳だ。
何をやっても驚かない近所の住民も、さすがにあれには驚いたようで、工房から小型戦闘機が出て来ると、派手な騒ぎになっていた。
まあ、タービンの音がキィィィィンと響けば、誰だって驚くとは思うが・・
元々、人里離れた山奥で遊びで運用のつもりだったので、色々と遊び要素満載の戦闘機。
魔導タービンエンジンに始まり、ノズルは可変するわ翼は可変するわ、更に秘匿兵器として水晶射出機構まで付けて、水晶に魔法を封じ込めての、水晶爆弾まで計画していた。
と言うのも、ドラゴンを攻撃しようかと企んでいた訳で・・
そしてバルカン砲じゃなくて、【ウィンドカッター】砲を搭載していたり・・
そんな玩具みたいな戦闘機の流用なのでまともな武装がない。
かと言って城の爆撃に水晶をばら撒くのも嫌だと、気球船に使用予定だった火炎つぼの活用になったという訳だ。
何度か落としているうちに戦闘機が揺れる・・どうやら爆発したらしい。
なので少し高度を上げて次々と投下するも、一度火が付けばもう着火は要らくなっていた。
ミカに渡したつぼはどんどん穴から落とされて、落ちて割れて爆発的に燃えていく。
戦争は司令塔を崩せば終わりなので封建社会の一極独裁を逆用し、城を先に落としてそれから前線の救援に向かう計画。
ある程度城も崩壊し、そろそろ救援に向かおうと思った矢先の事。
あれ、あいつ、なんでそこに居るの。
見れば遥か下に裏を統べると言っていた幹部の車らしき物体が置いてあり、そこで何かやっている奴がどうにも・・うげ、ミサイルあんのかよ。
つぼの投下を止めて上昇と共に可変ノズルで移動の為の可変開始。
まさか、対空誘導ミサイルまで持って来ているとか想定外だ。
この戦争、てめぇのサイエンスハザードが原因なのかよ。
オレは劣化版を献上して気を付けていたってのに、そんなトンデモ兵器を見せれば食指が動くに決まってるだろ。
くそ、やっぱり誘導かよ。
しかも熱探知かよ。
くそ、ミカが乗ってんだぞ。
居なかったらいくらでも急旋回してやるものを・・
耐えろよ、ミカ・・
フルスロットル・・
ミカの苦しい声が聞こえるが、今緩めると追い付かれる。
仕方が無い・・
「ミカ、倉庫で寝ていてくれ」
「う、うん・・ごめ・・無理・・みたい」
「必ず生きて帰してやる」
「信じて・・いる・・から」
ミカを倉庫に入れた後、ノズルも壊れよとばかりに急旋回。
急激なGが発生するが、何とか耐えてればミサイルの射程外に逃れる。
さらに反転、【ウィンドカッター】砲で粉砕させる。
やれやれ・・骨がかなりいかれたぞ・・
【ヒール】・・はふうっ・・やってくれたな、幹部さんよ。
お返しだ・・
超高純度人工水晶に【ファイヤーバースト】を封入し、【遅延魔法】で爆発を抑制して保持し、射出装置へのスロットに投入。
水晶は転がって所定の位置に留まり、スイッチが押されてグリーンランプが点灯する。
さあ、その防弾車両の実力を見せてくれよ。
行くぞ・・くたばれ・・
投下されたものを爆弾と察したか、彼は車の中に逃げ込む。
そしてその近くに水晶が落ち、【遅延魔法】が解かれて【ファイヤーバースト】がそこに顕現する。
ただでさえその辺りにはガソリンが流れ、蒸気ムンムン状態だったのに、そこに上級火炎魔法が炸裂したのだ。
周囲は誘爆に誘爆を重ね、手の付けようがなくなっている。
それはまるで火山地帯の様相を呈し、まるで溶岩流に似たものが流れている。
どんなに防弾性能が高くても、周囲の地面が溶解しては、耐えれる車はあるまい。
走り出そうにもタイヤが地面に潜り、黒煙を上げている。
恐らく彼は車中で蒸し焼きになるのだろうが、自業自得と思ってぐれよ。
そっちから仕掛けた戦い、反撃を受けるのも想定内だろ。
念の為とばかりに、秘匿魔法を行使する。
キャノピーを開けて城の遥か上空・・そこに向けてそれを行使する。
空中に魔法の発現を確認し、速やかに撤退する。
極細の糸が3本合わさり、それが3本。そしてそれらがまた3本合わさりと、何度もそれを繰り返し、城の上空にでかい岩の塊を構築させる。
それを何と言ったっけ・・ああ【メテオ】だったかな。それからその王都がどうなったかは知らない。
しかし南の国の進軍は止まり、他の国もそれに呼応する。
やっぱり誰でも頭の上に、あんなものが落ちてきたら嫌なんだな・・
あり得ない兵器の活用に、何とかとぼけようと思ったが無駄だった。
住民が見たという乗り物に載せろと、またしても宰相に懇願される。
なのであれは壊れましたと言い、報奨金で貰った金をみんな注ぎ込んだと言い、作るなら王宮が出してくれるんでしょうねと言ってみた。
更に試行錯誤でやったので資料があやふやの上に急いで組み立てたので偶然の部分も多く、半分以上は研究からスタートになると言って、その研究資金も当然出してくれるんでしょうねと・・概算を言われたので、黒金貨5000枚と言ったら諦めたようだった。
海のものとも山のものとも思えない研究に、日本円にして5兆円を出す訳にはいかなかったらしい。
ちなみに狭くなっていた版図は元以上に広がり、そして緩衝地帯となった獣人達の集落を含む地帯を領地とした、オレの陞爵が決まったらしい。
他の貴族達が嫌がるような場所だが、オレにとっては好都合。
そのまま獣人の国にしちまおうと、表向きだけオレが領主となり、彼らが実質運営をやるように段取りをした。
税金に付いてはオレが自腹を切って毎年黒金貨50枚を王宮に渡す事になるが、死蔵の黒金貨を使うので特に困る事はない。
獣人の集落の長達を集めた説明会で、今まで通りに暮らしても構わず、税金の支払いも不要。
全てはこちらが払うから気にせずに暮らせば良いし、もうおいそれとは人間も浚いには来れない旨も説明した。
他国から来れば王国に対する侵略になるし、他の領地から来ればオレに対する意趣となる。
それでも無法をするようなら、すぐさま報復と救助に動く事を確約した。
当初、もっと反発があるかと思ったのに、何故か好意的に受け取られたが、それは息子達のせいだった。
社会勉強の一環としてフェンリル達を連れて行ったのだが、フェンリル達の言葉より彼らのふさふさの毛のほうが雄弁に語っていたと、後に長から聞かされたがあんなに大事にされている子の親なら信じられると思ったらしい。
そして王宮に黒金貨5000枚を納入して100年間不可侵にしてもらうのは良かったが、その5000枚がそのまま研究費になって戻って来てしまった。
もっとも研究するのは気球船だ・・現在のところ、ワイバーンの皮膜が最先端になっていて、それを使った気球。
それを何個が組み合わせての気球船の研究をしているんだが、もっと適した素材があれば良いんだけどな。
そして船舶用魔導タービンエンジンの開発を経て、船の大型化と長距離運用と航海の安全性の向上という、色々と金のかかる問題を満載した船を作ろうという計画を推し進め、色々と問題点が出たという名目で金を食い潰していく。
実はこの惑星には他のも大陸があり、そこには魔物も人間も何も生息しておらず、あるのは森と草原だけなのだ。
後々、この大陸への移住を考え、移動方法に船舶を用いようと考えての事。
念の為にキツネさんに聞いてみると、将来的に人口爆発となった時の待避所のような立ち位置らしく、渡れるなら使っても構わないとの事。
後は宰相さんを戦闘機に乗せる訳にはいかず、似たような音のする何かを考えようと思っている。
熱気球を出して良いのか迷うが、戦闘機よりはましだろう。
ただ、ワイバーンの皮膜は熱に弱いので、それは無理かも知れないが。
そういう忙しい日々の合間に異世界観光ツアーも行われ、当初の目論見のままにケモナーが相当数、獣人の里の住民となっている。
そしてその中心部に新たな町、ケモミミシティ(仮名)・・が作られる事になる。
新しい町を作ると言ったら王様が命名したがったが、どうせその名では呼ばないので好きに付けさせておいた。
後にケモシティは周囲の獣人達の首都のような扱いとなり、ケモナーの女性は表で獣人達の保護の為のパトロールや相談の受付をやり、男連中は裏方で外患の処理などを行うようになる。
ハモンもいよいよヤバくなり、拘留になったら留置先に穴を開ける事を約束している。そして現在・・
「フェン兄・・何処なの?」
「ここだよ、ユウカ」
「お勉強、見てくれるって約束だよね」
「ごめんごめん、すぐに行くよ」
「うん・・待ってるから、ずっと待ってるから」
(これは懐かしいですね・・そうだな、これはあるじが目覚める兆候かもしれん・・あり得ますね・・かなり長い眠りだ、そろそろ目覚めてもいい頃ではないか・・それにしても、懐かしい台詞です・・ああ、幻想と言えどもあの台詞は・・そうでしたね・・この新生時空ではもう、あんな事件は・・はい、願い下げです・・なあ、キツネ・・何ですか、ウルフ・・その言葉遣いを止めないか・・変ですかね・・どうにもあるじが真似をしているように思えてならなくてな・・えっ、あるじ?何処なの、あれ・・キツネ、今のは・・えっ、何かあったの?・・いや、気のせいか・・ねぇ、何なの、ねぇ、ウルフ・・)
(懐かしい台詞で目覚めたが、時期尚早か。もうしばらく寝るとするか)
いきなり終わったみたいでごめんなさい。後は番外編をいくつか出しますが、その後は異世界ツアー2のほうをよろしくお願いします。




