SS ローランの背中
本編では大型犬なローランですが、今回は格好いい冒険者としての見せ場を書きたくて投稿しました!
リアクション、ブックマーク、評価が本当に励みになっています。 一つひとつの反応に力をいただいています。
「おい、お前。合同依頼なんだからもうちょっと協調性を持てよ。一応相方だろ」
ローランは一瞬、キョトンとした顔をして口元を歪ませた。
違うパーティの男だったな……と思い出す。
――こいつの名前を覚える価値はあるか?
一瞬だけ考えるが、必要がない気がする。
ならいいか。
しかし“相方”ねぇ……。
「……へぇ?俺ってさ〜。協調性とか社会性ってやつで、褒められたことねぇんだよな」
「だからなんだ……よ……!?」
一瞬後には、その男はローランのナイフの煌めきを、喉元で見ることになった。
彼は思わず声を上げる。
「なんだよ!いきなりなんなんだよ、お前!」
「んーと。これが俺なんだよな」
男の喉が上下して、わずかに揺れた。
それを見て、ローランは、ぱっと手を離した。
「俺さ。後ろから刺されても後悔しないヤツにしか、背中を預けねぇんだわ」
「……くそっ!後で後悔するぞ……!」
あの男とは、勝手に二人一組に編成されただけだったが。
やっぱり自分には荷が重いようだ。
(一人で行っちゃって大丈夫かねぇ……)
ローランは、ふっと笑ってその男の背中を見送る。
彼はローランを置いて、ずんずんと森の奥に行ってしまうが……。
「その背中、ガラ空きだぜ。オッサン」
仕方がない。
俺が、その背中だけは守ってやるよ。
――でも、あんたに守られたくないんだよなぁ。
そう。
ローランは背中を預けるメンバーを、すでに決めているのだった。
彼ら以外に、命を預けるつもりはない。
「あいつらなら、後悔だけはしないからな」
彼らが後ろから刺すとも思えない。
しかし、きっとそうなっても後悔だけはしないだろう。
「あいつら以外と組むなら、一人のほうがマシだぜ。あ〜あ、面倒くせぇ依頼だな……」
そう言って、手を頭の後ろで組んで空を見上げた。
これから討伐なのに、さっそく問題を起こしてしまった。
爽やかな空気が心地良い。
やはり、自分には街よりもこの空気が合っている。
そして……。
「……この緊張感が堪らないんだよな」
しかし、死ぬつもりは毛頭ない。
そして、さっきの自分の言葉を思い出す。
“あいつらなら、後悔だけはしないからな”。
でも仕方がない。これだけは譲れないんだ。
「……うーん。後で三人に怒られるよなぁ」
しかし、それも悪くない……そう思うローランだった。
この後、リックに怒られ、リジーに叱られ、デイジーに慰められます。
でも、きっと嬉しそうなローランでした。
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