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【新章・王都編スタート】転生したら孤児院出身。テンション低いけど頑張ります  作者: しぃ太郎
第二章 冒険者の日々――パーティ結成

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12/16

第12話 デイジー嫉妬する――その影で

第三章準備中です。

よろしくお願いします。



「あーー〜……。逃げたい」


 私は頭を抱えた。街中で噂されている、昨夜の事件。

 顔から火が出そうだ。


「はいはい、バカかわいい旦那特製の朝ごはんだぞ」


 リックが悪戯っぽい笑顔でお皿をテーブルに運んでくる。

 うーん、気が利く。

 ありがたい。


「なによ。卵とベーコンを焼いただけじゃない」

「ありがたいだろー。ほら、こっちなんてカリカリ!」

「ええ、美味しそう。いただきます」


「デイジー、昨日言い忘れたんだが」


 フォークを持った時に、彼から軽い口調で告げられた。

 卵を口に入れた瞬間なので、目線だけで先を促す。


「そういえば、俺。今日は遅くなるな」

「そうなの?何か依頼あったの?」


 軽い口調なので、危険はなさそう。

 それなら大丈夫かな。


「ああ、パーティーの欠員の穴埋め」

「なるほど」


 最近は単独の指名も多いからなぁ。

 ローランとリジーに相談してみよう。


「じゃあ、私はいつものメンバーと軽い仕事してこようかな」


 目玉焼きを口に運んだ。

 いい塩加減。うん、やっぱり最高だわ。



 ◇◇◇


「ねぇねぇ、リチャードだけどさ」

「ん?」


 冒険者ギルドの掲示板を確認していると、隣からリジーが声をかけてきた。

 今日もフワリとウェーブがかかった髪が似合う。


「今回の依頼、危ないかもよ」

「どういうこと?」


 私は声を潜めて聞いた。

 あのリックが、危ない橋を渡るとは思えない。


「美女ばっかり。有名なパーティーだよ」

 頭をガツンと殴られたような衝撃を感じた。

「美女……」

「ほらほら、うちら可愛い系じゃん?たまには違う系統にって――」


 そこで、リジーの頭が軽く小突かれた。

 そのすぐ後ろにローランが立っていたので、会話を聞かれていたみたいだ。


「適当に煽るなよ。リチャードは大丈夫だ」

「むー。わかってるわよぉ」


 浮気の心配なんて全くしていなかったが、嫌な感情が胸の奥に沈み込んだ。


 あのリックに限ってそれはない……。

 信じてる。

 それなのに、掲示板の文字が霞んでよく見えなかった。


 ◇◇◇


「今日は、本当に凄かったわ。流石ねぇ」

「もう、このまま正式メンバーになってよ〜」


 街中で、リックと鉢合わせた。

 依頼が終わり、これからギルドに向かうところだろう。


 ――それはいいけれど。


 彼の両脇には、馴れ馴れしく腕を絡ませる女性が二人。

 背の高い女性と、露出の多い服装をした少女。


『うわー……』

『うわ……。タイミング悪いヤツだな。ご愁傷さま』


 リジーとローランの声がする。

 ――丸聞こえだって。


 ふと、リックと目が合った。

 私は思わず目を逸らす。今は彼を見たくない。


「あ!マーガレット!」


 そんな私の心境も知らずに、嬉しげな声で駆け寄ってくる。

 リックがそれなりに人気があるのは知っている。

 知っているが――。


「お仕置きコンボ!」


 リックに逃げられないように、その手を取り、直接電撃を流し込む。

 前世で大人気だった、虎柄美少女の必殺技だ。


『うわ、相変わらずマーガレットはエグい』

『逃げられないように腕をつかんでるのがポイント高いわねぇ』


「う、わわわわわわ!!!」


 倒れ込むリック。


「おーい、生きてるか?あはは!いやー、女の嫉妬は物理的に痛いな!」

 ローランが声をかけている。

「えー?私は、食事に激辛ソース混ぜるくらいじゃない〜?」


 浮気じゃなくても、街中で女性に絡まれるのはお仕置き案件なのだ。これは、様式美だ!


 ――やり過ぎたかな?

 そう思っていると、彼はガバリと私に抱きついてきた。


「あ〜、デイジーが一番安心する。もー猛獣に囲まれた時の獲物気分だった!スライムの気持ちが初めてわかった!」


 スライムの気持ちって。

 隣では、ローランが大笑いしている。


「転生したら、旦那がスライムだった……」


 そう呟いたら、笑ってしまった。

 後ろでは、さっきの女性たちが何か言っているが。

 やっぱり、うちのリックは馬鹿かわいい。


「でも、軽々しく他の女性と仲良くしないでよね……」


 理性だけでは、完全に払拭できない感情が胸を覆う。

 つい、リックを責めてしまう。


「え、嫉妬?……本当に嫉妬??」

「なに嬉しそうにしてるのよ?……当たり前じゃない」


 口角が上がりっぱなしのリックから目を背けた。

 指摘されると顔が熱くなってくる。

 私はそんなキャラじゃないんだってば。


「やっぱり、うちの嫁が一番かわいい!」


 街中でそういう事を叫ばれると困るってば!

 照れ隠しに、出力を弱めてもう一度電撃を食らわした私だった。



 ◇◇◇



 ――その頃。


「……やっと見つけた」


 リチャード。

 マーガレット。


(……ここから始まるんだわ)

 ――今度こそ、私の物語を取り戻す。

読んでくださり、ありがとうございました。

ほんの少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 他の女性に腕を組まれている時点で、お仕置きされて当然だと思います。「お仕置きだっちゃ!」って言って欲しい(笑)
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