かくれんぼ
夕日に照らされながら、キィキィと音を鳴らしてブランコが前後する。
錆び付いた鎖、腐食したフレーム。
所々塗装が禿げたオレンジ色の柵。
シーソー、ジャングルジム、砂場。
そのどれもが、林の木々と共に、夕陽の濃いオレンジ色に彩られている。
児童公園。誰も寄り付かなくなって、幾年が経過したのだろうか。
冬の夕暮れ。日が沈むのが早い時期に、山陰に落ちゆく太陽。
オレンジ色に染まる街は、黄昏時。
人々は家路を急ぎ、カラスが遠くで喚いている。
そんな中。併設された人目も無いの神社の裏で。
遊び呆ける子どもの嬌声が響く。
「もう、いいかい?」
「まぁだだよ」
愛らしい呼び声。
幼い遊び声。
こんな時間に、まだ、遊んでいるのか。
親は心配しないのだろうか。
まぁ、私にとっては都合の良い事だけれど。
「もう、いいかい?」
「まぁだだよ」
黄昏時。誰そ彼時。人の顔さえ見えぬ時。
呼び声掛けて訪ねる時に。
一緒に遊んでいるのは、さて。何処の子どもなのだろうか。
夕暮れ時に、背を向け数える小さな姿。
逃げ惑う子ども達。
顔も見えぬまま、無邪気に遊び続ける子ども達。
そんな中。
「もう、いいかい?」
「まぁだだよ」
三度響いた、問い掛ける声。
そろりそろりと隠れる幼子。
木の影に。賽銭箱のその裏に。
身を潜め、縮こまり、小さくなって身を隠す。
「かくれんぼ」という遊び。
それは果たして、何から逃げて、隠れるのか。
黄昏時。誰そ彼時。人の顔さえ見えぬ時。
呼び声掛けて訪ねる時に。
夕日に照らされながら、キィキィと音を鳴らしてブランコが前後する。
風もない。穏やかな夕暮れに。
一人でに、キィキィと鳴る、古びた遊具。
まるで誰かに押されるように。
やがて、鎖が軋み、柵の錆を削りながら。
ゆっくりと影から這い出る、微かにブランコを揺らした者。
いつの間にか混じっていた、知らない誰か。
「もう、いいかい?」
「まぁだだよ」
「――みぃつけたァ」
鬼に捕まってしまった後は。
もはや声さえ響かなかった。




