表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/39

運命の出会い ~私と『彼』の奮闘記~(中編)

近日中と言っておいて一ヶ月も経ってしまい、申し訳ありません。


「こんにちは~」

 ペットショップのドアを開けると、店長の静寂さんがちょうど熱帯魚にエサをあげていました。

「いやぁ、いらっしゃい。待ってたよ。」

 私に気がついた静寂さんは人の良さそうな笑みを浮かべると店の奥へ行き、再び戻ってきた時、その両手には私が今日貰うわんちゃんが抱かれていました。

「ほら、こいつもこんなに興奮するほど待ってたんだよ。」

 静寂さんわんちゃんを私の目の前まで差し出しながら言いました。

 わんちゃんのしっぽがはち切れんばかりに振られ、まだ小さな足は懸命に私の方へのばしています。

「わん!わぁん!」

 静寂さんからわんちゃんを受け取り、抱きしめるとわんちゃんは嬉しそうに私の顔を舐めてくれます。

 ああ、かわいいです!こんなかわいい子が私の家に来てくれるなんて奇跡です。

「こいつ、朝からずっとこんな調子でうるさかったんだよ。」

 ・・・あれ?静寂さんの笑顔がどことなく誰かに似ている気がします。

 これは・・・・・・・そうです!従兄の実君が裏で何か悪いことを企んでいる時の笑顔にそっくりです!

 え・・・・と、はい。この場合は関わると大変なことになりそうなのでとりあえず放置します。

「くぅーん。」

 そうです。今はそんなことよりもこの子のことの方が大事です。

「それじゃ、そろそろ邪魔者・・・のバカが来る前にちゃっちゃと必要事項だけ済ませちゃおっか。」

「は・・・・はい。」

 あの・・・笑顔の黒さが5割増しになった気が・・・というか、今『邪魔者』の部分に力を入れませんでしたか?

 うん。ここは気にしたら負けですね。






                   ◆◆◆









「はい。これでこの子は完全(・・)香澄ちゃんの(・・・・・・)家族だよ。」

 『完全』と『香澄ちゃんの』の部分に力がものすごく入っている気がするのは気のせいでしょうか?

「それで、この子の名前は決まったのかい?」

「あ、はい。この子の名前はジョ・・・・」

 その時です。突然お店のドアが壊れんばかりの勢いで開き、学生服を着た男の方が勢いよく入ってきました。あれ?あの制服、実君と同じだ。

「おじさん!ジョセフィーヌを嫁に貰いに来たぜ!!」

 ???ジョセフィーヌって誰ですか?なんか変なポーズをとっているのですが、これは、まさか決めポーズというやつでしょうか?

 訳が分からず静寂さんの方を見ると・・・

 あ・・あの、静寂さん。なんだかとっても黒・・・いえ、楽しそうな顔をしているのですけれど、何でですか!?

「ははは!残念ながら、ちょっと遅かったね。ちょうど今売れちゃったところなんだ。」

 いい年のおじさまがテヘ♡と笑ってもあまりかわいくないと思いますよ。

 というか、本当に楽しそうに笑ってますね。

 一方の男の方はどうやら静寂さんの言葉に呆然となっているようです。

 うーん。たった今売れた動物というと私の腕の中にいるこの子しか思いつかないのですが、『ジョセフィーヌ』は女性の名前ですよね?ということはあの方が欲しがっているのはメス。この子は・・・

「ああ、あとね、あの子、オスだから。」

 しばらくの沈黙。

「ぬぁああああにーーーーーーーー!!!!!」

 ・・・・????もしかして、この方は本来はオスなのにメスだと勘違いしていた・・・と言うことでしょうか?

 あの、でも静寂さん、確信犯ですよね?

「バカな、バカな、バカな!!あの愛らしいジョセフィーヌがオス?しかもオレ以外の男に売られただとーーー」

 ようやく現実に戻ってきたかと思えばなにやらよく分からないことを叫んでいます。

 誰も男の方に売られたとは言っていないと思うのですが・・・ふふふ、なんだか、おもしろい方です。見ていて、とても楽しい気分になってきます。この方には失礼かもしれないでしょうが。

 あれ、なんだかわんちゃんからすさまじい怒りを感じるのですが、気のせいでしょうか?

「おもしろいからほかっといたんだけど・・・・まさか本気でメスだと思ってたんだねぇ。」

 それ、笑いながら言うセリフでは無いと思います。

 ああ、案の定男の方の形相がすごいことになってますよ!

「で!」

「で?」

「オレの嫁、ジョセフィーヌはどこ?」

「そこ。」

 そうして静寂さんが指さした方向は・・・え?私ですか!

 あ、あの、男の方の目が血走ってるのですが・・・

「ジョセフィ~ヌ。」

 ようやく、状況が飲み込めてきました。多分、この男の方が『ジョセフィーヌ』と呼ぶのは私が買ったわんちゃんのことなのでしょう。

 そして、この方、この子に対して何らかの思いがあるみたいです。

 え?こっちに向かってきます!しかも、何故だか彼の周囲にはお花がとんでいるように見えるのですが・・・・・・・

 すると、わんちゃんが私の腕から飛び降りると男の方の右腕に向かって・・・



がぶり



 効果音が店中に響くほど強く噛みついたようです。

「○×△□※〒◇☆♂♀#・・・・・」

 男の方の音なき悲鳴が辺りに響きました。

 ここで3つ、分かったことがあります。

 1つ目は、この男の方が変な人であること。

 2つ目は、とりあえず、男の方の想いは一方通行でわんちゃんは嫌がっているということ。

 3つ目は、何故だか私の胸が「きゅん!」となったこと。

 一体、私はどうしてしまったのでしょう?


香澄ちゃん視点だとこんな話になります。

あと一話・・・で終わるだろうか(汗)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ