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神様を継ぐ日 ~Angel Hazard~  作者: 千夜
唯花編

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30/35

28:目の前に広がるは未開の地

 遺跡に吸い込まれた唯花は意識こそは保っていたものの、状況の整理が追い付かず混乱がまだ解けていなかった。正直現実かどうかはっきりしないままどれぐらい地面に伏していたかも分からずとりあえず起き上がり、吸い込まれた時までの記憶を辿ることから始めた。最後に見たのは恐怖と絶望に満ちた天征の表情だった。


 あの瞬間から、本当に何が起きたんだろう。遺跡の様子が急におかしくなったと思ったらそれに吸い込まれて気づいたらここにいた。意識を失う直前、サイケデリックな空間を落ちていくように飛ばされたのを思い出した。薬物がもたらす幻覚のイメージみたいで、あの飛ばされる感覚は煉の時とどこか似てる。


 とりあえずパチンと頬を軽く叩いてみる。感覚はあるので一応生きてはいるみたい。でもそれだとこれは今何か夢を見ているわけでもないんだよね…

 そういえばみんなはどこ行ったの?てか、近くに誰もいないじゃん。もしかして今私一人ぼっち?天征たちはどうなったのか分からないけど明と姫菜は私と同じように遺跡に吸い込まれたはずだからどこかにいるはず……とりあえず探しに行くしかないのかな?


「っ、ここどこ!?」


       挿絵(By みてみん)


 私は目を疑った。遺跡に吸い込まれたと思えばそれで終わりではなく目の前に見知らぬ草原が広がっていたからだ。とりあえずここは日本のどこかなんだろうと思い、急いで携帯を取り出し地図を開いてみる。ところが、いつまでたっても地図が画面に表示されない。なんで?


「みんなーー!どこにいるのーーー!!…天征ーーー!!…煉ーーー!!……ゴホッ」


 ヤケクソになって名前を叫んだところで、周囲には誰もいないから無意味だった。吹き抜ける風の音がとても虚しく聞こえた。このままでは埒が明かないので藁にも縋る思いで天征に電話をかけることにした。しかし、何度かけても電話に出てこない…


 圏外だからどうにもできないじゃん……マジでどうしたらいいの本当に…


 携帯が使い物にならないのでとりあえず少し歩いてみることにした。遠くに山が並んでおり麓から注ぐ大きな川が流れている雄大な景色が視界に広がっていた。思わず見とれてしまい写真に収めた。


 にしてもこんな場所日本にあったっけ…?そう思いながら私は歩き続ける。こんなに綺麗な場所なら観光地として人気になってるはず。もしそうだとするなら全然人が見当たらないのがおかしい。恐らくここは日本じゃない。だとすれば、ここってもしかしてどこかの外国なの?


 上を向いてみると青空が広がっていて、光も降り注いでいるから地球のどこかに飛ばされてしまったのかな。光の見え方でこう見えるのか分からないけど、心なしか太陽が少しオレンジ色っぽい気がする。とにかくまずは人を探してここがどこか突き止めなきゃ。てか、言葉が通じなかったらどうしよう……いや、考えてもどうしようもないわ。


 目覚めた場所である草原は斜面になっているから、この辺りは丘陵地帯なのは分かった。とりあえず川に沿って歩いたら人に出会えるかもしれない。それはそうとここから降りて歩いて行くのは面倒くさいなあ。因子を使って楽に移動しよっと。


 命脈権能を難なく発動できるのは唯花にとって救いだった。因子の力で空に浮かんだ彼女は、その状態のまま漂うように下流へ向かっていくことにした。


 しばらく飛び続けていると、地上に街らしきものが見えてきた。とりあえず人には会えそうね。よく見ると建物がいくつも建ち並んでいた。見渡す限り街は広がっているのでかなり大規模だ。やっぱりここはどこかの外国なのかな?


 



 


 


 

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― 新着の感想 ―
読了しました!! 唯花ちゃん、スマホも通じない未開の地、一人で大丈夫か!? 街が見つかったとはいえ……油断しないで欲しい。 ハラハラしますね(⌒-⌒; ) 次回も楽しみにしております!
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