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神様を継ぐ日 ~Angel Hazard~  作者: 千夜


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2/2

光継者

 明らかに異様だった。海上の空は見たことのない巨大な幾何学模様で覆われている。これは天変地異ではなく超常的なものによって引き起こされていることは間違いない。周囲には多くの人々が集まり混乱しきっている。

 

 「何あれ!?」

 「すげー!絶対バズるやつだあれ」

 「どう見てもやばいだろ。逃げた方がいいんじゃないか」


 野次馬の群れに混じりながら空から目を離せないでいた。好奇心が無意識に俺を縛る。

 しばらくしてその幾何学模様は次第に赤黒くなりますます不気味になっていく。人々のどよめきはさらに大きくなっていった。

 

 「絶対なにか来るって!そろそろ離れるぞ!!」

 「うわっ、眩しい!」

 

 その時だった。咆哮のような轟音と共に、模様の中心から突然光が放たれる。光が降り注ぐにつれて模様は消えていき、海面に再び目を向けるとそこにはなんと怪獣がいたのだ。その怪獣はトカゲが禍々しく巨大化した姿でゲームで登場してくるモンスターのようだった。とりわけ不気味なのは全身を模様と同じ赤黒いオーラで覆われ、世間一般の感覚とは違う神々しさを与えられているようだった。そして怪獣は街の方へ向かって歩み始めた。

 

 「みんな逃げろ!マジで死ぬぞ!!」

 

 あちこちから悲鳴が聞こえ、人々はパニックに陥り逃げ惑う。


 そんな状況の中、天征は怪獣から目を離さず逃げられずにいた。恐怖で動けないわけではない。心の底から怒りが湧き上がり、その怒りが逃げることを許さないでいたのだ。

 

 こんな化け物にみんな殺されてしまうのか?俺はただ平和に暮らしたかっただけなのに…なぜ急に何もかも奪われなきゃいけないんだよ、ふざけるな!

 

 俺は固く握りしめた拳を怪獣に向けていた。無力なことは分かりきっている。逃げ回って死ぬぐらいなら抵抗して死んだ方がマシだ。

 

 怪獣は徐々にこちらへ向かっていく中で天征が死を覚悟して立ち尽くしていると彼の視界は急に真っ白になり、意識を失い倒れてしまう。


 (…俺は、死んだのか?……ん?誰かいる…)

 

 意識が戻ったのと同時に視界が復活すると目の前にはなぜか少年がいた。しかしその少年は眠っているような表情をしているうえ、クリスタルのような岩石で下半身が埋まっており封印されているようだった。声をかけても反応がない。そして周囲は白い空間に包まれており天征と少年以外には他になにもないのだ。


 すると、その少年から煌めく結晶が飛び出して天征のもとへゆっくり向かっていく。そして結晶は天征の体の中へと入りこんでいった。再び視界が真っ白になり何も見えなくなっていくのだが先程とは明確な違いがあった。結晶が入り切った直後から自身の感情に呼応するように全身に力がみなぎってゆく。意識が現実に戻りつつあるのは感覚で分かる。怒りの次にやってきた感情は希望と闘志が混ざった衝動だった。


 時を同じくして怪獣は既に海岸に上陸し、未だに倒れている天征に目と鼻の先まで迫っている。人々は彼は踏みつぶされてまもなく死んでしまうのだろうと呆然として眺めている。怪獣が天征を踏みつぶそうとした瞬間、、、天征はふっと立ち上がり全身が白銀に光り輝いた。それだけでは終わらず自身を踏もうとしてきた怪獣の足を光のような速さで殴り返したのだ。一瞬の出来事だった。


 

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