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第90話 言語翻訳アプリは通訳より便利です

 タイムが現れてくれたのはいいが、いつもより口数が少ない。

 顔つきも何処か硬いものがある。


『なあタイム。出てきてくれたのは嬉しいけど、あんまり元気ないな』

『……そんなこと、ないよ。タイム、頑張る!』


 なにを頑張るというんだ?

 まあいい。

 今は出てきてくれたことを喜ぼう。

 ……子夜(しや)さんの前には出てこないつもりかな。

 いつまでもそんなことできないし、なにか考えないとな。


 夕飯のとき、子夜さんは皿が飛んでいるのを見て目を輝かせていた。

 そういえば、俺は大量に食べないとダメだけど、子夜さんはどうなんだろう。

 お昼のときは普通だったし、俺だけの特性なのかな。


 夕飯を終え、エイルの部屋に集まる。

 子夜さんの今後についてだ。

 とはいえ、話し合うにも一々俺が通訳しなければならない。

 それは面倒なので、とにかく携帯(ケータイ)で翻訳できないかを探すことにする。


携帯(ケータイ)の使い方は教えてもらった?」

「バカにしないでよ。何年使ってると思ってるの?」


 何年も使っているのか。

 かなりの年代物なのだろう。

 ……俺みたいにアップグレードできるのだろうか。


「そうじゃなくて、管理者に特別な使い方は教わってこなかったのかって意味だよ」

「あー……覚えてない。けど取説はもらってきた!」


 そう言うと、学生鞄の中から大きな封筒を取りだした。

 その中から一冊の本……取扱説明書を取り出すと、俺に渡してきた。

 つまり俺に読めと?

 子夜さんは、その辺りは苦手なようだ。

 パラパラとめくってチラ見してみる。

 充電に関しては、俺の携帯(スマホ)と同じようだ。

 アプリに関しては、新たにインストールできるものはないのか。

 それでも目的の翻訳アプリは最初から入っているようだ。

 そう言えば俺の携帯(スマホ)にも言語相互翻訳(マルチリンガル)最初から入ってプリインストールされていた。

 アプリストアのラインナップも全然違ったし。

 そういったところは改変されているみたいだな。

 しかしせっかくプリインストールされているのに、機能していないのか?

 「ちょっと貸して」と携帯(ケータイ)を受け取り、翻訳アプリを起動してみる。

 案の定、俺のときと同じで、1言語1万円で翻訳できるようになる。


「翻訳アプリがあるから、これでみんなと話せるようになるよ」

「ホント? よかったー」

「ただ、1万円かかるけどね」

「お金が掛かるのよ?」

「俺のときも同じだけ掛かっていたよ。後払いだったからなんとかなったけどな」

「1万円?! うー中学生には大金だよー」

「中学生なの? 背が高いから高校生くらいかと」


 子夜さんは大体俺の目線くらいの身長がある。

 エイルやアニカは俺の顎よりちょっと低いくらいだ。

 だから多分子夜さんは背が高い方だと思う。


「あ、うん。子夜時子(ときこ)、もうすぐ15歳の中学3年生です!」

「俺ももうすぐ17だから、2つ上だな」

「えっ……モナカさんは高校2年生なんですね」

「急になんだよ、〝モナカさん〟って」

「いえ、年上ですし、異世界の先輩なので……その」

「今更気にしないよ。〝モナカくん〟でいいよ」

「じゃあ、時子のことも〝時子〟って呼んでください。時子は、親しい人には名前で呼ばれたいんです」

「う……ハードル高いな」

「なんでですか? エイルさんもアニカさんも名前呼びじゃないですか。時子だけ名字なんて……ちょっと寂しいです」

「……わかったよ。その……時子……さん」

「んー、〝さん〟は要らないんだけどなー。まいっか。改めてよろしくね、モナカくん!」

「ああ。因みにエイルもアニカも時子さんのいっこ上だ」

「ええっ、異世界人なのに?! 時子より背が低いから年下だと思ってたよ」


 やはり時子さんの認識でも、異世界人は背が高いらしい。

 少しホッとした。


「だよなだよな。俺も絶対子供だと思ったのに、いっこ下なだけだからなー」

「2人して話してないのよ、さっさと翻訳アプリを使うのよ」


 エイルが痺れを切らしたのか、翻訳を急かしてきた。


「ああ、そうだな。悪い悪い。時子さん、使えるようにするよ?」

「う、でも1万円が……」

「後払いだし、無理なら出してあげるよ」

「そんな、悪いよ」

「俺もエイルに借りているから……って! そうだまだ返していなかったんだ」

「ん? なにをのよ?」

「だからお金だよ。1年前借りただろ。今なら返せるから、返すよ」

「……はあ?! なに言ってるのよ! あれは……のよ、今更要らないのよ!」

「なに言ってんだよ。借りは借り。ちゃんと返さないと。えっと……」

『タイム』

()

『まだなにも言ってないだろ』

『エイルさんが要らないって言ってるんだから、貰っておけばいいんだよ』

『そういうわけには……』

『だったらマスターが自分でやればいいでしょ』

『う……だって、そこの操作はタイムにしかできないから』


 そうなのだ。

 買い物に関しては普通にできる。

 しかし直接お金の受け渡しとなると、タイムが操作しないとできないのだ。

 ある意味財布を握られていると言っても過言ではない。

 どうしてこうなった。


「その……携帯(スマホ)の調子が悪いみたいだから、後で返すよ」

「そんなことのよ、早く翻訳アプリを買うのよ」


 ちょっと違うけれど、訂正するほどのことでもないか。


「そんな訳だから、いざとなったら俺たちを頼れ」

「うん、分かった。……で、どうすればいいの?」


 あ、やっぱりそうなるか。

 仕方が無いので取説を見ながら操作をする。

 それを時子さんが一緒に見ている。

 お金に関しては……俺と同様一文無しだった。

 管理者も金欠なのだろう。

 翻訳アプリの言語一覧から、翻訳する言語を選択する。

 俺のときと同じでずらっと並んでいる。

 とはいえ、所詮は携帯(ケータイ)

 表示できる文字数が少ないので、1度に表示できる言語数も少ない。

 それでも、多分切り替えれば無限とも思える数の言語があるに違いない。

 が、必要なのはこの世界の言語のみだ。

 今回も一番上を無難に選んでおけば問題は無いだろう。


「じゃあ、買うよ」

「うん、お願いします」


 一覧にある一番上の言語を選択して、購入する。

 するとデータのダウンロードが始まった。

 携帯(スマホ)の時は一瞬で終わっていたが、携帯(ケータイ)だと結構時間が掛かる。

 ダウンロードが終わり、アプリに反映される。


「もう大丈夫なはずだけど……どう?」

「どうかな。エイルさん、ご主人様、時子の言葉が分かりますか?」

「……アニカは時子に自分のことをご主人様と呼ばせてるのよ?」

「違います! 呼ばせているのではなく、召喚された者は召喚した者をそう呼んでしまうんです。強制力なので、ボクがそうさせたのではありませんっ」

「そうなのよ?」

「……何故俺を見る」

「モナカはアニカのことのよ、ご主人様と呼ばないのよ?」

「呼ばないな」

「アニカがモナカをこの世界に呼び寄せたんじゃないのよ?」

「違うってことが確定したな」

「そんなはずないのよ!」

「認めようぜ。世界のルールには逆らえないだろ」

「生まれ変わらずに転生したのよ、十分逆らってるのよ」

「文句はルールを決めた奴に言ってくれ!」


 やっぱり世界のルールはあの自称管理者が決めたのだろうか。

 いや、重要なのはそこじゃない。


「そんなことはいい。ちゃんと翻訳されているってことでいいのかな」

「そうなのよ、ちゃんと分かるのよ」

「そうだね、トキコさんの言葉がやっと分かるようになったよ」

「ホント? 良かったー。これでモナカくんを通さなくてもお話しできるんだね」


 これで一番の問題は解決できた。

 これで漸く色々と説明できるというものだ。

 問題は、タイムのことだ。

 どう説明するか、だ。

 〝それはタイムが考える〟と言っていたが、どうするつもりなのだろう。

 タイム自身の問題は、俺自身の問題でもある。

 相談してほしいものだが、〝タイム個人の問題だから〟と拒否されてしまった。

 マスターとしては寂しいところだ。

これで通訳が要らなくなりました

モナカを召喚したのも、アニカではないと確定しました

では誰が……という謎はまだ残ってます

ま、それはそのうち


次回は先輩についてちょこっと情報が出てきます

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