44/124
ラプラスの悪魔(SF)
2432年6月3日。
人類は神を作り出した。
ユーラシアで開発された世界最高のスーパーコンピュータ「ラプラス」。
これは、将来起こりうる運命を計算し、正確に予言ができる能力をもっていた。
人工的につくりだされた全知全能の神。人間は「神」をついに軍門に降したのだ。
「科学の勝利」。マスメディアはこの大発明を大々的に取り上げた。
開発者のアイザック博士は、この記者会見を有効的に活用した。
この記者会見で「ラプラス」は10分後に東京で震度2の地震が起きると予言し、的中させた。そして、1年間の精密な天気予報を作成し、人々を驚かせた。
大災害、株価、選挙結果。すべての予言は的中し、ひとびとは歓喜した。
ラプラスの運用から1年が経過した後、異変はおきたのだ。
人々がデータを入力し、予言を求めてもエラーが発生するのである。調査によって、そのエラーは半年後以降の予言を求めた時におきることがわかった。
調査結果をみて、アイザック博士は顔面が蒼白になった。彼は部下たちを帰らせ、ラプラスにひとつの予言を求めた。
「半年後、地球はどうなっているのか……」




