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壊れたロボット
私は息子に言う。
「こんな壊れたロボットのおもちゃ何て捨ててしまいなさい」
2年前のクリスマスに買ってあげた戦隊ものの巨大ロボットは、色あせて腕も無くなっていた。
「わかったよ」
物を捨てられない子供が、しぶしぶ私の言葉に従う。まったく聞き分けがいいんだか、悪いんだか。あれで来年からは小学校に通えるのだろうか。なんとなく頼りがいがない。
不燃ごみボックスにおもちゃを入れる。
「(君は僕と同じだ。しょせん使い捨てなんだよ。僕はそれがわかっているけど、キミはそれがわからない。おもしろいことだ)」
聞こえてはいけない言葉が聞こえたように思えた。出社の時間が近い。僕はスーツに着替えた。