9 姉達の思惑とお母様の日記
屋敷に戻ると三人は忙しく動いている。
シェリーは箱庭に足りない日常品を見繕っている。
ゲン爺は庭師の道具一式と苗や種を揃えている。いろいろ試したいようで買い物にも行ったようだ。心なしか背筋がぴんとなったような気がする。
ヤンは箱庭のリビングや空いている寝室に必要なものを見繕っている。
「お嬢様は、お父様奥様のお部屋から必要なものがあれば持って行ってください。宝石とかは没収されましたが他は無事のはずです。あいつらは旦那様の部屋を中心に書類を狙っていたようですから。ついでにバネット様とコネット様の部屋も確認してください。」
私だけやることがなかったので、仕事を与えてくれたヤンに感謝だ。
まずお母様のお部屋にお邪魔した。本当に装飾品類は見当たらない。でも机の引き出しからお母様の日記が見つかった。これはいただく。あとはなさそうだ。
次にバネットお姉様のお部屋だ。不思議なことにお母様のお部屋ほど散らかっていない。まあ宝石類はありませんけど、ケバケバしたドレスはクローゼットにいっぱいあった。使用人たちもさすがに平民がこんなアドレス着られないし、おとなしめのドレスを持って行ったようだ。でもすごく重い。お姉様ってこんな思いドレスを着て夜会に参加していたのだろうか。しみじみ手に取ると、ドレスの裏にいっぱいの宝石が縫い付けてあった。その宝石はお母様の物もあり、どこに行ったのかしらと探していたことを思い出した。お姉様って泥棒だったんだ。これもいただいた。
コレットお姉様のお部屋は少女趣味だ。あっちこっちにリボンがひらひら揺れている。ドレスもひらひらが多かった。宝石類はやっぱりない。残ったドレスを確認しても縫い付けた宝石はなかった。でも机の隠し引き出しを発見した。その中は手紙だった。ちょっと読んでみたら実の両親からの手紙の束だった。コレットお姉様は、ご自分がお父様やお母様と血が繋がっていないことをご存知だったんだ。とんでもないことだ。このお手紙はじっくり読もう。
それとヤンに報告だ。
「やはり、そうでしたか。」
「やはり?知っていたの。」
「はい。」
「バネット様はともかくコレット様に血の繋がりはないだろうと考えておりました。」
色々と思うことはあるけれど今はそれさえ些細なことだ。伯爵家が亡くなってしまうかもしれないんだ。お母様の日記とバネットお姉様いいえもうバネットでいいや。バネットの宝石を見せた。お母様の宝石以外売ることにした。これで少しは息がつけるだろう。
お母様もの日記を持って、ゲン爺と箱庭へポチする。シシーが待っている。
「お帰りなさいませ。」
「ただいま。」
シシーが出迎えてくれた。私がいなくても変化はなかったようだ。
安心した。
読んでいただいて、ありがとうございます。




