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箱庭  作者: 田舎娘
第一章 レネットの箱庭

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  6 隠し金庫と隠し階段

 まず、この鍵を調べることにした。


「でも、お嬢様。この家はすでに二回も近衛たちに家探しをされています。各倉庫とか隠し金庫とか調べ尽くされてますよ。それに使用人がいろいろと物色して隅々まであらわになっています。」

 使用人たちが手を付けていないのは、お父様の執務室・寝室と書斎だ。あと応接室だけ。そこを中心に調べることにした。まず執務室だ。重たいものも動かして調べたが成果無し。次に書斎にした。その前に

「喉も乾いたでしょう。お茶にしましょう。」

 シェリーとシシーでお茶の用意だ。ヤンとゲン爺と私は書斎のソファーでお茶を待っている。


「ここも本とかあるから、動かすの大変よね。」

 ちょっとげんなりしていたら、ヤンが暖炉をじっと見ている。

「お嬢様、覚えておいでですか。お小さい頃、かくれんぼをなさってあの暖炉で寝てしまわれました。」

 そうそう結局お父様にお姫様抱っこでベッドまで運んでもらったんだった。あの時お姫様抱っこが嬉しくって寝たふりをしていたんだったわ。懐かしい。


 お茶も美味しくいただいたけど、まだヤンは暖炉が気になるらしい。

「あの後、旦那様は暖炉をご使用にならなくなりました。どんなに寒くても決して火を入れませんでした。」

 皆で暖炉に集まる。暗くてよく見えない。ゲン爺が誰か来たらまずいので外で仕事をしながら見張っていると出て行った。うちは家令だけでなく庭師もよく気がつく。


 ヤンが念入りに調べる。あった。鍵を手渡しガチャリ、空いた。いざ御開帳だ。何が出るんだろう。入っていたのは書類。すべて出して調べる。まず収支報告書とかいろいろな書類だ。読んでいるうちに眠くなってきた。眠気覚ましに暖炉に入ってみる。シシーが灯かりを持ってきてくれる。シシーも眠そうだったもんね。


 暖炉は私達二人が立って入れる広さだ隠し金庫は真正面でちょっと上にありソファからは見えないようになっている。左右は私が中腰にならないと入れないように狭くなっている。はしたないけど、はいはいして良く見てみる。あった。鍵穴だ。あったのは右側。左側はない。すぐさま鍵を合わせてみる。あいた。先に行こうとしたらシシーに止められた。そりゃそうだ。ヤンたちに報告だ。


「お嬢様、お手柄です。」

「お手柄ですがお顔が汚れています。」

 メッしながら優しく顔を拭いてくれるシェリーだ。懐かしい。よくこうやって汚れた顔や口を拭いてくれたのを思い出し、ニマニマする。


 右側は階段になっているようで先がわからない。ヤンが、

「私が行きます。1時間して帰ってこなかったらゲン爺に助けに来てもらうようにしてください。くれぐれもお三方は入らないように、いいですね。二人ともお嬢様のことくれぐれもよろしくお願いしましたよ。」

 まるで私が考えなしに突入するって言ってるわよね。言ってるよね?私だってそんなに無鉄砲じゃないわよ。多分?


 しばらくしたら、普通のドアからゲン爺と一緒にヤンが戻ってきた。かなり早く戻ったので聞きたいことは山ほどあるが、まずはヤンの報告を聞くことにした。


 ヤンの報告は簡単だった。階段を下りるとドアがあり、その先はまるで屋敷二階にいるようだそうだ。日光が入ってこないだけで間取りはほぼ一緒だ。ただ、寝室が書斎になっていたりしているが、小規模ながら屋敷の体をなしている。厨房から上への階段があり、上がってみたら庭師の道具小屋だった。

「暗いのでざっと見ただけですが、ちゃんと準備して調べますね。」

 私も協力したい。


「お嬢様は箱庭のレベルを上げてください。それとこれをお持ちください。」

 渡されたのは金の懐中時計だ。家の時計はすべて没収や使用人の持ち出しで一つも残っていない。

「これは先代の伯爵様からいただいたものです。お使いください。」

「これはあなたのものでしょ。使えないわ。」

「お貸しするだけです。後でお返しください。」

 ありがたく借りることにした。絶対返しますから。




読んでいただいて、ありがとうございます。

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