底辺のおっさんは、召喚姫達と散歩をする
「もー、トイちゃんも出かけたいならそう言えばいいのに。踊りに誘うからあたしの事、少しは認めてくれたのかと思ったのにー」
隣を歩くトイに卯実がじゃれる様に絡むがトイの反応「二ノ宮卯実の何を認めるのですか?」と、平常運転のトイはいつもの無表情、無関心で返す。
「もー、直ぐそーやってー。相棒からもなんとか言ってよ」
「なんとか」
トイの後ろを歩く俺は面倒臭いからカビの生えた返しで卯実を『もーもー』鳴く牛にしてやる。
「もー、2人とも酷くない? もー」
「二ノ宮卯実がうるさいです、マスター」
俺任せかよ、トイ。
「ニノ、うるせぇっスよ」
「二ノ宮嬢、静かにせよ。そろそろ川に出る。
イットゥー、様子を」
シブの言葉に先頭を行くイットゥーが頷き、手のひらを後続の俺達に向けた。
確か『待て』の合図だったよな? 俺もあまり外に出ないから合図を忘れかけてるな。
俺達が停まるとイットゥーが合図を幾つかこちらに送るが何の合図か覚えて無いや。
合図の後イットゥーが姿を消し、俺達はその場で待機する。
「主、して、上流と下流どちらに向かいますますかな?」
「魚を『視て』から下流です、マスター」
シブの質問にホルダーを掲げ上げているトイが答える。
今日はトイのお散歩だ、好きにさせるとするか。
俺は肩をすくめて「だそうだ」とシブに返事をした。
トイは遊んでいると思っていたが、あの娘は真面目に仕事をしていた。
安全を確認して戻ったイットゥーの先導で川に着くなり、トイはホルダーの目玉の部分を川に入れて暫く待っていると、シンが薙刀で魚を獲り出したので俺達ホルダーに怒鳴られた。
なぜに俺等まで······
「全く、川の上流から下って来た魚達を『視て知る』事で上流の様子を確認していたと言うのに全く。
トイ様はイットゥーが川に行く前から私の『視て知る』力で昆虫から情報を得て安全の確認をしたりと御活躍なさっていると言うのに邪魔ばかりしおって」
そーゆー事はちゃんと『ほうれんそう』してくれ。
「あー、うん、なんだ、シンが獲った魚は昼飯にするとして、魚から何か分かったのか?」
「マスター ヤマモト、魚をからは何も無い事が分かった」
ふーん、てー事は。
「下流に移動だな」
「ですな。イットゥー」
「先行します、主」
俺の言いたい事を理解してイットゥーが川沿いを一人行くが、卯実とシンは首をかしげていた。
「何でっスかね? ニノは分かるっスか?」
「あたしも分かんないよ、何であたしに聞くかなぁ」
「オイラ以外にも分からない奴がいるって確証が欲しかっただけっスよ。シゴはどうっスかって、目を反らした時点で丸分かりっスね」
何事も無く魚が下って来たからだよ。何か有れば魚が警戒してるだろうが。
俺達はイットゥーの後を追い川を下っていった。




