底辺のおっさんは、察しました
下井が『ま゛ーーー』と叫んだ後、トイ達の踊りは終わる。
下井が我に帰って口を開きかけると、トイ達は再び踊り、歌い出す。
今度は、救難信号団とか言う高校生達のアレか······ 俺は見て無いし読んで無いから良く知らんのだが、下井が『アレアレ不愉快』になっているのだけは分かる。
「モッさん······ 泣いていい? ウチ······」
「あー、うん、なんだ、いつもの事だ、いつもの。
だから気にするなよ下井」
俺はこんなのが日常ですよ下井さんや。
「なあ、みんな。楽しいのは分かるけど、ミーティングに参加してくれないかい? 他の人を困らせて遊ぶのは感心しないな」
真面目で優しい竹井君らしく、立ち上がってトイ達を諭すと下井が竹井君に抱き着いた。
「だげぢゃーん」
腰にしがみ付いて泣く下井の頭を竹井君は苦笑を浮かべて、優しく撫でて落ち着かせ様としている。
「あ゛ん゛だ、い゛い゛ごだよぅー」
「下井さんもほら、落ち着いて。トイちゃんやみんなも分かってくれていますよ」
「あー、うん、トイちゃんが誘ってくれたのが嬉しくて、つい踊ってしまいましたぁー!」
卯実が照れ隠しする様に大声で謝罪の言葉と共に頭を下げるとシンとシロリ頭を下げて下井に謝罪する。
「あー、うん、なんだ、悪かったっス。オイラも楽しそうだったんで、ついっス」
「下井さん、シリン、ごめんなさい」
「先程のは何かの儀式ではなかったのか!? てっきり私は狩りに出る男衆の無事を祈願する類いかと······ 済まなかった」
シャルローネ王女も頭を下げるが······ 俺達は何処の蛮族だよ。
「カドゥ、何時まで照してるっスか? カドゥも謝るっスよ」
「我はトイ様を照らす光、我はトイ様を照らす光、我はトイ様を照らす光、我はトイ様を照らす光、我はトイ様を照らす光、我は~~~」
姿が見えなかったカドゥは魔法を使ってトイを照らしていた様だが、エンドレスで呟く内容が気持ち悪いしシンの話を聞いていない。
「ほら、トイちゃんも下井さんに謝ろーよ」
卯実がトイを促すが、トイは俺の側に来て座る。
「どうした? 下井に謝れば後は遊んでて良いぞ?」
トイに尋ねると、トイは俺から顔を背けた。
「マスター、マスターは本日はどうなさりますか?」
へ? 俺? 俺の予定なんざ特に無いけど? 何だ?
「マスター、マスターの予定を教えて下さい」
んー、もしかしたら俺に遊んで欲しいとか? って無いな。トイはどうしたいんだ? いきなり踊ったり、歌ったりして? 身体を動かしたく成ったのか? ん、そう言えばトイってまるで外に出ていないよーな気がする······
「あー、うん、なんだ、その、あー、下井。外回りのメンバーを変更して良いか?」
多分、こう言う事だろうな。
本日の外回りメンバーが洞窟の外に集まる。
山羊夫婦に「「承知致しました主。お気をつけ下さい」」と見送られて俺達は川に向かった。
今回の外回りのメンバーはまず、筋トレ中だったブロゥ、斥候のイットゥー、戦闘指揮官のシブ、盾役のシゴ、アタッカーに竹井君と交代した卯実、サブ盾兼アタッカーのシン、荷物持ちの俺、ヒーラーにカドゥ、そして最後に、ヨウから帽子とホルダーを拝借したトイがイットゥーのサポートだ。
「マスター、私は『魔女見習い』の『召喚姫』トイです、コンゴトモ宜しく」
まぁこう言う事だ。




