『召還姫』の受難
今回は『召還姫』さんの視点です
毎度、短いですが
『古代ゴブリン』とは。
この世界においては、ゴブリンの大元である元種である妖精。
理知的で公正、礼節を重んじる妖精種の調停役。
この世界の管理権を賭けた神々の戦いにて邪なる神々により呪いをかけられ、その子孫は神々の尖兵とされた。
よくもまぁ、マスターのヤマモトはあんな訳の分からない手段で呪いの解除が出来たモノね。
『古代ゴブリン』は低魔圧で意識がハッキリして無いし、マスターは空腹と渇きで死にかけで行動不能。
私も魔力不足の低魔圧で稼働率が10パーセントを切ってて体が重いし。
いっそのこと『この世界』から消滅した方が楽かもしれないわね。
でも、あのバカでハゲたマスターは私の人格と存在を認めている。
私達『召還姫』は古臭い娯楽人形でしかないのに全く、この、めんどくさい甲斐性なし、見捨てずらいのよ。
地べたに座って脱力してるマスターを私は眺めた。
安心しなさいよマスター。
『古代ゴブリン』は既に使役済み、直ぐにこんな所からオサラバしましょう。
『古代ゴブリン』は流石ね、マスターの様子がおかしい事に直ぐに気が付いて『滋養強草』をすりつぶして飲ませたわ。
あ、むせた。
無理も無いわ、不味いものあの草。
「何、飲ませた? 伊藤······」
掠れて聞き取り難いけど、イットゥーってマスターが言ったわ。
『古代ゴブリン』の名前かしら? 私の名前は何かしら?
イットゥーはマスターからカッターを借りて『断ち切り兎』を解体し始めたけど、かなりグロテスクなのね解体って。
でも、マスター? 袋か収納カプセルを貸さないと持ち運べないわよ?
ホント、歯痒いわね。
魔力不足で機能制限が掛かり過ぎよ、注意すら出来ないじゃない。
おっとシブ、ナイス! イットゥーの魔剣で木を切って来た! けど、加工できるの?
あ、板にするだけなのね、マスターなら何か作れるのかしら?
『断ち切り兎』を肉と皮にしたわよ、イットゥーが、だけどね。
結局、ほとんど意識の無いマスターに、いきなり肉はマズイってことで、シブが見つけた川まで移動することにしたわ、イットゥーが、だけどね。
シブがマスターを背負って、イットゥーが周囲の警戒するのね、え、私が肉と皮を乗せた板を持つの? マスター! 袋、袋貸して!
なんとか機能制限を突破してマスターからビニール袋を借りれたけど。
機能制限んーー!! 板重っ! 身体も重ーい、制限解除に魔力チャージ量1000以上って、マスターにできる訳無いじゃない!
って、イットゥー!! 鳥を狩るな!! 荷物が増えるでしょ!!
低魔圧は低血圧の魔力版の様なものです。
実は魔力不足で機能制限が掛かっていて表現力が欠落していただけの『召還姫』さんがこの先の話で制限解除されるのか? まだ決めていません




