底辺のおっさん、魔力チャージして見た
白ゴブリンは水と食料を発見した。
兎の死体を棒に引っかけ、小指の爪程の赤い石3つと小さな餃子の型をした黄色い実を持ち帰って来た。
うん、そうさ、俺が悪いんだよ。
袋や鞄等を持たせなかったし、探してとしか言わなかった俺が悪いだよ畜生。
白ゴブリンが持ち帰れるだけ持って来てくれたのが有難いよ。
白ゴブリンにお礼を伝え様としたら餓えと渇きでキチンと話せずに「白ゴブリン、ありがとう」が『し』と『ブ』しか伝わらず『シブ』って名前を与えられたと白ゴブリンに思われ感涙されたのも俺が悪いのさっ。
んで、戦利品の確認
白ゴブリン改め、シブの戦利品を『召還姫』が説明してくれる。
兎の死体
一撃で首を叩き折ったとの事で綺麗な死体だけど、この兎の歯ってギロチンとか斧や鉈みたいに切断特化してるよ。
「『断ち切り兎』ランク2です。
肉は食用可能です。
『断ち切り兎』は切断力の高い前歯による噛みきりで攻撃して来る雑食性の兎で、主に『ノーマルゴブリン』を主食としております」
ゴブリン、食うんだこの兎······
赤い石3つ
ゴブリンの死体から取り出したらしい。
「微小魔力石です。
魔力を内包しています。
マスター、魔力チャージして下さい」
「魔力が無いから出来ません」
「魔力石の魔力をマスターの肉体に通す事で魔力チャージ出来ます」
ソシャゲかよ
餃子型の黄色い実
完熟した実はなかったので木からもぎ取って来たらしい。
「ミミの実、未熟です。
果肉部位が食用可能ですが臭いです。
皮は硬く食用出来ませんが、油分が多く火種等に使用可能です。
『ノーマルゴブリン』が悶絶死する程の悪臭を放ちますが食されますか?」
いいえ!! ノー!! ドリアンかよ!!
ドリアンの生存戦略、それは未熟時には公共施設やホテルから叩き出されて車両等で匂いを解放すると殺人未遂になる可能性がある世界有数の悪臭と硬い刺で実を守り、完熟時は繁殖の為に悪臭が収まり、甘く柔らかな果肉に包まれた種を動物に運ばせる事。
実の悪臭以外は大多数の樹木と同様。
日本で入手出来る物は完熟品か冷凍品、近年に品種改良された匂いを抑えた種になる。
冷凍品は未熟品が混ざる事も有り、解凍時に悪臭を放つ硬くて不味い果肉が有るらしい。
俺は生前、知りもせずに人を貶めるバカに「ドリアンより臭ぇ」や「腐った卵の臭いがするー」等と言われたのを思い出してしまったよ。
卵の殻は臭わないし、割れた卵を腐敗臭がするまで放置した事の有るのかよ? 腐った卵の匂いって硫黄臭だぞ?「彼女と温泉旅行でー」とか言ってるのに臭ぇの? 氏家のクソ野郎、死んでねぇかな。
誰も兎を捌け無い。
シブ曰く「ゴブリンの食事はだいたい生食で、稀に丸焼きにする程度で捌くと言う事を行った事は御座いません」
『召還姫』曰く「サポート範囲外です」
ワーキングプアですが都市生活者ですよ俺。
生物を捌いた経験等は鱗の無い魚類の腹が限度だよ。
なので、メシと水は後にして魔力石からの魔力チャージを試して泣いた。
大量の滑子茸を背中に流し込まれるか大量の穴子や鰻が全身を這い回る様な感じがした。
俺は左手に魔力石を持ち、右手を『召還姫』と繋ぎ目を閉じた。
右からゾワッとした何かが左に通り抜け、左から右により強く成ったゾワッとする何かが通り抜けた。
それを3回行っても1つ1しかチャージされず『滋養強草』と『走り草』を食った方がチャージ率が良いようで『召還姫』の魔力チャージ量は現在30。
「『ホワイトゴブリン』では兎を捌く事が出来ない以上、その珍種の顕現に賭けるのも悪くありませんな。
何、顕現出来なければ、我が主を背負って行けば良いだけの事」
と加工フィギュア達を見たシブが提案する。
実際、限界間際の俺ではシブが発見した川まで歩けるかどうかも怪しく人手は多いに越した事は無い。
シブに『ゴブフ』仮名を配置して貰い、地べたに座ったまま顕現を唱える。
『ゴブフ』仮名は閃光を放ち顕現する。
「目がーー」
シブは顕現の閃光を直視してのたうつ。
不意打ち兼護衛要員なのに······
「古代ゴブリン、ランク6ユニークです。
以降、同様の加工を施した個体は『古代ゴブリン』と成ります」
『召還姫』の説明をぼんやりと聞きながら『古代ゴブリン』が動き出すのを待つ。
敵対されれば死ぬだけだ。
自分、ドリアンを食べた事は御座いません
氏家は閑話で『ノーマルゴブリン』に食われてます。




