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悪役ヤンデレ王子の婚約者……あれ?私、死ぬのでは?  作者: 木村 巴


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精霊

大変おまたせして申し訳ありません(´;ω;`)

待ってくださる神の様な皆さま、こちらはまた不定期ですが更新します!よろしくお願いします!




 あれから日々は着実に過ぎて、食事も家族と一緒にダイニングで食べられる様になった。日常生活はほとんど普通におくれる様になっている。


 主治医の先生からも、かなり健康的になったとお墨付きを貰い、ローズと中庭で遊んだり婚約者としてヴィル様とお茶を頻回にしたり出来る様になった。

 ただ……活動範囲がかなり限られているのだ。


 自室とローズの部屋、中庭や温室、屋敷内にある図書室くらいしか行く所がない。



 もともとアウトドア派ではないので、お出かけが出来ない事は苦ではないけれど、いかんせん体力が無いし、つかない。

 この儚げな見た目は、見た目だけではないのだ! 有り難くない事に、なかなかに……か弱い。冷たい風にあたり過ぎると、夕方からちょっとだけ熱を出したりする。


 朝から庭を散歩してみたりするけれど……運動する事がもうない。


 刺繍や音楽といった貴族令嬢らしい事は室内で座って出来るし、普通の勉強や魔法の勉強も少しずつ始まっているけれど……動かないんだなぁ。

 これじゃあ、体力つきそうにない。


 どうやら、この行動範囲の狭さは祝福の娘を保護する目的もありそうだと気付いてからは、出かけたいとも言い出しにくい。祝福の娘専門の勉強もあるらしいけれど、まだ時期じゃないんだって。なんだろう、それ。

 でも、どうにかして運動を取り入れたい。


 せめてもの足掻きと階段を登り降りしたり、ローズとかくれんぼなんかをして運動を取り入れている。


 今朝もヴィル様とのお茶会の時間まで、毎朝の習慣となった中庭の散歩を始めた。前世の記憶から考えると中庭というレベルではない、広いお庭だ。公園と言っても差し支えない広さだった。そんなお庭をのんびり散歩する。


 春を迎えた庭園は色とりどりの花が咲き誇り、暖かな風に優しい花の香りを運んでくれる。


 そんな素敵な庭園の今、一番の楽しみは……庭園の中央にあたる場所に作られた薔薇園だ。最近になって春薔薇の蕾が膨らんで色をつけ始めていた。春の終わりには満開になるだろうか、最初の一輪が咲くのはもうすぐだろうかと楽しみにしていた。


 どこから沈丁花の香りがする、緑のアーチを潜り抜けて進んだ先の開けた所に薔薇園がある。いつもの様に、見えない沈丁花を少しだけ探しながら歩いて行くと、目の前が急に真っ白になった。


「えっ??」


 突然の事に慌てて辺りを見回すと、光の集合体と何かが揉めている。

 いや……ファンタジーだなっ!


 うん。そうか……魔法があるんだから、こんな事もあるのか。そうよね。でも、どうしたんだろう。急に……。うん。なにこれ。なにが起こってるの?


「ダメー」

「まだ十歳じゃないから、メッなの」

「怒られるよぉ」

「あーだめだったら〜」


 と、小さな光も喋ってる。


「愛し子! 助けて」


 小さな光の集合体を押し退けて、私の目の前にいるのは黄色いお花の妖精みたいに見える。前世の絵本とかに出てくる永遠の少年の横にいる、あの妖精の黄色版みたいだ。

 つまり……とても可愛い!


「えっと……」

「私のお友達を助けて!」

 物凄い勢いで私の顔の前に飛んでくる妖精的な何か。近い。怖っ!


「危ない〜」

「ダメー」

「ウチの姫を守れ〜」


 光と妖精っぽいのが、わちゃわちゃし始めたけど、顔の前はヤメて。



 そこにスパンッと強めの風が吹付けて、光と妖精を吹き飛ばす。

 え? 吹き飛んだの?


 そして次の瞬間、ふわっと風と共に現れたのはヴィル様だ。え? ヴィル様??


「ヴィー大丈夫?」

「うん。ヴィル様ありがとう」

「良かった。……うん。怪我もないね」


 上から下まで私の無事を確認したヴィル様は安心したように笑う。


「ひゃ〜すごい風きた」

「怖いのキタ」

「目がまわるよー」


 光達はクルクル回りながら騒いでいる。


「ヴィー何かいるから気をつけて」

「何か? あの妖精と光の事?」

「……妖精? ああ、精霊なのか。そうか、これが精霊なのか……」


 ヴィル様は驚いた様に目をパチパチさせてから、顎に手を当てて考え始めてしまった。


「……精霊? あなた達は精霊なの?」

「そうよ! お願い愛し子、私のお友達を助けて」

「まて! お前は、上級か下位レベルの精霊だろう? ちゃんと姿を現せ」


 ヴィル様の言葉が早いか、その姿がハッキリと現れるのが早いか……さっきまではぼんやりした姿がハッキリと顕在化した。


「これなら文句ないでしょ!? お願い、愛し子! (よそ)の森の愛し子にお願いするのなんて、あんまり良くないのはわかってる! でも、私の森にはもうずっと愛し子が居なくて……ずっとずっと待ってるのに、誰も私の声を聞けなくて、この姿だって、愛し子の近くに居るから見えるんだろうけど、私くらいの精霊だと気がついてすら貰えないレベルなんだもん。うわぁ~ん!!」


 姿がハッキリ見えたと思ったら今度は地面に伏せて泣き出してしまった。私は驚いてヴィル様の方をみると、ヴィル様も困った様な顔でこちらを見ていた。



「とにかく、精霊さんは私に会いに来たの? じゃあ、向こうでヴィル様と一緒にお話を聞くね。ヴィル様……いい?」

「もちろんヴィーと一緒に聞くよ」


 なぜ突然ヴィル様が現れたのかも気になるのけれど、今はこの精霊()を何とかしなくちゃ。






 薔薇園の近くにあるガセボに座ろうとすると、さっきの光達がまた騒ぎだす。


「駄目なの駄目なの」

「ダメー」


 不思議に思って「何が駄目なの?」と聞くとまたたくさんの光が集まりクルクル大騒ぎになる。流石のヴィル様でも、このコ達の存在を感じても、声は聞こえないみたい。自分でなんとかこのコ達の言っている事を理解しようと頑張ってみるが、全然要領を得ない上に、片言しか喋らないので、意味が全くわからずに困ってしまった。



「ごめんなさい。そのコ達の言う通りなの」

 精霊がしょんぼりとしながら話し始める。


「本当は精霊の掟で、愛し子に会ったり話しかけたりは十歳を過ぎるまでしちゃ駄目なの」

「どういう事だ?」



 精霊が言うには、昔はそういった接近禁止のルールは存在していなかったらしい。だから、自分の森の愛し子が生まれると嬉しくて精霊達は小さな頃から会いに行っていたらしい。


 愛し子は精霊と仲良く話したりしているだけのつもりだが、精霊が見えない人達から気味悪がられたり、迫害を受けたりする愛し子が当時は多かったのだという。

 愛し子が望んで精霊の力を借りる事も出来るが、精霊の意志で周囲の人達に力を奮う事もあったため、余計に恐怖と混乱が起こり愛し子が害される事が増えてしまったというのだ。


 純粋に愛し子を好いて集まる精霊やその卵達をコントロールする事は難しい。そもそも人間と精霊は根本が違う。だから、お互いに理解が出来ない部分も多い。そういう、人間の常識を精霊に当てはめようとする事自体が無理なのだ。


 だから、愛し子が精霊をコントロール出来るであろう年齢まで接触禁止の命令が精霊王から出された。


 それも当時の精霊王の愛し子が願って、渋々決まったモノだった。


 本来なら、精霊達は自由に愛し子に会いたい。会いたい時に会いたいし、縛られたくないのだ。精霊とは自由なものだから。


 ただこの禁止令以降は、愛し子が不当に迫害されたり、幼い内に殺されたりする事が減ったのも事実だった。なのでここ何百年も、みなこの禁止令をちゃんと守っているとの事だった。



「私は花の精霊で、人間とは比較的仲良しなの。人間が好きだしたまに力を貸してあげる事もあるわ。人間と関わる事が多いから他の精霊よりも人間の気持ちを理解出来る方だと思うけど、そうじゃない精霊もたくさんいるから……ううん。性質上そうじゃない方が多いの。

 むしろ、他の人間のせいで愛し子に会えなくなったって恨んでる精霊もいるくらいよ。でも愛し子の存在は私達にとっては物凄く大切なの」



「それで? そんな禁を犯してまでどうして会いにきたんだ? しかも森を超えてまで」


「そうなの! お願い私のお友達を助けて」









不定期になりますが、プロットはラストまで出来てますので、完結させます。


そして、今進めている新しい物語もお読みくださると嬉しいです!

また、遊びにいらしてください(*´ω`*)

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