第四話 メロン
これより下ネタが出てくる事が増えると思います
お気をつけください
「あのぉ……どこに行くんですか?」
一部感情が壊れてしまった雑草神、もう関わりたくなかったので放置して歩き出したのだが……。
「……どうしてついて来るのですか?」
「だって、この辺り魔者が多いみたいなので……怖いですぅ」
『なら神界に帰ればよかろう? 無理して下界に留まる事はない』
「いえ……友達と来ているので、勝手に帰る訳には……」
なにその理由? 友達と来ている? 下界は神達のレジャー施設かなんかなのか?
本当に身近に神っていたんだな、そんな観光気分で下界に来られちゃたまったものではない。しかもこいつは雑草を生やしに来たってんだから、迷惑なだけだ。
『まったく……子供ではあるまいに、別々に帰ってもよかろう?』
「ダ、ダメですぅ! 一緒に帰るって約束しましたから……勝手に帰ったらもう一緒に帰ってくれなくなるかもしれない……学生さんなら分かりますよねっ!?」
学生? 何を言っているんだこの雑草は。その言葉に聞き覚えはないがヴァルには心当たりがあるっぽい、神界の言葉か何かか。
〈オル、どうするのだ? このままでよいのか?〉
(……知らないよ。神同士で適当にやってくれ)
〈では破壊してしまうか? 下位神であれば一瞬だ、手間にもならん〉
(…………それはいいよ、この神を破壊する気分にはならない……)
後ろを振り向けば、周りをキョロキョロと窺い、たまに生えている雑草を大きく成長させている迷惑な神の姿がある。
雑草を伸ばすな、鬱陶しい。まぁ、嫌な神ではないよ。……迷惑な神だけどね。
「そう言えば、その体は人間のですよね? 貴女も二重人格なのですか?」
「に、二重人格……? よく分かりませんが、この体は数千年前に亡くなった女性の体ですぅ、転生先に使われる前に押さえました」
転生に使われる前に押さえた? なんだその事務処理、一気に人間臭くなったな、神様よ。
「他の神々も大体そうだと思いますが、神界から本体を降臨させるには大きな神力が必要ですし」
「本体を降臨……と言う事は、貴女の本体はブスの可能性があると言う事ですか?」
〈随分とストレートに聞くのぉ……〉
嫌な情報だ、この美人の本体がブスだなんて。彼女はこんなに美しいのに……あれ? 少し怒っているか?
「ブスじゃないですぅ! 長い事この体に宿ってますので、もう私の本体と同じ容姿に変化してます!! 本体も可愛いですぅ!」
自分の事を可愛いと言う女は大抵……。
それよりなんだって? 容姿が変化する!? なら僕の体もいずれヴァルの容姿に変化していくって事か!?
〈で、あるな〉
(で、あるな……じゃないよ!? 聞いてないんだけど!?)
〈そんなにこの体に思い入れがあるのか? こんな平凡なのに〉
(平凡で悪かったね!! 思い入れあるに決まっているだろう!? ない人間なんていないよ!)
なんて言うカミングアウトだ。
まぁ、騒いだ所で変わらないか……せめてヴァルの本体がイケメンな事を願おう、はぁ……次だ次!
「雑草様、名前はなんて言うのですか?」
「……それでは雑草そのものになってしまいます…………名はウィードですぅ」
雑草やないか!? さすが雑草の神、名前まで雑草に侵食されるとは。
「それで……雑草さん、どこまでついて来るのですか? 僕達には特に目的地はありませんよ? 貴女の友達とやらは何処で何をしているのですか?」
「えっと……ここから南に行った街で、ショッピングするって言っていました」
ショッピング……下界を楽しんでいるようで。まったく、ニート神といい買い物神といい、仕事しろよ!?
いや、ウィードは一応仕事していたのか……迷惑だけど。
上目遣いで僕を見つめるウィード、怖がっている目だな……僕もよくこういう目をしていたから分かる。
相手の機嫌を窺う目、破壊神の機嫌を悪くしてしまっては破壊されるとでも思っているのか、僕の仕草一つに体を強張らせているのが分かる。
「…………ねぇウィード、そんなに怖がらなくても、僕は君を破壊したりしないよ?」
「……本当ですか?」
「あぁ、本当だ――――」
『――――破壊してほしくなければ服を脱げっ!! その大きく実ったメロンを食べさせ――――』
僕の口から僕の意思ではない声が発せられ、慌てて両手で口を閉じる。
ウィードは若干顔が引きつっているようだが、ギリギリセーフか……?
(おいヴァル!! いきなり何を言い出す!? いつから性欲魔人になった!?)
〈いや、我はオルの代弁をしたつもりだったのだが…………揉みたいのであろう? あのメロン〉
(誰が頼んだよ!? 揉みたくないと言ったら嘘になるが、こんな方法で揉んでも気分よくないだろ!? 揉みたいのはそっちじゃないのか!?)
〈馬鹿が……我はミカンが好きなのだ、手の平サイズがベストだ〉
こいつ……男でも女でもないとか言っておきながら、考えが普通に男じゃないか!?
何が手の平サイズだ!! こんな変態だったとは……更生させねば、女方向に舵を取っていく事にしよう。
「…………あ、あの、脱ぎました…………こ、これで宜しいですか……?」
ウィードの声に視線を向けた。
そこには、一糸纏わぬ…………ではなく、下着姿のウィードの姿があった。恥ずかしそうに胸を腕で隠そうとしているため、余計に大きさが強調されている。
エロい……血流が止まっていなければ鼻血ブーは間違いなかった。
「……そ、それで……メロンとはなんでしょうか? ……果実ですよね?」
顔を真っ赤にして今にも泣きだしそうだ、可哀そうすぎる……早く服を着させないと。
『我の認識では果実ではなく果実的野菜だ。……さっそとその熟れ切ったメロンをしまえ、もう少し小さくして出直してこい』
小さくなんて出来るかよ!?
その言葉にハテナマークを浮かべながらも服を着だすウィード。もう少し見ていたかったが、僕だけがドギマギしていた。
まったく動じていないヴァル、こんな美しい女性そうそういないよ? さすが神様というレベルの女性が下着姿でいるってのに。
ミカン好きにはメロンを有する肉体は魅力的に映らないのだろうか?
≪コラァァァァァァァァァ!!! アンタ、何やってんのよ!!??≫
突如聞こえた怒声。
声がした方向を見てみると、物凄い勢いで走って来る女の姿が見えた。
「あ、タンちゃん……あの、さっき言っていた友達です……」
鬼気迫る表情でこちらに向かって来る雑草のお友達を眺めながら、僕達はまた面倒になりそうだと顔を歪ませる事になった。
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