表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見の悪い幻想録  作者: ごまみりん
3/85

帰国・中編

なかなかはじまらない。

「いいえ、あなたが最も得意な仕事よ。佐山亮(さやま りょう)さん…。」


目の前の妖怪は僕の名前を言った。佐山亮と。


「僕は佐山なんて名前じゃないですよ。人違いでしょう…?」


代金を払い帰ろうとする。


「惚けたって、無駄よ。」


そう言って、妖怪はカウンターに何処からともなく出した書類を置いた。


「佐山亮。元アメリカ海兵隊員、数年前除隊し以後様々なPMCを転々とする。」


「…………。」


「けど、これはダミーの経歴…。本物の経歴は、」


そう言って妖怪はまた別の書類を置いた。


「海兵隊に入隊してから二年後、アメリカ特殊作戦軍に異動。異動先はコマンドN。存在しない部隊。どんな事でもやる裏の世界じゃ悪名高き部隊ね。モサドも真っ青、今までに何人殺ったのかしらねぇ。あなたが担当していたのは、魔法使い。合衆国に仇なす魔法使いを殺すこと。そう言うあなたも魔法使い。でも順調に共食いをしてたあなたは一年前、軍をやめてPMCに行く。PMCにいっても特殊案件執行部門なんて所に配属。根っからの濡れ仕事屋ね。」


「それがあなた。なにか間違っている?」


「二つだ…。」


「え…?」


「あなたは二つ間違えてる。妖怪。一つは僕は魔法使いじゃない。魔術師だ。呼び方の問題だけど、僕は魔術師の方が気に入っているんだよ。

二つ目は合衆国に仇なすから殺していた訳じゃない。殺したいから殺してたんだよ。」


「あなた、私が妖怪だって気づいてたの…?」


「あぁ…。」


「いつから…?」


「最初から。空港に着いた時から視られている感覚がした。大方あなただろう。襲撃してくる気がないなら接触してくるかと思った。案の定、あなたは接触してきた。」

目の前の妖怪は驚いているようだったが、僕は構わずに、バーボンを流し込んだ。


「いくらだ?」


「え…?」


妖怪は惚けた声を出した。


「報酬は?どこで誰を殺る?」


妖怪は我に帰り話しはじめた。

「報酬はこれくらいでどう?」


出された小切手を見る。十分な金額だ。


「目標は?」


「明確な目標は無いわ。あなたの仕事は私の式の護衛。そして私達の障害になるものを退ける。後、私の式の身の回りのお世話。」


「期間は?」


「私が飽きるまで♪」


「…………。」


「わー!!帰らないで!!」


ダメだ、この妖怪。はやく何とかしないと…。


「はぁ…。で、場所は?」


そう言うと妖怪はまた不適に微笑み


「幻想郷よ…。」


その地の名を言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ