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八拳演義 – A Saga of the Sky-Color Warrior Girl ~記憶喪失の武術少女・空(クー)は、自分探しの旅を始めました。~  作者: 旅わんこ
プロローグ 湖水地方にて ~ 第十三章  湖水地方で家(その他)、建てます
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第十三章 湖水地方で家(その他)、建てます ~インフラ整備は大事ッス!~

 その後の日程は次の通り。

 貴族なった以上、各方面への挨拶は必須。現在は暫定とは言え領主陣代表のアレットが空から蒸気駆動車を借りて方々への挨拶へ赴きつつ開拓に協力してくれそうな建設事業者に開拓協力依頼に関する交渉をする。

 その間、空たち三人はアルケモートから応援にやってきたアルケモート村長(ロッソからノノと呼ばれていたが、本名を『グリエルモ・ロッセリーニ』と言う)、ピエリーナの両親、ピエリーナの師匠で猟師のジェフリー、土木工事屋の『チーム・ハギワラ』、花屋の『アースゲート』の協力の下、領主邸周辺のインフラを整えた。

 畑を耕し種を植え、井戸を掘ってつるべを落とし、風車を建てて石臼などの機械の動力源とし、予算があれば井戸にレッドフォート州五区砦のそれに似たソレノイドを内蔵して手軽に水を汲めるようにしたいと議論する。もし畑で錬金術に使う素材を育ててくれたらここと取引したいとジャコモとジェフリーに言われて、その種も撒くことにした。

 そこに、領主邸完成祝いに来たアシュレイがやってきて空に言う。

「聞いて、クーちゃん! あたし、分隊長と辺境伯の連名でここの大使を命じられたの。もっとも、領主全員が了承したらだけど」

「わたしは構いませんが、またどうしてですか?」

「この湖水地方はどの州にも属していない、元・国有地でしょ。だから辺境伯としては今のうちに唾をつけておきたい、欲を言えばアルミス州に組み込みたいのかもしれない。それはもちろんあたしの邪推だけど、辺境伯の位を持つ人とつながりを持っておいて新領主に損はないはずよ。軍としては、戦力が必要になった時にすぐに応援を出せる体制を整えてあげたいんじゃないかなあ? 見返りはたぶん、これからもクーちゃんが陸軍の一員であり続けることだと思うわ」

「陸軍の見返り、その程度でいいんですか?」

「せっかくできた縁だもの、海軍やほかの公営戦力に取られるよりはましだと思うじゃない。それに、陸軍が困った時にクーちゃんを、そしてクーちゃんを介して探偵ちゃんたちを動かせるじゃない?」

「聞けば聞くほどお安い御用です。ぜひ力になっていただきたく、そして恩返しとして力になりたいと思います」

「そうと決まれば大使館の設置ね! あ、錬金術師ちゃんのご両親の別荘と同じくらいの広さでいいわ。建設費はもちろん、軍持ちよ!」


 挨拶回りからアレットが帰ってきて、空はアシュレイの大使としての駐留と大使館の設立についてアレットの承諾を得、大使館の建造を発注することに。

「さてこの地の開拓に関する人員の募集ッスが……、あんまり遠いところだと出張費用とかスケジュールとかそういうののせいで断られたんで、開拓のアイデアと土木事業所の紹介だけもらってきたッス。で、やっぱりと言うべきか頼るべきはアルケモートかと」

 これには、アルケモート出身のピエリーナが強くうなずいた。

「旅してきたから分かるのです。地元を離れれば食事と旅先での暮らしに必要な道具や洗濯用品やトイレ設備がどうしても必要になるのです。それにかかる人件費や各種経費を考えたら、新米領主にそれだけのお金を出せるとは思えないのです。それよりは、アルケモート出身者として地元を頼ってくれたらとてもうれしいのです」

「うむ。アルケモートとの絆を強固なものにしておけば、そこを介して様々な取引もできるでござろう。軍備に関しても、陸軍のアルケモート分隊の力をお借りできるでござろうからな」

「結果こうしてピエリーナの地元と縁ができるのですね。この縁を大切にしつつ、より強固なものにしていかなければいけません」

 ところで開拓のアイデアなのだが。

「ちょっと意見したいことがあるんッスが、いいッスか?」

「はい。どんなことでしょう?」

「んッス。領主陣そろって遠征に行かなければならなくなった時、このリゾートを運営する者がいなくなることが問題ッス。そこで、リゾート経営者を自分らとは別に雇い入れると言うのはどうッスかね? 例えば、本当に例えばなんッスが、ジャコモさんやジェフリーさんとかにこのリゾートの運営をお任せして、自分らは安心して貴族として方々に顔を出したり王国議会や陸軍や自分らより上の階級の貴族の頼みごとを聞いたりする遠征に出ることができる、って寸法ッス」

「確かにそれは合理的ですが、冒険者ではダメなので、あっ」

「そうッス、空。冒険者の中にはズルい輩もいるもんで、経営者は自分らが信頼を置く人物にこそお任せしたいッス。そこで、さっき例に出したジェフリーさんだったりジャコモさんだったりなんッスよ。とりあえずあくまで例えばなんで、現段階でふたりを推すわけではないことをご承知おき頂きたいッス」

「分かったのです。例に出してもらえただけで、とてもうれしいのです」

 それだけ、ジャコモとジェフリーを信頼しているということである。

 そこに、領主邸のドアノックが叩かれる音がした。

 代表してひまりがドアを開けると、そこにはひとりの男が立っていた。

「どちら様でござろうか。……お?」

「どうも。こちらにお届け物で……、って」

「暴走ゴーレムのパイロット殿にござらんか!?」

「俺の女神じゃないか!」

 その人物こそ、今は倒産した株式会社パワードの元社員、ボルタであった。

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