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八拳演義 – A Saga of the Sky-Color Warrior Girl ~記憶喪失の武術少女・空(クー)は、自分探しの旅を始めました。~  作者: 旅わんこ
第十二章 王都攻/抗/交/鋼(こう)戦 ~ エピローグ 帰郷、そして旅立ち
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第十二章 王都攻/抗/交/鋼(こう)戦 ~皆、疲労困憊でござるな。~

 空たちはアルマ以下全員をロープや手錠などで身動きを封じ、重傷者の手当てを施したのち、アルマをトロッコに乗せてイルズ刑務所の入り口まで戻ってきた。そこでは、アイアンマウンテンの冒険者と小柄な女性のギルドマスター、『ピッツ』が待っていた。

「みんな、お帰りなさーい! そいつが例の?」

 ピッツがアルマを指して尋ね、アルスが代表して答える。

「はい。彼が今回の王都襲撃とホムンクルス製造に関与していた、カリオストロ協会の幹部のひとり、アルマです。彼を尋問にかければ、少なからずカリオストロ協会について解明できることもあるでしょう」

「分かったわ。冒険者のみんな、緊急クエストよ! この奥にいるホムンクルス製造関係者を連行してきてちょうだい。非戦闘メンバーは護送車を可能な限り調達、護衛をつけて王都へ連行。ギャラならひとり金貨一枚は約束するわ。不満なくばクエスト開始!」

 冒険者たちは「やったるぜー!」と意気込んでイルズ刑務所に乗り込んでゆく。そして空たちが最初に制圧した所長ギーノら詰め所メンバーは、既に別の冒険者によって連行されていた。

 冒険者たちを見送る空。だがその時、空は突然ひざを折ってその場に崩れ落ちた。

「空さん!?」

「あれ……? 力が、抜けてゆきます……?」

 だがそれは空だけではないようで、アレットたちやアルスたちまでがその場に崩れてしまった。

「まずいッス。眠気まで……」

「あははは。それはそうだ。何せ戦意全開不眠不休(仮眠あり)で王都からここまで駆けつけてきたのだからな。カリオストロの一団を壊滅できて、僕たちも緊張の糸が溶けてしまったのだろう」

「それはそうもなるわよ! ああもう。みんな、私の名前を出して近くの旅館に泊まらせてもらってちょうだい。費用はこちらで持つわ!」

「ありがとうございます。ではアレット、皆さん」

 二日に渡る休み無しの移動と多数を相手にした戦闘で誰もが限界。一同は「そうさせてもらいます」と答え、互いにねぎらい合って旅館へと向かうことにした。


 その後。

 一同は疲労困憊のあまり一日中眠り続け、起きたのは翌朝であった。

 起きてすぐに朝風呂を堪能し、アイアンマウンテンの産業排煙臭い肉を胃に下し、関係者への挨拶と謝礼もそこそこに王都にとんぼ返り。王都の南門は大変なことになっていたが、門番の報告によると死者行方不明者はゼロとのこと。安心して王城に向かえば、国王ライノックが空たちとアルスたち、八人を会議室へと招いた。

「そうか。そのようなことが……」

 顛末を聞いたライノックに、アルスが一通の封筒を差し出して言う。

「はい。時に陛下、これは冒険者ギルド・アイアンマウンテンカウンター長ピッツ女史からの第一次聴取報告書にございます。お納めください」

 報告書によれば次の通り。

 今回カリオストロ協会から差し向けられた幹部アルマは、『副協会長』なる者の命令により、株式会社スラヴァーゴーレムに接触、同社に軍用ホムンクルス製造を指示した。しかもスラヴァーゴーレムに従事しているイルズ刑務所の服役囚や刑務官まで巻き込み、ホムンクルスを製造していたのである。

 そしてホムンクルスは人の形をした人造生命体。人の血肉を培養し成人にまで肉体を成長させてもその知能は赤子から幼児同然。そのため純粋な破壊衝動だけを上手に誘導するべく、人間が暮らす街、砦、王城などに見立てた模型を破壊すればするほど褒めてご馳走を食べさせるという教育方針を取った。ホムンクルスのその教育には、国任保育士が充てられた。

 その教育方針が功を奏し、王都南門より侵攻してきたゴーレムとホムンクルスの集団は統率の取れていないようでひとつの目的(南門を破壊しての王城への進攻)に準じた不思議な進攻を開始、果てに騎士団の装甲ゴーレムと空たちに抑え込まれる形となった。

 そんなゴーレム・ホムンクルス部隊を率いていたのが、アルスが帰途で捕獲したオルドである。オルドはゴーレム・ホムンクルス隊の働きを刑務所長ギーノ及びカリオストロ協会幹部アルマに報告する役目も担っていた。アレットの(ほぼ)推理通り、ゴーレムの性能もそうだがホムンクルスの完成度を検証するためだけに負け戦を承知で王都を狙ったようだ。

「だがそれだけではあるまい」

 ライノックの言葉に、アレットはうなずいた。

「はい。地方ならまだしも、アイアンマウンテンから遠い王都をわざわざ狙ったと言うことは、騎士団の兵力を探る、あるいは他州からの戦力動員の隙をついてカリオストロ協会の関係者が動く隙を作るなどの目的があるッス。招集した戦力が帰還したのちは、漠然ではありますが『何か変わったこと』が無いかを徹底調査することをお勧めするッス。ところで騎士団の戦力の露呈については大丈夫なんッスか?」

「心配無用。ゴーレム三機がすべてではない。もっとも兵力は重要機密。この中で最も信頼のおけるドイルやライトアームズにも話すことはできんな」

「はっ。心得ているッス」

「うん。さて、此度のことは誠に大儀であった。明日、褒章授与式を執り行う。今日はゆるりと休まれるがよかろう」

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