第96話 最強と最悪
「魔人が脅威度10になると、名称が変わる。その名称というのは・・・『魔王』だ。」
「ま、、、魔王。。。ですか。。」
魔王。私が日本で見てきたアニメや漫画で日常茶飯事出てきた最終ボス的存在。強さはそれぞれではあるが、決まって魔王は強い傾向にある。"王"とつくだけあって強さは計り知れないのだ。
「魔王って。。。それが今回の対魔族戦争に出てくると?」
「いや、戦場に出てくる事はないと考えている。だが、裏で指示することは十分に可能と言える。魔王は『全てを操る者』として名前を発することも恐れられていたぐらいだからな。」
『全てを操る者』。なんとも格好いい響きではあるが、現状そんな恐ろしいものは望んでいない。『全てを操る者』の意味は分かり兼ねるが、言いたいことは分かる。つまりは、全てを操ることが出来るんだ。
自分でも何を言っているか少し分からないが、どんなに遠くに居ても、魔力を持するもの全てを操り命令を降すことが出来る。最強最悪の大敵であるという訳だ。
「もしかしてですけど、魔人と魔竜の関係性って、少し違和感だったんですけど、魔王の存在があったから魔竜は魔人との主従関係になっているんじゃ?」
「真実は分からん。だが、我もそう思っている。魔人の1人や2人なら、魔竜は簡単に殺せるだろう。だが、魔竜はそれをやらずに従順に魔人に従う。となると、自分よりも強い何かに恐れていると考えられる。まぁ、1つの説に過ぎないがな。」
魔竜と魔人の関係性は、言わば王室と王室に深い縁のある名家と言ったところだろう。王室に関わりがある者に対して、自分が強くてもその者に手出しはしにくい。間接的に王室との関係性も崩してしまうからだ。
そして、その王室とやらの立場が、魔王という訳だろう。魔竜も魔王には敵わない。魔王は怒らせたくないはずだ。となれば、魔人を攻撃することはできないだろう。こうして、魔人と魔竜の主従関係が出来上がる訳だ。
「ほぼ間違いないと私は思います。つまり、魔王は魔竜よりも強い。逆らえないという事ですし。」
シュタイズは変わらず険しい顔をしている。どうしたらいいのかがまるで分かっていないようで、魔王の出現となればもはや勝ち目がないとまで考えているのではないだろうか。
「魔人と魔王の違いってなにかあるんですか?」
「そうだな。魔人と魔王の大きな違いはやはり"統率力"だろうな。魔人はある一定のものにしか命令を下せない。だが、魔王はそこがしれない。」
統率力は人間にも必要不可欠な力だ。大人数に命令を降す事のできる力。つまりは、その戦場を左右するという訳だ。たった一言で勝利するかもしれないし、たった一言で敗戦するかもしれない。だが、統率力に優れた者は、大抵戦場を99%理解している。
「あとは、そうだな。魔力量や属性だろう。んーまぁソータと同じといえば分かりやすい。」
「私と同じと言うと???」
「そのままの通りだ。魔力量は無限。魔法属性は全属性扱える。どちらかが倒れるまで、戦闘は終わらない。」
私は内心を打ち砕かれた。こんなチート性能な私だが、それは私だけの特別であり、転生者だからこその賜物だと思っていた。だが、それがまさかの最強の敵である魔王にも反映されているというのだ。こんなの不条理である。
「意味のわからない話ですね。私でも勝つのが難しいということじゃないですか。ただでさえ戦闘経験が皆無な私に、魔王程の最強種族をどうやって倒せと言うんですか。」
「私に言われてもどうしようもない。だから最初からソータには申し訳ないと言っているのだ。本当に申し訳ない。だが、この世界の為だ。正直私には無理だ。足手まといにしかならないだろう。だから頼む。勝ってくれ。」
シュタイズの眼差しは力強く凄まじいものであった。意味のわからない脳天気なおじさんかと思っていたが、やる時はやるというやはり暴君とキャラ被りの暴君二世である。
そんなシュタイズの眼差しを見てしまえば、それに応えなければシュタイズの面子が立たんという訳で、私は自分を奮い立たせる。
あの後シュタイズとは今後の動向についてや、対魔族戦争についての話を少しした。バゼル国王も戦闘に参加すると言い出した時は、私は強く止めたが、流石暴君である。そんな忠告には耳を傾けず、ただ国民の安全の為だけに動く。そんなバゼル国王だからこその支持率なのだろう。
「ただいま。マナさん」
「はい、お帰りなさい。ちょっと待たせすぎですけど。」
私は時間が少ない為、イズラート国に素早く戻り、国防について改めて建て直そうしていた。イズラート国の発展は著しく、恐らくマナさんのおかげだろうと思う。
「対魔族戦争に向けて国防を強化したい。カイズとファルクを呼んできてくれ。」
「分かりました。」
私はイズラート国が好きだ。当初はバゼル国王に突然押し付けられるような形で領主となったが、今となれば愛着も湧くもので、どんなに激しい戦闘になっても生き残れるような国防を作り上げようと奮闘する。
その国防を担う"イズラート国国防魔導師部隊総合指揮官"であるカイズと"イズラート国国防戦士部隊総合指揮官"であるファルクが必要不可欠であるのだ。




