第79話 無知戦闘
シュタイズと私は、魔族の襲来に反応しいち早く対処すべく、周りの木々が風で激しく揺らぐ程に走っていた。魔族の反応しかいない今の状態は、情報収集等の下準備や調査に来ている可能性が高いとシュタイズは言う。中々に緊急事態なのだ。
「シュタイズさん。魔族はさほど強くないとそう仰いましたが、私は魔族と戦うのは初めてですよ?大丈夫ですか?」
「なに。魔獣と同じように戦えばいいだけの事だ。特に何か難しいことはない。安心するといいぞ。」
シュタイズはそう呑気なことを言っている。誰しも人間というものは緊張するものであって、増してや初めてともなれば、尚更だ。だが、シュタイズは私なら大丈夫だと言わんばかりの顔を向けてくる。全く、私への期待値が高すぎるのではないだろうか。
「分かりましたよ!!やります!1人で頑張ります! 」
私はシュタイズの圧に負け、結局一人で数頭を対応することとなった。魔族の人数は確認できているのは、8頭程いるとの事。私は少なくともの目標として3頭を自分の手で食い止めなければならないと心に決めた。近づくにつれて緊張と共に鼓動も激しくなってくるが、冷静になり、落ち着こうとそう自分を慰める。
「そろそろ魔族が近い。戦闘準備をしろ、いつ戦闘が始まっても対応できるようにするんだ。」
シュタイズが私にそう発言した。私はそれを聞くと、すぐさま警戒態勢に入る。魔族はとっくに私たちの存在に反応し、既に警戒状態であった。お互いが対面するのに差程時間は必要なかった。
「ソータよ。ここからは独自で行動してくれて構わない。一つアドバイスとすれば、魔族の持っている属性は1つだ。魔獣と違って2つ以上の属性を持つことは無い。弱点もソータならすぐに分かるはずだ。」
シュタイズは私が弱点に関する知識を持っていること何故か知っている。確かに私は日本にいた頃、ゲームやアニメ・漫画の知識で、属性の反対に該当するものを感覚で認識できるが、少々不安は残るものだ。
「アドバイスありがとうございます。シュタイズさんもお怪我だけはないように、無理はしないようお願いします。」
「あぁ、当たり前だ、私は下手な事はしないつもりだ。」
シュタイズには余計なお世話であったかもしれない。だが、心配されなくなってしまえば、人間悲しくなるというものである。どんなに強くても、どんなに経験が豊富であっても、心配されることに嫌な感覚を覚える人は少ないだろう。
「よし。。。魔族!!どういう奴が来るか分かんないけど!!受けて立とうじゃないか!!!」
私は目の前の敵である魔族に対して、"負けない"という強い意志を見せつけるべく、自信に満ち溢れた佇まいで魔族のと戦闘に待機した。色々と考えていた私はある一つの小さな作戦をするべく、目を閉じて静かに待った。
「ん?来る。来た!」
私の攻撃察知スキルが大いに反応した。これが小さな作戦である。私の攻撃察知スキルは有能であり、的確である。少々怖いが、目を閉じることで視界に入らないようにする。つまり、攻撃をいち早く察知できるというものである。魔族の位置・攻撃方法・属性がいち早く認識できる手っ取り早い方法なのだ。
「氷だったな。であれば、こっちは炎だ。普通の魔法じゃ弱いが、私の鍛錬した極致詠唱魔法を見せてやろう。じゃないか。」
私は攻撃察知で察知した方角に顔を向けるが、飛んできた氷の矢のようなもの以外は、そこには何もいなかった。だが、魔力反応は何かいることを示している。
魔族との戦闘に初めてな私が、魔族には透明化できる何かがあるのかと、頭の中では混乱気味であったが、魔力探知と魔力監視によって、何とか位置を特定することは行えている。
「そこに居ることはわかってるんだよなぁ。スキル:標的。。。蒼き炎よ。。。穿て!!!!」
私は魔力を圧縮させられるだけさせて、特に何も気にせずに放つ。今までの魔法とは異なり、魔法自体も一段階上の魔法を、そして極致詠唱魔法で放つことで、相当な高威力魔法を放つことが出来た。だが、これが予想以上の高威力さであった。
「ちょ、ちょちょちょ!!!青い火が!!!森に燃え移って!!!!あぁあああ、、、やばいやばい!!」
私は焦る。私が放った魔法は、着弾地点に着弾するや否や、青色の炎がドーム型に燃え盛り、着弾地点を含む辺り一体を青い炎で燃やしてしまっていた。私の想像する何倍もの威力であった。極致詠唱魔法を行使する時も、少々考えなければならないと勉強する良い経験になったとそう感じた。
「火をどうしよう。水か、水で。。。」
「空間魔法……密閉。空気遮断!」
私が森に燃え移ってしまった炎を消化しようと水魔法を放とうとしていた時であった。突然シュタイズが横から魔法をかけたかとおもえば、火をあっという間に消し去ってしまった。シュタイズは既に戦闘が終わったのかと思えば、まだ絶賛戦闘中である。またシュタイズに助けられてしまった。
だが、流石はSランク冒険者だと感じる。戦闘中にもありながら、周りの状況判断は欠かさず行い、仲間が危機的な状況下であれば、すかさずフォローする。なんとも出来た男である。
「やっぱり後先考えずに魔法を繰り出しちゃダメだ。もっと的確に。。。そして単純に、今敵が見えていないのは一体何が理由だ?」
私は根本的な問題を解決すべく、魔族を識別できるスキルを咄嗟に生み出そうと試みる。魔族の識別を行うことで、もしかすれば別の魔族が自らの属性を使って他の魔族を見えないように細工している可能性があると考えたのだ。我ながらいい考えだと思う。
「スキル作成……魔族識別。。。今回は弱点も加えて。。。」
━━━━━━━━━テレッテレー!!━━━━━━━━━




