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第78話 魔族の進撃

私は王都中央総合役所の所長であるシュタイズと共に、イズラート国にほど近い森の中にある、とある指定危険区域で魔族戦争に備えた鍛錬をしていた。


「ソータ君!!そちらへいくぞ!」


「分かりました!!!任せて下さい!!」


シュタイズは色々教えてくれた。戦闘については勿論の事、極致詠唱魔法についても細かいことまで教えてもらった。言わば修行のようなものだ。こうして今は実践を兼ねて、シュタイズと共に魔獣と戦っている。


「炎よ穿て……。」


私は極致詠唱魔法習得の為、魔力を圧縮した状態での詠唱魔法を行う。魔人戦においても、極致詠唱魔法は有効的だとシュタイズは言う。経験者が言うのであればそうなのだろう。だが難点なのが、まだ羞恥心を無くしきれていない事だ。


「なに!!外したか!?どこいった!魔力探知!!」


極致詠唱魔法という名前ではあるが、どうやら魔法に限らずスキルに対してもスキル名を発言することで、より精度の高い、効果範囲も広いスキルが放てる事が分かった。


「そこか!!!!隠れても無駄だぞ!!!標的(魔法)。。。炎よ。。。穿て!!!」


標的スキルに関しても、スキル名をしっかりと詠唱することで、命中率が格段と上がった。狙ったところに当たるのはもちろん、体内の見えないところまでも完璧に狙える程である。今までとは違う。そんな気がするのだ。


「いい腕だ。流石俺が見込んだ男だな!!!」


シュタイズはそう言いながら突然後ろから背中を叩いてきた。もうちょっと力加減というものを覚えて欲しい。叩かれた場所はまだ少しヒリヒリと痛みを残している。


「こいつ、まだ息残ってますね。。。」


「ほぅ?それも分かるのか。そのスキルとやらはなんとも便利なんだな。」


私はシュタイズにスキルのことについて打ち明けた。スキルは王族にしか使えないとそう聞いたが、もう1つの条件にあれば使える。それは"転生者"であること。スキルが使えて王族でないことを話せば、必然的に"転生者"であることを明かすことになる。少し悩んだが、シュタイズには教えておこうと思ったのだ。


「そう言えばソータよ。お主先程からずっと戦ってるが、魔力切れは起こさないのか???」


「魔力切れ。。。ですか???なった事ないですね。。。」


「魔力測定はしてないのか???」


私はシュタイズからの言葉を耳にした時、大事なことを忘れていることに気がつかされてしまった。それに気づいた途端、私は驚きのあまり顎が閉まらなくなってしまった。


「あああああああああああ!!!!!!忘れてたァァァァああああああああぁぁぁ!!!!!」


私としたことが、なんのために、Aランク試験を受けたのか。なんのために、わざわざ王都に足を運んだのか。全くもってすっかり忘れてしまっていた。


「まぁ別にいつやっても変わらないものだ。戻ったら測定するといい。魔人戦において、自分の魔力量を自覚していないと危険だからな。だが、今みる限りでは、お主は相当の魔力の持ち主だ。心配するほどのものでもないだろうな。」


シュタイズがそう優しく私を慰めてくれる。私はそれを耳で受け取りながらも、頭の中ではなぜ忘れてしまったのかの原因を探っていた。



━━「ん???」━━━━「!? この感じは。。。」━━



私とシュタイズが同時に同じ方角に顔を向けた。そこには何もないが、確実に何かを感じとったのだ。だが、私には分かる。反応したスキルがあるからだ。


「魔族。。。。。嘘だろ。。。」


「ソータにも分かるのか。大したものだ。その通り今のは魔族の反応だ。偵察部隊かもしれん。」


私のスキルに魔族察知が存在する。半径5km以内に魔族が入り込んだ途端、反応するようになっている。つまり、この瞬間に反応したということは、今半径5km以内に魔族が侵入してきたということだ。


「相当近いですね。行きますか?」


「当たり前だ。やけに量が多いが。今やらなくては我々がやられる。幸い魔人の反応はない。」


シュタイズの眼差しはある一方向を眺めたまま、険しいものであった。私はその眼差しに気を奮い立たせられた。今私たちがやらなければ、終わってしまうというようなそんな気持ちにさせられたのだ。


「行きましょう。この世界を守るために。闘いに行きましょう。」


「あぁ。当たり前だ。ソータ殿。足を引っ張るでないぞ。」


こういう時だけ名前に "殿" を付けるのはどうかと思う。そう言われてしまえば、シュタイズの戦いやすい場面作りをする事を望まれていると勘違いしてしまう。


『テレッテレー!!!』


私とシュタイズは、魔族がいるであろう方角に全速力で走っている。その最中も少しでもシュタイズのためになるようにと、スキルを作りそのスキルをシュタイズに貸し出そうと考えたのだ。


「シュタイズさん。これからシュタイズさんにスキルを与えます。魔族監視とそう唱えて下さい。」


「分かった。」


「スキル貸与……魔族監視。。。!!」


私がそう唱えると、体内にある何かが、シュタイズに付与されたようなそんな感覚を覚えた。恐らく成功したのだろうと感じる。


「魔族監視!!」


シュタイズが私の言った通りに、唱える。唱えた途端、シュタイズは目を見開いて、驚いた素振りをした。成功してよかったと感じる。


「これは凄い!魔族の位置や強さ、魔力量や属性。全てわかるじゃないか!!」


「そういうものですから。戦闘の足しになればと思いまして。」


シュタイズの目はまた一段と険しくなった。この国、この世界が滅んでしまう可能性のある魔族戦争。今まで耐えてこれたのは、シュタイズを始めとする戦士たちのおかげである。私は今回この戦闘に加わることで、この世界の歴史に名を刻むことになるのかもしれない。

【今回獲得スキル】


★Oスキル:魔族監視・・・半径5km以内に存在する魔族の位置・強さ・魔力量・属性を理解することができる。

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