第67話 怪しい関係性
私は会合の話し合いに参加していて、あらゆる知識とこの異世界の現状を確認することができた。特に魔族の話はとても興味深いものばかりでった。バゼル国王が言っていた、220年前の人類の勝利。これはどこかで聞いたことがあると思えば、あの転生騎士エクスカリバーと同年代の話である。
「バゼル国王。約220年前に1度人間が勝利したと、そうおっしゃいましたが、童話の転生騎士エクスカリバーと何か関係が?」
私はバゼル国王にこの質問をするか悩んだが、悩んだ末に結局気になってしまった。そこまでタブーでは無いとは思っている。
「ハッハッハ!ソータよ!あれは童話の作り話だろう?確かに約220年前の対魔王戦争では、騎士と少人数のその仲間たちが戦い、ようやく勝利したものであるが。この話を元にしたものだろう?」
バゼル国王が何かを隠しているような、嘘をついているような、そんな様子は見受けられなかった。バゼル国王は知らない事なのだろうか?拍子抜けである。
「そうですよね。すみません。」
だが私は、確実に転生騎士エクスカリバーは実在し、そして彼も転生者であることは、確信していた。根拠はまだ薄い。だが、イズラート国の技術力はこの世界からすれば進みすぎであったことも確かなのだ。
「そろそろ時間だろう。あまり長く話していても、何かいい解決策が出るとは思えぬ。出ていたらとっくにやっているってな!!ハッハッハ!」
バゼル国王がまた意味のわからないことを言っている。面白いと思っているのだろうか。個人的には嫌いじゃない。
「では、今この時をもって、王都八国定期会合を終了とする。皆ご苦労であった。」
「ありがとうございました。皆様お体にお気をつけて。」
バゼル国王が終わりの挨拶をする。それに付随するように、カールス公爵やシェルト侯爵が別れの挨拶をする。これは定番なのだろうか?だが、他の者が言っていないことを考えると、人間性の表れなのだろう。
こうして会合は終了し、皆が各々帰る身支度を整えている。私も出来れば早めに帰りたいもので、黙々と帰る身支度を整える。
「お疲れ様です。ソータ様。お待ちしておりました。」
私がある程度身支度を整え、会合の行われた広めの会議室のような場所から出ると、そこにはマナが待っていた。マナ以外にも、恐らく各国の使いの者と思われる人が立っている。
「お待たせしました。どうしますか?せっかくですからメイシェルト国を回りますか?」
普段気を張っているマナに、少しでも癒しを与えたい私は、メイシェルト国の街を一通り堪能しようと提案した。
「何を言ってるんですか。もう夕方ですよ?」
「あぁ、だから1日帰国を遅らせようじゃないか。」
正直自国の復興は大部分は終わってしまっている。私のスキルというのも何ともチート性能なもので、1日で建造物の殆どは立て替えてしまったというものだ。
「ソータ様らしいですね。」
マナは拳を口元に当ててクスクスと小さく笑うと、"行きます!"と威勢のいい返答をした。宿泊する事を決めた私は、他国からの産物品を持った状態では何かと不便な為、一度車に戻って荷物を入れてこようとそう考えた。
「一度荷物をしまいに車に行きましょうか。」
「はい!分かりました!」
余程嬉しいのだろうか。マナは機嫌が抜群に良さそうである。私は感情を隠しきれていないマナを見て、微笑ましく思いながら、マナと共に一度メイシェルト国の領主邸を出る。
「なんだこれは!!」「何をする物なのか、全く検討が付かんぞ」
領主邸を出るや、私の目に飛び込んできたのは、これまた大きな人だかりであった。何事かと思えば、その人だかりが出来ている場所は、私がメイシェルト国に来た際の乗り物を置いたところであった。
「あの、ソータ様??これはどう致しましょう?」
「私に聞かれても困る。そういうマナさんこそ、有能なスキルを使ってこの状態の打開策を切り出して下さい。」
こうなる事は容易に想像ついただろう。だが、私としたことが、そこら辺に路駐をさせてもらってるぐらいにしか思っていなかったのだ。この状態を何とかせねば、荷物をしまうことも、イズラート国に帰国することもままならない。
「よし。平然を装って無言で荷物しまって戻ろう。そうしよう。見なかったことにすればいいさ。そうだ。それがいいい。」
「ソータ様。何も考えないようにしても無駄かと存じます。」
私は考えることをやめた。正直言えば、王都八国定期会合に参加した時点で、私の脳みそと精神は酷く疲弊しているのだ。これ以上の脳みそへの負担は私自身の健康状態にも影響が出るというものだ。
「ちょっと失礼しますよー。よいしょっ。マナさん、その荷物閉まっちゃいますよ。これでよしっと。では。」
私は無心を貫き、人だかりの中心にある私の車に平然と何事もなかったかのように荷物を入れ、そして速やかに立ち去ろうと試みる。
「おい、ちょっとまて。」
私がそそくさと逃げようとした時に、肩を掴み制止させてきたのは、ジャイフライン国の領主、カールスであった。
「まだお帰りになられていなかったのですか?カールス公爵様。」
「そんな冷たい事を言わんでくれ。私とお主の仲ではないか。」
私がいつカールスと仲良くなったのかを知りたい。とても問い質したいところであるが、グッと抑えて今一度辺りを見てみみる。そこにはメイシェルト国の国民を始め、イズラート国以外の六国の領主達は勿論、バゼル国王までも入り浸っていた。
「みんなしてどうしたんですか?」
「どうしたじゃない!!これはなんなんだ!!!」




