[メイド〇〇アビス]ナナチ、君はかわいいですねぇ⋯⋯(七瀬はかわいいですねぇ⋯⋯)ひっ!こ、怖くなんてない⋯⋯!
『神の子』も万能じゃないって事だ⋯⋯ところで、あの某ボ卿みたいなやつは神醒型渇血病ってやつにはかかってねえのかな?
後、遅くなり申し訳御座いません。
私があの施設での行動範囲が最大限広まった時に、“あの人”はやって来ました。
「あ!あなたが、私の妹?いきなりで悪いけど、一つ重要な事を言っておくわね!」
会って一言めがそれでした。
「あなたの名前は⋯⋯七瀬寛観よ!!」
いつだって話を聞かずに、自分の都合だけを述べて⋯⋯
「ねぇねぇ!寛観!私テストで100点とったよーー!!どうどう!凄いでしょ!
だから!寛観もここで頑張りなさい!いいわね!」
いつだって騒がしくて⋯⋯
「ねぇねぇ!寛観!ここって何してる所なの!?おせーておせーて!あ、知らないよね⋯⋯めんごめんご⋯⋯ってこれも知らないよね、えーっと⋯⋯おせーてって言うのはね…」
『七瀬、そろそろ時間ですよ。早く切り上げて帰ってきて下さい。』
「⋯⋯了解、お姉ちゃん⋯⋯もう⋯⋯時間⋯⋯。」
「へ?な、ぬあぁああ!?もうこんな時間!それじゃ!“また明日”!」
⋯⋯でも⋯⋯そんなお姉ちゃんが⋯⋯知らない内に楽しみになってた⋯⋯早く仕事を終わらせて⋯⋯面会時間の前からずっと待ってる様になってた⋯⋯早く来ないかな?って⋯⋯
⋯⋯でも、“また明日”って言ったあの日⋯⋯それ以降、急にお姉ちゃんは来なくなった。
「⋯⋯⋯⋯どうして⋯⋯」
『おや、ここに居ましたか、七瀬。今日も相変わらずかわいいですねぇ七瀬は。』
「⋯⋯!ねえ!お姉ちゃんは⋯⋯!?どうして来ないの⋯⋯!?」
『うーんスルースキルも習得してしまいましたか⋯⋯私は悲しいですよ⋯⋯七瀬⋯⋯。流石は『神の子』と言った所でしょうか。』
「いいから答えて!!」
『おっと、怒るとその可愛らしい天からの贈られた我が人類における最高の宝物が台無しですよ?まあそれはそれで美味しい物がありますが。』
「⋯⋯答える気はないの?なら⋯⋯」
『おっとっとっと、待ちなさい。別に話す気がない訳ではありません。ただ、これを話すと、きっと七瀬は怒るか、悲しむか、絶望するか、とにかく、七瀬に救いがなさすぎるんです。』
「⋯⋯どういうこと⋯⋯?教えて。」
『うーん、仕方が無いですねぇ。⋯⋯出来れば話したくなかったが⋯⋯致し方無い⋯⋯。
七瀬、君のお姉ちゃん⋯⋯すなわち沙頼はね⋯⋯君と関わる事で、ある病気にかかっている。その名も、“神醒型渴血病”。』
「⋯⋯⋯⋯え?何、その病気⋯⋯」
『読んで字の如しですよ、神様に纏わるいわゆるオーラ的な何かが人体に支障をきたすという意味で、神醒型⋯⋯そこに、渇血⋯⋯血が渇くっということです⋯⋯。』
「そ、そんな⋯⋯私のせいで⋯⋯お姉ちゃんが⋯⋯!どうしたらいいの!?私は⋯⋯どうしたら⋯⋯!」
『簡単ですよ。ぱっと3つは思いつく。』
「⋯⋯え⋯⋯?」
『ひとぉーーつ、お姉ちゃんを〇して楽にしてあげよぉーーう。』
「ふざけないで⋯⋯!そんな事絶対にしない!」
『実際、苦しんでるならさっさとやっちゃった方が楽だと思いますよ?でもまあ、嫌なら仕方ないですね。七瀬が悲しむ事はしたくない。
ふたぁーーつ、何処か遠くへ引っ越そぉーーう。』
「引っ越して⋯⋯どうするの⋯⋯?」
『七瀬が近くにいるせいでこうなっているんだから七瀬が引っ越して関わりを断てばもう沙頼にこれ以上病気で悩む事は無いですよ。』
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯最後は⋯⋯?」
『非常に興味を唆られる話ではありますが、あまりオススメしませんよ ?』
「それでも⋯⋯私はお姉ちゃんを〇したくないし⋯⋯離れたくない⋯⋯」
『ふぅ。どうすればいいんだ!って話ですよねー。病気を治す為にはこの地を離れないといけないのに離れたくない、と言い⋯⋯じゃあ邪魔だから〇そう、と言っても〇したくないだなんて。』
「それでも⋯⋯あるんでしょ⋯⋯離れずにいても〇さなくてもいい方法が⋯⋯!」
『えぇ。ありますよ。ただし⋯⋯』
「ただし⋯⋯?」
『“想像を絶する痛み”を伴いますよ?それは七瀬、君だけではなく沙頼もです。』
この時の私は、その“想像を絶する痛み”をしっかりと認識していなかった。いや⋯⋯あの時の私ならば、その痛みを知っても尚、沙頼を助けると言っていたかもしれない。けれど⋯⋯
「⋯⋯!?⋯⋯そ、それ⋯⋯でも⋯⋯わ、私は⋯⋯お姉ちゃんを⋯⋯」
それでも⋯⋯何処か天狗になっていたのかもしれない⋯⋯傲慢だったのかもしれない⋯⋯調子に乗っていたのかもしれない⋯⋯どうあっても、私は、私のまま、これからずっと先まで、『神の子』として生きるのだと⋯⋯
「助けたい!!」
そう⋯⋯思っていた。
『その言葉に偽りは有りませんね?なら教えましょう。3つ目の方法⋯⋯その名も、《神醒解放》を⋯⋯ッ!!!』
久しぶりにアニメ見て泣きました⋯⋯2017年のアニメは豊作ですね⋯⋯あぁ⋯⋯戻れるものなら、あの頃に⋯⋯
駄目ですわよ、お父様、過去を振り返っては。
ふっ⋯⋯「今を一所懸命生きなさい」か⋯⋯母さんがよく言っていたな⋯⋯