姉ちゃんの死
⋯⋯リリリ⋯ジリリリリリ⋯ジリリ⋯
「⋯⋯⋯⋯⋯ハッ!?今何時だッ!」
俺は慌てて目覚ましを止める。時刻は⋯8時!?やべぇ!
「姉ちゃん!何で起こしてくれねぇんだよ!」
⋯シーン⋯⋯⋯
あれ?まさか⋯
1俺を置いて1人で出ていった
2姉ちゃんも寝てる
3俺の声が聞こえなかった
よし、3だ!
「姉ちゃーーん!!返事しろー!!」
⋯シーン⋯⋯⋯
「はあ、何やってんだか⋯俺は⋯」
俺の名は秋野瀬紅葉ごく普通の平凡ななろう愛読高校生だった
俺はいまだに姉離れ出来ないらしい⋯⋯現実は非情で残酷だな
「姉ちゃんは死んだ⋯もう居ない⋯なんてな。」
そして今日は姉ちゃんの⋯⋯⋯葬式だ。
姉ちゃんは死んだ。死因はまあ、事故だ。交通事故。よくあることだそう割り切ろうとするが、そんな簡単なことでは無い。
姉ちゃんはまあ人並みよりはだいぶ綺麗な方だが特別美人という程でも無かったけど、弟補正というのか、俺はそこらの女優よりも綺麗に見えた。そして、俺と姉ちゃんはヲタクと言って良いものか分からないが、とにかくなろうが大好きだった。夏休みに一晩語り合ったぐらいだ。だが⋯⋯⋯それもあの日までだった。
忘れもしないあの日⋯⋯⋯姉ちゃんが事故で亡くなった日だ⋯⋯
~~~~~~~~~
その日は姉ちゃんはなろう書籍を購入していた。二人分。
だがまあ姉ちゃんにとって嬉しい出来事だったのか分からないが姉ちゃんは少し買ったなろう書籍を読みながら歩いていたらしい⋯⋯
その時信号機の音が聞こえて歩き出した時に横からトラックが飛び出した⋯と、思われる。
姉ちゃんは1メートルくらい吹っ飛ばされたと思われ、トラックの運転手は衝撃で後頭部を打ち、しばらく気絶。⋯⋯偶然通りかかった人が慌てて救急車を呼ぶも、病院でしばらくして死亡が確認された。
ニュースで見ていた他の人の事故なんかはふーんとか怖いなーとか思っていたがいざ自分と言うか家族、それも姉ちゃんがとか、笑えない。俺はその日は1日中泣きまくった。
翌日は荷物が届いた。姉ちゃんの買っていたなろう書籍だった。
俺は姉ちゃんの最後の買ってくれたなろうだと、読もうとしたが気分が乗らない。
俺は考える。
何がいけなかった?何が原因だ?姉ちゃんはなろうを読みながら帰っていて⋯⋯
運転手も素直に自首して、寝不足で注意を怠っていたと述べている。でも、運転手も完全に寝ていたわけじゃない⋯
姉ちゃんなら分かると思う、あの交差点は止まれの標識があって⋯⋯その標識よりこっちに来ているのを把握して回避出来たはずだ⋯⋯ん?⋯待てよ?
姉ちゃんはハイスペックだったがたった1個そのハイスペックが適応されない時がある。それは、なろうに関わっている時だ。
特になろうを読んでいる時なんかはそれ以外に集中力が向かない程に⋯⋯
あぁ⋯なんだ⋯最初から答えは出ていたじゃないか。
俺は姉ちゃんのとは別に買ってあった俺用のなろう書籍を⋯⋯
ビリリリリリリツ!!
破いた。
ソウダ簡単ナコトダなろうヲ読ンデイタ姉ちゃんガ悪イ姉ちゃんガ読ンデイタなろうガ悪イなろうガ悪イ。
なろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イなろうガ悪イ
俺は更に俺用のなろう棚にあるなろう書籍を無造作にポンポン放り出していく。ゴミ袋を開き、その中へ放り捨てる。
スマホを開く、ブラウザを開き、なろうのブラウザタグを消していく。アルバムを開く、なろうフォルダに入れているなろう挿絵を消していく。後でPCもやって置くか。
俺は姉ちゃんを奪ったなろうという存在を許さない。決して。
だが、姉ちゃんが好きだったものであるのも事実だ。
もしかしたら姉ちゃんは神様にでも拾われて異世界で俺TUEEEEとかしてるのかもしれないな。
だから姉ちゃんの本棚にはずっと残して置く姉ちゃんが好きだったなろうだから、姉ちゃんが買ってきた姉ちゃん用のを棚に入れるちょうど最後の1冊でピッタリハマったこれ以上は買えないという未来の姉の死を予言していたかのように。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
このご時世だ。俺が訴えられることは何も無い。世間から見ればなろうというかながら歩きしてた姉ちゃんの方が悪いんだからな。なろうが更に悪化させる。俺はなろうと決別する。なろうを卒業し、正しく生きて、親孝行をして普通に生きる。姉ちゃんもなんか見守ってくれてる気がする。いや、姉ちゃんは異世界へ行ってるんだったな。そっちの方が姉ちゃんも幸せだろう。親にも色々迷惑をかけたな、しっかりと親孝行しなければな。
「姉ちゃん、ちゃんとたまには帰ってくるから待ってろよ。じゃあな、今頃どっかでありふれた職業で世界最強にでもなってんだろうがな、ちゃんと生きろよ。飯もちゃんと食えよ。あー⋯⋯そんだけだ、行ってきます。」
行ってらっしゃい⋯そんな姉ちゃんの声が聞こえた気がしたが⋯俺はもう振り返らない。だって泣いてるから。居ないと思うがこんな顔見せたら心配にさせちまう。