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~まんなか星~
ここ数日はめっきり寒くなった。
都会の風は冷たく、立ち止まるとこごえてしまいそうだ。すこしでも暖かい場所を求め、家路をいそぐ。
青が点滅する。それを合図に人ごみのテンポが変わる。はやくなるかとまるか。私はとまった。私の時間と同じように。
空を見上げる。都会にしては珍しく、ちらほらと星がみえる。
「オリオン座だ」
見慣れた三ツ星。それを囲むような四ツ星。オリオン座だ。
ふと身体が暖かくなる。凍った時間が溶けだすかのように眼から涙がこぼれる。
「オリオン座だ」
あの時もこの星座はみえた。あの日も今日みたいに凍えるような夜だった。あの時にはまだ私たち三ツ星も私たちを囲む四ツ星もいた。私はまだ星座だった。
赤が青に変わる。人ごみが動き出す。少し溶けかけた私の時間が、一歩踏み出すたびにふたたび凍っていく。さみしさはある。でもこれでいいのかもしれない。




