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この世界で願いのために戦う僕の物語  作者: KOKOA
第五章 雪解け《クレスクント》
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29話 ケーキ

 ――で、とりあえず出来ました。

「うん! 美味しい!」

 切り分け雪がまず一口食べ、そういった。

 僕も一口食べてみる。うん、確かに美味しい。

 ただ……。サイズがかなり大きい。食べきれるのかな?

 だがそんな僕の心配をよそに咲と雪は黙々とケーキを食べ続けていた。

 しかしいくら甘いものが好きな人だって限界がある。最初に音を上げたのは雪だった。

「ごめん、もう無理」

 クソッ雪がやられた。確かに見てみれば顔は若干青ざめ目が虚ろになっていた。

 後は僕と咲だけ。だが咲もさっきから目が虚ろになってユラユラしている。

「ウッ……。ごめんお兄ちゃん後頑張って……」

 おいおい、嘘だろもう僕一人かよ……。

 どうしようかと途方にくれているとピンポーンとインターホンが鳴った。

「はーい」

 玄関の扉を開けると士希が立っていた。

「よう。仕事片付いたから遊びに来ちゃったよ」

 救世主だ。

「士希、頼みがあるんだ……」

「ん? どうかしたのか?」

「お前、甘いもの大丈夫か?」

「え? あ、うん。大丈夫だけど」

 よし! これでなんとかなるだろう。後、半分ぐらいだし僕も無理をすれば多分なんとかなる……はず……。

「士希とりあえずこっちに来てくれ」

 士希をリビングまで連れて行く。

「あ、士希君……」

雪が顔を突っ伏したまま言う。

「あ、ホントだ知与川さん、こんにちは~」

「こんにちは、雪、咲ちゃん」

 士希が顔を引きつらせながら言う。それもそうだろう。なにせ全員、青ざめて突っ伏しているのだから。

「何があったんだ?」

「いや実はこのケーキを食べようとしてこうなったんだ」

「まずいのか?」

「いや美味しいよ。ただ量がね……」

「なるほど。で、これを食えと」

「正解」

「まあ、これくらいなら食えるだろ……」

 僕と士希でそれからしばらく黙々と食べていく。

 だが残り一切れのところで士希が口を開いた。

「ごめん、もう無理……」

 ……嘘だろー! これくらいなら食えるだろとか言ってたのに! しかも後一切れなのに!

「ところで和真これ一気に食う必要あんのか?」

「あ……」

 そこからの僕の動きは決まっていた。まずラップを取り出し皿にかける。そしてそれを冷蔵庫に入れる。

 これで解決だな! うん……解決……。

「ねぇねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんは馬鹿なの? そんなことに今更気づくとか。」

 てめえ、この野郎。お前も絶対気づいてなかっただろう。

 だが、もう突っ込む気力も無かった。僕も椅子に座ると同時に席に突っ伏す。

 もう魔法使って胃の中空にしようかな……。でもそれでいざという時力が足りなくなったら馬鹿みたいだしな~。念のためこのまま我慢しとくか。ウップ……。

 それから一〇分位経ってから雪と士希が席を立ち「ご馳走様でした~」と言って帰っていった。

 そして残された僕と咲は更に一〇分位経ってからやっと起き上がり各自、自分の部屋に戻るのだった。

 部屋の扉を閉め長~く息を吐き、目を閉じる。

 よし、魔法を使おう。敵? 知らねぇよ。もうリバースしそうなんだよ。それに雪と士希はもう帰っているからバレることもない。

 胃の中から食べたものが消えるようイメージする。

 よし、治った。 

 壁にかかっている時計を確認するともう針が七時を示していた。

 食ったばかりなのにそろそろご飯の時間か~などと考えていると玄関の扉がガチャと開く音が聞こえてくる。

「はぁ~疲れた。ただいま~」

 そんな声が聞こえてくると同時、隣の部屋が開かれ、咲が階段をドドドと喧しく降りていく。

「おかえり~お母さん!」

「はい、ただいま。すぐご飯にするからね~」

「う、うん……」

 急に咲の声に元気がなくなる。そして今度はゆっくりトントントンと階段を上がってくる。

「咲……」

 扉を開け声を掛ける。

「あ、お兄ちゃん……。もうすぐご飯だって……」

 しかし、そこにいつもの元気はなく、声を掛けると同時、咲はそう言って俯いてしまう。しょうがない僕が元気づけてあげよう。

 出来るだけ優しい表情を作り、咲の肩に手を置き、ゆっくりと口を開ける。

「う~わ~、ドンマイ! さっき食べたばかりだからお腹いっぱいだよね! でも僕は食べ盛りの高校生だしたべられるんだけどね! いや~お腹すいたな~」

 トンットンッと軽やかにステップを踏みたいのを我慢して元気づけてあげる。

 そして咲は何かを言いたそうに口を何度か開けたり閉めたりした後、意を決したように僕の目を真っ直ぐ見つめ頬を少し赤く染めながら毅然と言い放った。

「うざ……」

 そして見つめあったままがしばしの時間が過ぎる。

 先にその空気を破ったのは兄である僕だった。

「フッ」

 鼻で笑い、部屋の中に入る。

「うざっ! 出て来いよ!」

 ドンドンドンッと扉を叩く音が部屋に響き渡る。

 女の人って壁ドンのどこがいいんだろ? ただうるさいだけじゃん。

 とりあえずうるさいので別の音で塗り替えるべく音楽でも聞こうかとベッドの棚からイヤホンを取り出した時、下から声が聞こえてきた。

「咲~うるさいわよ~」

 そして、あっさりと壁ドンは終了を迎えるのだった。

「あとご飯出来たからおりてらっしゃ~い」

「は~い。ちっ……」

 舌打ちをして降りていくのを確認した後、僕も降りていく。さてご飯は何かな~。

 席に着き、ご飯を食べていると咲が小首を捻り、口を開いた。

「あれ、お父さんは?」

「お父さんなら今日は泊まり込みらしいわよ。何か用事でもあるの?」

「ううん。聞いてみただけ」

 そうかそうか、今日マイファザーは帰ってこないのか。じゃあ、明日も休みだし今日は夜遅くまでゲームをやって遊んでいるか。

最近スウィープタグと言うオンラインゲームにハマっている。DOWAHUと言うゲーム機で出来るアクションRPGだ。簡単に言うとプレイヤーが小人になっていろいろな道具を作りそれで戦うといった内容で、今密かにブームを起こしているゲームだ。

ちなみに僕はカンストしていてレアな武器もいくつか持っている。

 そうと決まればさっさと食ってゲームに移ろう。 

 食べ終えると風呂に行き一五分位で上がる。その次は歯を磨き、寝落ちしてもいい状態でDOWAHUを持ちベットにダイブする。

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