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この世界で願いのために戦う僕の物語  作者: KOKOA
第五章 雪解け《クレスクント》
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27話 夜の出会い

「とりあえず帰るか」

 士希がそう声をかけてくる。

 今日は運動会の後にこの騒ぎだったからもう疲れた。

 空を見上げるともう星が瞬いていた。

 時計を見る。もう二一時か……。

「ごめん、僕先帰ってるね!」

「わかったー」

「和真君、また来週ね」

「おう、また来週」

 そういえばうちの学校は変わっていて運動会のある週は運動会の前日と当日以外休みとなる。すっかり忘れていた。危うく明日も登校するところだったよ。

 それにしても早く帰らないとまた怒られる。

 走っていると前に由不の制服を着た人がこちらを見て立ってた。まあ、気にすることでもないだろう。

「こんにちは天野さん」

 そのまま走って通り過ぎようとする。するとすれ違い様消えそうな声が聞こえてきた。

 止まって振り返るとそこには一人の女子生徒がいた。肩まである黒い髪。顔は整っている。体型もモデル並みだ。容姿は雪に迫るほど良い。だが雪が儚いのに対しこの人は華やかだった。

「えっと、どこか出会いました?」

「いいえ。ただ私が知っているだけです」

 暗がりで顔がよく見えない。

「え~と、誰?」

「私は吉良星良(きらせいら)といいます」

 僕はこの人のことを知っている。テスト、今日のリレー共に雪に勝った人だ。

「あの、僕に何か?」

「あなた士希さんについて何か知っていますか?」

 士希? こいつと士希に接点があるなど聞いたこともない。

「なんでそんなことを聞く?」

「いえ、あの人のみ私よりなんでもできるので少し気になりましてね」

 ああ、そういうことか。まあ、なんにせよ怪しいことに代わりはないので話すのはやめておこう。

「悪いけど知らないよ」

「そう……ですか……」

 そう言うと同時に雲の間から月の光が差し込み吉良さんを映す。背は僕より少し小さいぐらい。顔は整っていて綺麗だが今は少し落ち込んでいるように見えた。

「じゃあ、しょうがないですね」

 吉良さんがそう言うと同時に頭の中に不思議な感覚が走る……。

 頭の中が見られている!? どうして!? いや、とにかく今は見られないようにしなければ! 

 すぐに見られないようイメージをする。

「あら? あなたは一体何者?」

「お前こそ何なんだ!?」

 吉良の目には殺気がこもっていた。コイツはやばいやつだ。それに気ずくと同時に心臓が跳ね上がる。早く逃げなければならない。そんな気がした。

 静かだが嫌な空気がしばし流れる。走って逃げたいのは山々だが背中を向けて瞬間、殺られる……そんな気がした。

「いいです。今日はここで引き上げます」

 そう言うと吉良はその場から突然姿を消した。まるで瞬間移動でもしたように。

 心臓の鼓動はまだ落ち着いていなかった。あいつは一体何なんだ? なぜ僕達と同じことができる? 

 もしかしてアンノウンなのか? いや、だったら生命の種を狙うはずだ。ダメだいくら考えても考えがまとまらない。とにかく早く家に帰ろう。そしてこのことを明日士希に言おう。




 昨日はあのあと家に帰り少し怒られた後寝ることができた。まあ、二二時にもなれば当然か。

 とりあえず僕は昨日のことを士希に伝えに行くためユグドラシルへと向かっている。

「あら天野さんではないですか」

 目を上げるとそこには私服の吉良が立っていた。

「なっ!」

「あらあら、そんな怖い顔をしないでください」

「なんのようだ?」

 今回はすぐに逃げられるよう力を足に貯めておく。

「あら? あなたやっぱり魔法使えるんですね。何者何ですか?」

「お前こそ何者だ!」

「……じゃあこうしましょう。あなたが一つ答えてくれたら私も一つ質問に答えます」

「質問によるな……」

「じゃあ、一つ目の質問です。あなたはその力どこで手に入れましたか?」

「……答えられないな」

「そうですか……。じゃあ二つ目の質問。あなたはなぜその力を普段使わないんですか?」

「ある人にダメだって言われてるんでな」

「そうですかじゃあ、関係者が他にもいるんですね。それでは最後の質問です。あなたは人を殺したことがありますか?」

「無いね」

「そうですか。残念です。まあ、二つ質問をどうぞ」

 二つか……。まあ、こいつは謎だらけだ、少しでも謎が解けそうなことを聞いていこう。

「お前はどこで力を手に入れた」

「それはあなたも答えなかったでしょう? なら私も答えられません」

「じゃあいい他のことを聞こう。一つ目の質問だ。お前は普段お前の持っている力を使っているのか?」

「ええ、使ってますよ。それなのになぜか士希さんには勝てないんですよね」

「二つ目の質問だ。お前は人を殺したことがあるのか?」

「ええ、ありますよ。もう数え切れない程に」

「お前は一体……」

「あれ和真君どうしたのこんなところで?」

 後ろから声をかけられ驚いて振り返る。

「なんだ雪か」

 そこに立っていたのは雪だった」

「どうしたの?」

「いやなんでもない」

 もう一度振り返り吉良を睨――あれ? そこにはもう吉良の姿はなかった。また瞬間移動でもしたのか?

「和真君、怖い顔してどうしたの?」

 雪が首をかしげながら問うてくる。

「いや、何でもないんだ。それより雪こそどうしたんだ?」

「私? 私はユグドラシルに行くところ」

「雪もか。じゃあ一緒に行こうよ」

「うん」

 

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