14話 軽蔑
「悪い二人共、今行く」
「おい、待てっつってるだろ~」
田野がまたも呼び止めてくる。
「別にいいよほら行けよ、天野」
今度は寺崎が怒気を含んだ声で言ってくる。
それに続き田野が言ってくる。
「そうだな、行けよばいば~い」
これはおとなしく帰った方が良さそうだな……。
「じゃあ、そうさせてもらうよ」
出来るだけ二人の方を見ないように歩き出す。すると寺崎が足を伸ばして転ばせようとしてくる。
「はぁ」
それを僕は最近できるようになった時を止める魔法を使って避ける。まあ、後ろから舌打ちが聞こえたのは聞かなかったことにする。
士希と雪のところまでたどり着くとほぼ同時に声をかけてくる。
「「和真あれでいいの!?」」
「べ、別に僕は気にしないよ」
あまりの気迫に一瞬たじろいでしまったがすぐに何でもないように言う。
「とりあえず、はい。紅茶とコーラ」
「「ありがとう」」
何故か二人してぶすっとふくれっ面のまま言う。注文間違えてないはずだけど……。
ま、とりあえず残りの時間を楽しもう。
しばらく経った後注文のしていたものも平らげ喋っていたら二人の人物がこっちに向かって来ていた。まーた寺崎と田野だ。いい加減にして欲しい。
「お、君なんて言うの~可愛いね~
今度は雪に絡みだした。正直そろそろ僕も我慢の限界だ。一言言おうとしたその時――
「あの、絡んでこないでください」
と、雪が笑顔で(目は笑ってない)そういったのだった。
「はぁ、なに言ってんの?」
それに寺崎が切れて言い返す。
「あのお客様困ります」
異常に気がついたのだろう、店員さんが止めに入る。
「お前ら一旦ついてこいよ」
寺崎は店員さんを少し睨み僕たちにそう言ってくる。
「いいよ」
それにすんなり士希は承諾する。
「おい、士希お前らまで僕の問題に付き合わなくていいんだぞ」
小声でそう言ったが士希は首を振るだけだった。
「お前ら来たってことは覚悟できてんだろうな」
会計を済ませ外に出ると人気のない通りに連れて行かれた。
「覚悟ってなんのだよ」
士希がそう吐き捨てるように言うと寺崎がブチギレた。
「お前、少し黙れよ殺すぞ」
「あーあ寺崎きれちゃったじゃ~ん」
田野がそう言うと寺崎は田野をひと睨みしてから士希めがけて拳を降る。
しかしその拳は士希に当たる前に容易くはじかれ逆に投げ飛ばされるのだった。
「お前が黙れよ」
士希が殺気を迸らせながらそう言う。さすがの寺崎も一瞬で冷静になったらしく、すぐに逃げていく。
「ひぃ、お前ら覚えとけよ!」
「あ、待って寺崎~」
バッチリ逃げゼリフを吐いて逃げる寺崎を追う田野。少しすっきりした。
「わ、悪いな二人共なんか巻き込んじゃって」
そう言うとなぜか今度はふたり揃ってこう言うのだった。
「「全然!」」
こいつらはなんで僕のためにここまでしてくれるんだろう。
こいつらになら少し話してもいいかもしれないな。いつか話そうこいつらには、それでもし嫌われても悪いのは僕だしな……。
「てか和真、昔何があった?」
……いつかじゃなくて今になりました。
とりあえずまたさっきのファミレスに場所を移し話すことにした。
「多分僕のこと嫌いになるよ」
「そんなことないよ」
「ああ、それは約束する」
「じゃあ――」
あれは中一の頃だった。僕には小学校から付き合いがある一人の友達がいた。が、その友達ともう思い出せないような些細なことで中三の時喧嘩した。
その友達は僕を避けるようになった。そして僕は腹いせにクラスの人に悪口を言うようになった。あいつは僕の悪口なんて言ってないのに。当然あいつは嫌われるようになった。だけどあいつはメンタルが強く皆すぐに虐めるのに飽きた。だけど人は一回人を虐めるともう癖になってしまう。だったらどうすればいいか、簡単だターゲットを変えればいい。
今度のターゲットは僕だった。更に僕はあいつに今の親が本当は義理の親だということを喋ってしまっている。それを皆に言いふらされ僕は虐められるようになった。だけどそんなのは自業自得だ、でも僕はびっくりするほどメンタルが弱い。すぐに不登校になり親に完全に嫌われるようになった。
そして卒業式まであまり学校に行かずあいつと仲直りするわけでもなく今に至る。
で、その友達というのが寺崎だ。
「――どうだ軽蔑しただろ?」
「「…………」」
二人共何も言わなかった。
ただただ重い空気が流れる。
「じゃ、もう僕は帰るね」
千円札を取り出しテーブルの上に置き席を立つ。
はぁ、やっぱし嫌われたかな~。明日学校行きたくないな~。
家に着くと扉を開け部屋に行き別途にダイブする。
「あ~あ終わった。もう嫌だ~」
こんな感じで超メンタル弱いっす自分!
眠くなってきたしこのまま寝ようと枕がある位置まで這いずっていく。
その夜僕は夢を見た。昔の夢だ、寺崎と仲の良かった頃の……。
「ごめん」
ただそれだけで最初は済んだはずなのに今はもうそれすら言えなくなっていた。




